2019年3月8日金曜日

住宅ローン・アパートローン 金利上昇リスクはどの程度?

住宅ローンやアパートローンの返済シミュレーションの時に金利上昇のリスクを検討することがあります。

ここ数年間の日本では日銀の政策の影響もあり、低金利の状態が続いています。
未来のことは誰にも分からないので、変動幅を予想してみるということになります。

住宅ローンやアパートローンの金利上昇のリスクは、どの程度の上昇幅で考慮すれば良いのでしょうか?



〇金利が上がる要因



黒田日銀総裁は長期金利コントロールについて「短期政策金利は完全に日銀の決定によって決まるのに対し、10年物の国債金利は市場において様々な要因で決まる」と言っています。

金利上昇の要因について短期金利と長期金利に分けて考えます。


①短期金利


日銀が金融政策によって短期金利をコントロールしています。
日銀は、2016年から金融緩和を行っており、低金利状態が続いています。

短期金利は日銀の政策変更があれば変動する可能性があります。


②長期金利


長期金利は資金の需要と供給のバランスをもとに決まっています。
資金を借りたい人が多いときには金利は上がり、少ないときには下がります。

フィッシャー方程式という金利についての理論があります。
米国の経済学者アービング・フィッシャーが提唱した理論で名目金利、実質金利、期待インフレ率(物価上昇率)の間の関係式です。

名目金利(※1)=実質金利(※2)+期待インフレ率
※1 名目金利
物価上昇率などを加味しない表面上の金利のことをいいます。
※2 実質金利
名目金利から物価変動の影響を除いた金利のことをいいます。

この方程式からインフレ率の上昇で金利が上がることが分かります。
インフレ率が上昇する要因は需要が増える、コストが増える、などがあります。

物価が上昇すると、その分お金の価値が下がります。
そのため、日本銀行はお金の価値を下げないために金利を引き上げます。

長期金利は日銀の政策だけでなく、物価やコストなどの経済状況によって変動する可能性があります。



〇過去のデータからみる金利推移


・住宅ローン


一番金利の高かったバブル期に変動金利は6~8%とかなりの高金利でした。
しかし、過去20年は低金利の期間が続き2.3~2.5%となっています。
現状では金利優遇競争が激しくなり、実質は変動金利で0.5~0.7%程度の融資が多くなっています。

出典:住宅金融支援機構



・預金金利


過去20年は低金利が続き、預金をしても利息は僅かな状況が続いています。
金利の高かったバブル期には普通貯金が3.4%、1年物定期預金が5.7%という時期がありました。

出典:FP協会



・インフレ率


物価上昇は1989(平成元)年の消費税導入(3%)、1997(平成9)年の消費税率引上げ(5%)、2014(平成 26)年の消費税率引上げ(8%)と、いずれも消費税に関わるものです。
消費税以外が要因のものとして、2002(平成 14)年から 2008(平成 20)年に好景気で物価が上昇していますが、リーマンショックで再びデフレに戻ってしまったことがわかります。

出典:参議院調査室「経済のプリズム」



・政策金利


過去20年で一番高かったのが0.521%(2007年)、現在はマイナス金利が導入されています。
バブル期には金融引き締めのため政策金利は高く、一時6%だったこともあります。

出典:FP協会


・国債利回り


バブル期には6%超の時期もありましたが、現在は日銀の政策もあり、0.1%以下の利回りとなっています。

財務省のデータから作成




〇金利上昇の目安は



黒田日銀総裁は、物価目標2%を達成するまで、金融緩和を続けると発言しています。
金融緩和が続く限り、低金利状態は続くと思われます。

金利は日銀の政策と市場の資金需給で変動します。
日銀は消費者物価上昇率が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで緩和を続ける方針ですから、2%の物価上昇率という目標が達成されれば金融緩和は終了し、金利が上昇する可能性があります。


〇アメリカの利上げから見る利上げの期間



①緩和から引き締めに移行しているアメリカ


アメリカの中央銀行FRBはリーマンショックへの対応のため金融緩和を行い、超低金利を設定しました。

経済状況が好転した2015年以降、政策金利を徐々に引き上げています。
(計9回の利上げで現在の政策金利は2.5%)

利上げ後に株価が下落し、トランプ大統領がTwitterでFRBが市場不安定化の原因になっていると繰り返し批判したことで、現在は利上げのペースは減速している状況です。


②アメリカの経済指標


代表的な経済資料として実質GDP・失業率・PCEデフレーターがあります。


実質GDP 出典:FRB
失業率 出典:FRB

PCEデフレーター 出典:FRB


上のグラフでGDP・PCEデフレーターは上がっていて、失業率が下がっているのが分かります。

この数値を見る限りでは、アメリカ経済は比較的順調に進んでいると言えるため、利上げが行われたのだと思います。


〇金利の上昇幅は「日本の景気がどの程度まで回復するか」



過去のデータから金利の上昇幅は「どの程度まで日本の景気が回復するか」ということがポイントになります。

バブル期のような経済状況になれば、変動金利は5%を超えるかもしれないですし、緩やかな回復であれば、そこまで高くならない可能性もあります。
 
ローンの金利が上がるということは、預貯金の金利や国債利回りなども上がるということです。ローン金利が3%上昇しても預金金利は0.01%ということはありません。

物価が上がれば、お金が循環して給料も上がります。

アメリカの事例でも分かるとおり、通常の利上げなら金利は短期間に急激には上がりません。

金利上昇局面となるには経済が堅調であることが条件です。
短期間の大幅な金利上昇は経済の混乱をまねき、堅調であった経済に悪影響が出てしまう可能性があるため、利上げは慎重にある程度の時間をかけて行われます。

1%だった金利が半年後に4%になるということは現実的な話ではありません。

住宅ローンでもアパートローンでも、変動金利のローンを使って不動産を購入するなら、経済指標などに注目しながら金利上昇のリスクを考えてください。

2019年3月4日月曜日

2019年3月住宅ローン金利 一部の銀行で固定金利を引き下げ

2019年3月の住宅ローンの金利が公表されています。

一部の銀行で固定金利の引き下げがありましたが、概ね横ばい状態となりました。
変動金利については、変わらず横ばいとなりました。

ロイターの記事によると、黒田日銀総裁は現在の金融緩和政策を続ける方針とのことですので、しばらくは低金利の状態が続きそうです。

日銀の黒田東彦総裁は4日午前の参議院予算委員会で、金融緩和政策からの出口戦略について、適切な時期に戦略や方針を策定し、示す考えを明らかにした。
ただ、現時点では物価安定目標達成まで距離があり、出口戦略を具体的に検討するには至っていない、とも述べた。  ※2019年3月4日 ロイターの記事を抜粋




2019年3月の住宅ローン金利一覧
変動金利3年固定10年固定20年固定
三菱UFJ銀行0.5250.3900.690
みずほ銀行0.5250.5500.5501.150
三井住友銀行0.5250.8001.1001.680
りそな銀行0.4700.9951.1952.245
三井住友信託銀行0.4450.4500.6501.070
横浜銀行0.6000.6750.8751.400
ソニー銀行0.4570.6550.8901.348
新生銀行0.6000.7501.0001.450
東京スター銀行0.4500.8000.950
イオン銀行0.5200.4300.740
住信SBIネット銀行0.4471.2001.1101.220
楽天銀行0.5270.8431.048
じぶん銀行0.4571.4201.5401.800
※金利は毎月見直されます。申込時ではなく、借入時の金利が適用されます。
※上記金利は金利引き下げ後の金利です。金利の引下げ幅は、審査結果等により決定します。
フラット35
15~20年21~35年※借入90%以下 機構団信付
ARUHI1.2201.270
住信SBIネット銀行1.2201.270
楽天銀行1.2201.270
イオン銀行1.2201.270

2019年2月13日水曜日

ファイナンシャルプランナーは中立なのか?

2月5日のSankei Bizに外貨建て保険に関する記事が掲載されました。
「外貨建て保険急増、リスク説明に懸念 地銀調査へ 金融庁、月内にも」
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190205/mca1902050500003-n1.htm

金融庁が懸念しているのは、地銀が商品のリスクなどを顧客に十分説明せず、無理な販売を行っているケースです。

数か月前には金融機関の投資信託の販売について、半数の顧客が損をしているという記事もあったと思います。

どちらの記事も金融機関の顧客本位の業務運営が問われています。

金融機関と同じく、保険や金融商品の販売を行うこともあるファイナンシャルプランナーも顧客本位の業務運営について問われているのではないでしょうか?



〇ファイナンシャルプランナーとは?



人生の夢や目標をかなえるために総合的な資金計画を立て、経済的な側面から実現に導く方法を「ファイナンシャル・プランニング」といいます。ファイナンシャル・プランニングには、家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など幅広い知識が必要になります。これらの知識を備え、相談者の夢や目標がかなうように一緒に考え、サポートする専門家です。  出典:日本FP協会

ファイナンシャルプランナーには独占業務はありません。
ファイナンシャルプランナーの資格を持っていなくても、ファイナンシャル・プランニング相談業務を行うことは可能です。


〇日本におけるファイナンシャルプランナーの仕事と報酬



FP協会の調査によると、ファイナンシャルプランナー資格保有者の所属業種は生損保22%、証券会社18%、金融機関11%で約半数を占めています。

出展:FP協会ホームページ


住宅・不動産(6%)も含めれば、約6割が何らかの商品を売っているファイナンシャルプランナーということになります。

独立FPでも代理店を兼務しているケースは多いので、もっと増えるかもしれません。

ファイナンシャルプランナー無料相談の多くは保険を売るため、金融商品を売るためという目的で行われています。

相談料がタダということは、相談後の商品販売が収入源ということです。

「タダほど高いものはない」と言われますが、タダで行われているFP相談は商品販売のためのツールである可能性があり、公正中立と言えるかは微妙です。



〇商品販売をするファイナンシャルプランナーの利益と顧客の利益は相反しているかも



独立系FPの主な収入は、フィー(相談料)とコミッション(商品販売手数料)です。
コミッション・オンリーのFPの代表が保険代理店です。
※一定の保険は必要だと思いますので保険代理店を否定するわけではありません。

保険商品には同じ契約金額でもコミッションの高いものと低いものがあります。
代理店の収支や自分の生活、豪華な表彰式という名目の海外旅行など、コミッションの高い保険を売るメリットはたくさんあります。

よほど自分を律しない限り、コミッションの高い保険を勧めたくなってしまうかもしれません。

保険業法改正では、比較推奨販売を行う乗合代理店に対して体制整備義務が課せられました。

中立な立場で比較をしているように見せかけて、コミッションの高い商品に誘導していないかチェックするということです。

このような規制をするのは、商品販売をする側と顧客の利益が反しているからです。
規模の大きい代理店は金融庁の監督下に置かれますが、小規模の代理店まで金融庁が監督できるかは不明です。

やはり、顧客側が自分で情報収集をする、セカンドオピニオンを使ってみるなどの注意をするしかないのかもしれません。

保険業法改正で保険募集の再委託が禁止され、「意向把握義務」や「情報提供義務」が課されるなど代理店のハードルは高くなっています。

今後はFPが保険販売のコミッションだけで事業をするのは難しくなるかもしれませんが、商品販売をしないFPは少ないというのが現状です。



〇相談料の本当の価値について考える



タダで相談ができるけれど、商品の営業をしてくる(相談そのものが商品販売に結びつく可能性あり)ファイナンシャルプランナーに相談するか、きっちり相談料を取るけれど、商品営業はないファイナンシャルプランナー、どちらに相談するかは個人の考え方次第です。

自分は無料相談後の営業は冷静に判断し、場合によっては断固断ることができるという人、商品販売のためのライフプランであっても、自分で修正判断ができるという人は無料相談を利用してもいいと思います。

相談料を払うことを選択するなら、相談料は情報提供や提案への報酬だけでなく、自分のために働いてくれることへの保険料と考えることもできます。

ファイナンシャルプランナーが誰のために働いて、どこから報酬をもらうのか考えて、自分の目的に合ったファイナンシャルプランナーに相談をしてください。

2019年2月4日月曜日

2019年2月住宅ローン金利 長期固定金利・フラット35引き下げ

2019年2月の住宅ローンの金利が公表されています。

1月に続き、ほとんどの銀行が長期固定金利を引き下げました。
フラット35の金利も2カ月連続で低下となりました。

変動金利については、金利を変更した銀行はありませんでした。



2019年2月の住宅ローン金利一覧
変動金利3年固定10年固定20年固定
三菱UFJ銀行0.5250.3900.690
みずほ銀行0.5250.5500.6001.200
三井住友銀行0.5250.8001.1001.680
りそな銀行0.4700.9951.2452.295
三井住友信託銀行0.4450.5000.7001.120
横浜銀行0.6000.6750.9251.400
ソニー銀行0.4570.6770.8901.348
新生銀行0.6000.9001.0001.450
東京スター銀行0.5000.8500.950
イオン銀行0.5200.4300.740
住信SBIネット銀行0.4471.2001.1101.210
楽天銀行0.5270.8731.092
じぶん銀行0.4571.4201.5401.800
※金利は毎月見直されます。申込時ではなく、借入時の金利が適用されます。
※上記金利は金利引き下げ後の金利です。金利の引下げ幅は、審査結果等により決定します。
フラット35
15~20年21~35年※借入90%以下 機構団信付
ARUHI1.2501.310
住信SBIネット銀行1.2501.310
楽天銀行1.2501.310
イオン銀行1.2501.310

2019年1月29日火曜日

ローンの金利「固定金利」と「変動金利」どっちがいい?

人生には、いろいろお金のかかるイベントがあります。
その中でも最大の出費が住宅購入です。

ごく一部の人を除いて大半の住宅購入者は住宅ローンを利用します。
住宅ローンを決めるときに、どの銀行で金利をどうするのか悩むと思います。

今回は金利選びで悩まないために「変動金利か固定金利の選び方」について説明します。



〇変動金利と固定金利の違い


・変動金利


ローン期間中は半年ごとに金利が見直されます。

返済額自体は『5年間は返済額が変わらない』という「5年ルール」があります。
5年後に、どんなに金利が上昇していても『返済額は1.25倍しか上がらない』という「125%ルール」があります。

急激に返済金額が増えないようにする救済策ですが、元金と金利の内訳を変えて返済額を調整するため、金利上昇が激しい場合は元金の減りが少なくなります。

変動金利は、一般的に短期プライムレートに連動して金利が決まります。
短期プライムレートは市場金利(無担保コール翌日物)に連動して決まります。
※短期プライムレート
銀行が最優良の企業(業績が良い、財務状況が良いなど)に貸し出す際の最優遇貸出金利(プライムレート)のうち、1年以内の短期貸出の金利。


・固定金利


設定された金利・返済額がローンを一定期間固定され、市中金利の動向には全く影響を受けません。

金利が固定される期間で「全期間固定型」と「固定期間選択型」があります。
「固定期間選択型」は固定期間終了後、プランの更新があります。
プランの更新時に、変動金利に切り替えるか、もう一度固定金利で借りるか選択します。

固定期間選択型はや全期間固定は円金利スワップレートや10年物国債金利の影響を受けます。


〇変動金利と固定金利のメリット・デメリット


【変動金利のメリット】

・固定金利よりも金利が低い
・金利が上昇しなければ、ずっと低金利を享受できる

【変動金利のデメリット】

・金利が上昇するリスクがある
・金利が上昇すれば返済額する

【固定金利のメリット】

・金利上昇リスクはない
・返済額が変わらないので計画が立てやすい

【固定金利のデメリット】

・変動金利より金利が高い
・低金利が続けば、変動金利より返済額が多くなる


〇返済例で比較してみる



将来、金利がどうなるかは誰にも分からないので、返済例は無限にあるのですが、分かりやすくするため、①金利が変わらない ②5年ごとに0.5%上昇 ③5年ごとに1%上昇 ④5年ごとに0.7%上昇・固定金利との差額は10年目に繰り上げ返済 この4パターンで4,000万円借りた場合の総返済額を試算してみます。

金利は2019年1月の適用金利を採用します。
A変動金利:住信SBIネット銀行 0.457%(通期引き下げ 年-2.318%)
B固定金利:ARUHIフラット35 1.33%(団信あり・融資比率9割以下)

・総返済額の比較


①金利が変わらない
A:43,291,500円
B:50,051,400円

②5年ごとに0.5%上昇
A:50,763,216円
B:50,051,400円

③5年ごとに1%上昇
A:59,354,667円
B:50,051,400円

④5年ごとに0.7%上昇・固定金利との差額は10年目に繰り上げ返済
A:51,128,783円(11年目に140万円繰り上げ返済・返済期間を1年短縮)
B:50,051,400円


〇過去の金利推移



4パターンの試算をしましたが、これからどのくらい金利が変動するかは誰にも分かりません。

一般的に、景気回復→金利上昇→景気後退→金利低下→景気回復を繰り返します。
景気と中央銀行の金融政策で金利は変動します。

過去の金利の推移と経済動向を見ながら予測をするしかないのです。


出典:住宅金融支援機構





〇変動金利と固定金利、どちらを選ぶかは損得で決めてはならない



ファイナンシャルプランナーは固定金利を勧める傾向があり、住宅メーカーや不動産会社は変動金利を勧める傾向があります。

理由はどっちも説明が楽だから。

ファイナンシャルプランナーは月々の支払額が決まっていたほうが確定的なことが言えるうえに、金利が上がった想定などはしなくてもいいので、資料作成が格段に楽になります。

住宅を売る側は、変動金利を利用する人が多いので変動金利で計算します。
住宅を売ることが仕事なので、ローンの試算は一例を教えてくれるだけです。


どちらを選ぶかは、今後の家計や収支計画によって選ぶのがいいと思います。

変動金利選択にむいている人
・「繰り上げ返済で早期完済を考えている人」
・「毎月の支払額を抑えて貯蓄にまわす人」
・「貯蓄や返済比率に余裕があり金利が上がっても支払に困らない人」

固定金利選択にむいている人
・「とにかく金利上昇が心配な人」
・「返済額を固定したい人」
・「収入が上がる見込みがない人」

最終的にどっちが得だったかは返済が終わるまで分からないのですから、損得で金利プランを選ぶことはできません。

現状のライフプランにと自分の性格に合っている方を選んで、無理のない返済計画を立ててください。

2019年1月18日金曜日

賃貸vs持ち家論争

たびたび経済誌や週刊誌などで、「持ち家と賃貸どちらが得か」ということが論じられてきました。

コストを比較すれば、賃貸の方が割安になるという結論になることが多いようです。

今回は「持ち家と賃貸どちらが得か」、いろいろな視点からくらべてみました。



〇賃貸と持ち家、総支払い額の比較


4000万円の家を自己資金1000万円で購入し、ローンは35年、金利は①1%、②1.5%、③2%の3パターンを想定し、購入時経費250万円、修繕費は10年ごとに150万円、固定資産税を年15万円と想定します。

一方、賃貸はライフスタイルに応じて1〜10年目は12万円、11〜25年目は15万円、子供が独立した26〜35年目は10万円、2年ごとに更新料1カ月、入居時の経費は家賃の3か月を想定します。

購入①
自己資金 10,000,000円
ローン返済 35,567,700円
購入時経費 2,500,000円
修繕費   4,500,000円
固定資産税 5,250,000円
合計 57,817,700円

購入②
自己資金 10,000,000円
ローン返済 38,579,100円
購入時経費 2,500,000円
修繕費   4,500,000円
固定資産税 5,250,000円
合計 60,829,100円

購入③
自己資金 10,000,000円
ローン返済 41,738,760円
購入時経費 2,500,000円
修繕費   4,500,000円
固定資産税 5,250,000円
合計 63,988,760円

賃貸
家賃 53,400,000円
更新料 2,150,000円
入居時経費 1,110,000円 
合計 56,660,000円


ローン返済のある35年間だけを比べると金利1%ならほとんど差はなく、1.5%になれば持ち家よりも賃貸の方が安いということになります。

ただし、それ以降を比べるとずっと家賃を払う賃貸よりもローンの返済がなくなる持ち家の方が総支払額の増え方が小さくなります。

加えてローンの終わった持ち家には一定の資産価値があります。
仮に35年後に購入時の25%の価値が残ったとすれば1,000万円の価値があります。

その家を売れば売ったお金で10万円の家賃の家に約8年住むことができます。

ローン返済のある35年だけで比べても結論はでません。

40才で家を買ったとしても35年後は75才です。
寿命が延びていることを考えるとローン返済後10年以上は生きていても不思議ではないのです。



〇持ち家と賃貸メリットとデメリットの比較



【持ち家のメリット】
・賃貸に比べて広い間取り、設備のグレードが高い。
・資産形成(住宅ローンを完済すれば、建物価値は減っているが土地の資産価値は残る。)
・団信付きのローンの場合、債務者が死亡すれば、ローンの返済がなくなる。
・住宅費用分の生命保険を削減できる。

【持ち家のデメリット】
・ライフスタイルの変化があっても簡単に気軽に引越しできない。
・住宅ローンを借りる。
・購入時の諸費用が必要。
・固定資産税がかかる。
・メンテナンス費用がかかる。
・簡単にダウングレードできない。

【賃貸のメリット】
・ライフスタイルに合わせて気軽に引越しできる。
・住宅ローンを借りる必要がない。
・リフォーム費用は不要。
・税金がかからない。

【賃貸のデメリット】
・賃貸住宅は設備が陳腐なことが多い。
・生きている限り家賃がかかる。
・設備が古くなっても自分の意志でリフォームできない。
・家賃はいくら払っても資産形成にならない。
・更新料や退去時の原状回復工事費用がかかる場合がある。




〇賃貸住宅は持ち家よりも設備が悪い



同じような間取りでも、「家賃」と「家の購入費」はそう変わりません。
しかし、賃貸住宅と分譲住宅では、家の設備等が全然違うのです。

賃貸アパート、賃貸マンションなどの場合、分譲住宅よりもかなり格安な設計になっています。

賃貸住宅は自分が住むためでなく人に貸してお金を稼ぐために作ります。
安くて広いものを作った方が家賃を稼ぐ効率が良いので設備は最低限の競争力を持てる程度のレベルに抑えて作るのが一般的です。

借りる側も賃貸ならこんなもんだろうと設備については妥協しやすいということもあるかもしれません。

分譲住宅は自分が住むために買う人への商品です。
他物件との競合や設備のスペックが価格に反映できるということから設備のグレードが高いものが多くなります。



〇ロバート・キヨサキ氏の言葉、「持ち家は負債」



資産は私のポケットにお金を入れてくれる
負債は私のポケットからお金をとっていく

金持ち父さんの考え方では持ち家は負債です。
①ローンを払い終えるまでの期間、家は自分のものではない。
②固定資産税がかかる。
③修繕費がかかる。
④不動産の価格は下がる可能性がある。
⑤投資に使う資金が減る。

上記の5つの理由から持ち家はお金をとっていくので負債ということです。



〇ローン残高と不動産の時価で変わる持ち家の価値



親の家にただで同居している、親から譲り受けた家がある、などの理由で自宅を持っている人以外は、持ち家にしても、賃貸にしても、住居費は必ずかかります。

持ち家でも賃貸でも住居費はかかるのですから不動産を購入して住宅ローンを支払うことを一律に「負債」と決めつけてしまっては比較の前提を失ってしまいます。

家賃は払ったお金はすべて出ていくのに対し、持ち家の場合は払った住居費は、「家」という資産を形成していくことになります。

持ち家は多額のローンが残っている購入当初は負債としての側面が強いかもしれませんが、ローン残高が時価を上回る時期を過ぎれば負債から含み益のある資産に変わります。

決して効率が良いとは言えませんが、持ち家は自分への不動産賃貸業と考えられます。
家賃を5,000万円払うと35年後に1,000万円相当の流動性が悪い資産をもらえるようなイメージです。


〇資産形成としては持ち家の方がいいけれど



払ったお金はすべて出ていく賃貸よりも、ローン返済後に家を手に入れることができる持ち家の方が資産形成上はいいと思いますが、持ち家にもデメリットはたくさんあります。

最大のデメリットは住み替えの自由度が低いことです。
転職・失職・病気・ご近所トラブルなど長く生きていればいろいろなことが起こります。

持ち家の場合には不動産の時価がローン残高よりも高くなければ気軽に住み替えはできません。

家を買ってしまうと変化に対応できなくなります。
ある程度の覚悟を持って自分の家を選ばなければなりません。

家を選ぶ時には賃貸したり、売却することも考えて、個性的なデザインや間取りの家は避けた方が良いでしょう。

こだわりがあっても賃貸や売却の時にリフォームで一般的なものに戻せるレベルで対応したほうが無難です。

利便性のよさに加えて、環境の良い場所であることも大切です。
子育てをするなら、近隣環境は非常に重要です。
その地域の治安や教育レベル、施設の充実度などを十分に調べておきましょう。


〇結局、賃貸と持ち家どちらがいい?



よくある賃貸持ち家論争の結論と同じことになりますが、最終的には資産形成を取るか?住み替えの自由を取るか?という個人の志向ということになります。


資産形成と優先するなら、利便性が良く、資産価値の高い地域で家を購入することが大切です。

日本の人口は減っていくことが分かっていますから不便な場所は不動産価格の大幅な下落の可能性があります。

最悪の場合、売却しようとしても買い手がつかない可能性もあります。

住み替えの自由を優先するなら老後の生活費を貯めておくようにして下さい。
現状では高齢者の賃貸住宅への入居は受け入れ先が多いとは言えません。

高齢化で高齢者向けの賃貸住宅は増えると思いますが、それでも資産がなかったり、家賃が払えないかもしれない人は入居できないでしょう。

どちらを選ぶにしても計画的にお金を使うことが大切です。

2019年1月8日火曜日

2019年1月住宅ローン金利 長期固定金利・フラット35引き下げ

2019年1月の住宅ローンの金利が公表されています。


ほとんどの銀行が長期固定金利を引き下げました。
フラット35の金利も2カ月連続で低下となりました。




2019年1月の住宅ローン金利一覧
変動金利3年固定10年固定20年固定
三菱UFJ銀行0.5250.3900.700
みずほ銀行0.5250.5500.7001.200
三井住友銀行0.5250.8501.1001.680
りそな銀行0.4700.9951.2952.345
三井住友信託銀行0.4450.5000.7001.150
横浜銀行0.6000.7250.9251.400
ソニー銀行0.4570.6930.9301.428
新生銀行0.6000.9001.0001.500
東京スター銀行0.5000.8500.950
イオン銀行0.5200.4300.740
住信SBIネット銀行0.4471.2001.1101.270
楽天銀行0.5270.9141.197
じぶん銀行0.4571.4501.5901.860
※金利は毎月見直されます。申込時ではなく、借入時の金利が適用されます。
※上記金利は金利引き下げ後の金利です。金利の引下げ幅は、審査結果等により決定します。
フラット35
15~20年21~35年※借入90%以下 機構団信付
ARUHI1.2601.330
住信SBIネット銀行1.2601.330
楽天銀行1.2601.330
イオン銀行1.2601.330

この記事が参考になりましたら、 下の2つのバナーをそれぞれ1クリックお願いします。

住宅ローン・アパートローン 金利上昇リスクはどの程度?

住宅ローンやアパートローンの返済シミュレーションの時に金利上昇のリスクを検討することがあります。 ここ数年間の日本では日銀の政策の影響もあり、低金利の状態が続いています。 未来のことは誰にも分からないので、変動幅を予想してみるということになります。 住宅ローンやアパー...