2018年8月27日月曜日

人口減少社会での不動産投資と賃貸需要

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを境に首都圏の不動産価格は下落すると予想する意見が多くメディア等で取り上げられています。
その一因とされているのが人口減少です。

不動産賃貸業は家賃が収入源ですから借りてくれる『人』がいないと事業になりません。
今回は人口減少時代に不動産賃貸業はどう変わっていくのか考えます。




〇日本の人口減少の予測は?



日本の人口について予測をしている日本人口問題研究所によると2015年を基準(100)としたときに2030年の人口減少が5%以内の都道府県は東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、滋賀、福岡、沖縄の8都県です。 

2045年には東京都以外はすべて100を切ってしまい、80%すら保てない地域が大半です。

出生率の若干の改善で減少する時期はすこし遅れましたが人口が減るという傾向は変わりません。



〇人口は減るものの世帯数は増加



人口減少局面に入っても世帯数は増えるという予測がでています。
世帯数は2023年まで増加を続け、その後減少がスタートします。

世帯数の増加は世帯規模の減少を意味していて単独世帯が増加することによって起こります。

特に世帯主が65歳以上の単独世帯が増加すると見られています。
(2015年との比較で2040年には270万世帯増加との予測)
これからは単身の高齢者向けの賃貸住宅の供給が増えるかもしれません。


〇不動産賃貸業のお客様は部屋を借りてくれる人




今までの賃貸物件と言えば単身者向けの1Kタイプが大半でした。
その理由はオーナーが目にする目先の数字です。

20㎡の1Kと40㎡の1LDKを比べると面積は2倍ですが家賃は2倍にはなりません。
目先の数字を良くするためになるべく戸数が多い方が好まれてきました。

しかし、これから人口が減ることは避けられません。
とりあえず1Kを作っておけばいい時代はもうすぐ終わるのかもしれません。

商品は顧客のニーズを想定して作るものです。
今までの賃貸市場の顧客はオーナーでした。

オーナー(顧客)が求める物件=利回りが高い単身者向けということで物件が作られてきました。

物やサービスの対価をもらう時、顧客のニーズを把握して物を作ることはマーケティングのセオリーです。

人口が減るこれからの時代は顧客=入居者という考えにならないと経営が成り立たないことになるでしょう。

物件が余り始めると入居者のニーズに合わせなければ経営が成り立たなくなります。
リフォームをしたり、建て替えをして入居者のニーズを満たす商品を作る必要に迫られます。

いつまでも「部屋を貸してやってる」感覚では経営ができなくなるのです。



〇これからは賃貸市場のニーズ把握や経営の工夫が必要




これからの不動産賃貸業は入居者側にたって考える必要があるのだろうと思います。
建物を新築する場合やリフォームする場合には市場調査は必須です。

自分の持っている物件のあるエリアにはどんなニーズがあって、どんなタイプの住宅が多くて、どんなタイプの住宅が足りないか調べてみなければ正しいデータは分かりません。

調査の結果、需給のギャップがある間取りをターゲットにしてリフォームしてみたり、入居者の層を限定した商品を作ってみるなどの工夫も必要でしょう。

高齢者をターゲットにするならバリアフリーにするのはもちろん、建物が法定の規模・設備に対応可能でサービス提供事業者と提携ができるならサービス付き高齢者向け住宅も検討できるかもしれません。

サ高住なら自治体によっては補助金制度を利用することもできます。
「東京都サービス付き高齢者向け住宅整備事業補助金交付要綱」↓
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/pdf/kourei_service_01.pdf

他にはセーフティネット住宅に登録することで住宅確保要配慮者を受け入れることで入居者を確保することも選択肢のひとつです。

登録できる住宅には一定の要件がありますが、改修のための助成金を受けられる場合もあります。
https://www.safetynet-jutaku.jp/guest/index.php

不動産賃貸業は長期間の運営で利益をだしていくものですから工夫次第で安定した運営ができることもあれば周りの物件と価格競争になり想定していた収益を得られないこともあります。

どんなに想定利回りが高くても想定した家賃がもらえなければ、その投資は失敗だったということになります。

目先の数字だけではなく長期間運営できる物件なのか、物件の取得やリフォームの段階でしっかり検討する必要があります。


2018年8月17日金曜日

日銀の政策変更 住宅ローン・アパートローンへの影響は?

7月30~31日に行われた、日銀の金融政策決定会合で大規模な金融緩和のさらなる長期化に備え、副作用に配慮した政策の枠組みにすることを決めました。


日銀の政策変更による住宅ローン・アパートローン金利への影響について説明します。



〇長短金利操作への政策変更


短期金利をマイナス0.1%とし、長期金利を0%程度に抑える全体の枠組みは維持しつつ長期金利についてはこれまで許容していた水準の倍に当たる0.2%程度まで金利上昇を認める考えを示しました。

短期金利についてはマイナス金利を適用するとの表現に変化はないものの、マイナス金利が適用される政策金利残高を減少させるとしています。
短期金利についても多少の金利上昇は可能性があります。

金融政策決定会合の1週間前に日銀が副作用緩和の政策をとるという報道がされると、市場では長期金利が0.03%から0.1%まで上昇しました。

政策発表後は発表直後は0.06%程度まで低下しましたが、翌日には0.12%程度まで上昇、8月13日現在0.09%(Bloomberg)となっています。

※長期金利
期間が1年以上の金融資産の金利のこと。
一般的には10年国債の利回り。

※短期金利
満期までが1年未満の期間の短い資金を貸し借り金利。
短期国債、銀行間で資金繰りをするコール取引など。


〇住宅ローン・アパートローンへの影響



①住宅ローン


・変動金利
変動金利は短期プライムレートに連動します。
短期プライムレートに影響を及ぼす短期金利は現在も0.1%のマイナス金利です。
今のところ変動金利の上昇はなさそうです。

・固定金利
長期固定金利は長期金利に連動します。
7月末に長期金利が上昇した影響で8月の長期固定金利は横ばいか上昇しています。
8月の長期固定金利が7月末の金利上昇の影響なら9月は横ばいの可能性が高いです。
7月末の金利上昇の影響が8月の金利に反映されていなければ多少の上昇はあるかもしれません。


②アパートローン



住宅ローンと違いアパートローンの金利は公開されていないことが多く金融機関に問合せなければ分かりません。
アパートローンの金利はほぼ横並びの住宅ローンと違って各金融機関が独自に設定しています。

例えば三井住友銀行のアパートローンは短期プライムレートを基準とした変動金利プランがあります。
貸出金利は1%~1%後半となる場合が多く借受人の資産背景等によって金利が変わります。
http://www.smbc.co.jp/kojin/apartment/

一方で静岡銀行は建物の耐用年数を超えた期間の融資が可能な商品設計のローンを展開しており、他行よりもリスクをとっています。
その分金利の設定も他行よりも高め(3%台)となっています。
https://www.shizuokabank.co.jp/setumeisho/index.html

不動産も銀行もリスクが高ければリターン(不動産は利回り、銀行は金利)を高くしてリスクヘッジします。

それに加えてアパートローンはあくまで事業者融資ですので案件ごとに金利が決まります。

それぞれの銀行で独自の商品があるアパートローンも基準となる金利は短期プライムレートや長期金利に連動している場合があるので金融政策の動向には注意しなければなりません。



〇これからも金融政策の動向には注視が必要



日本銀行は「2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している。」としているためすぐに住宅ローン・アパートローンともに金利が急上昇する可能性は低いだろうと思われます。

アメリカ、ヨーロッパともに景気が回復しつつあり、中央銀行による金融機関緩和は縮小に向かっています。

景気の動向によって金利は上下しますのでローンを組む時には「もし、金利が上昇したら」というリスクも考慮したうえで借入金の額を決めて無理のない返済計画をたててください。



2018年8月10日金曜日

貯蓄から資産形成へ なぜ資産形成が必要なのか

スルガ銀行を巻き込んだかぼちゃの馬車問題以降、投資用不動産を扱う
不動産会社が音信不通になったり、営業マンを減らしたり業務を縮小している
会社が増えているようです。

それでも書店には不動産投資本の新書が次から次へと並び
投資用不動産の掲載サイトには多くのアクセスがあります。

投資に関連するコンテンツの増加は不動産投資に

限ったことではありません。

どうして今、これほど「投資」が求められているのでしょうか?




〇貯蓄から投資へ



20年ほど前に「貯蓄から投資へ」というスローガンが打ち出されました。
背景には公的年金をはじめとする社会保険制度のほころびがあったのだと思います。

日本の年金制度は現役世代から集めた掛金を年金世代に渡すしくみになっています。
日本は少子化が進んでいるうえ、平均寿命は伸びています。

政府も今の制度設計のままでは、公的年金の未来が厳しいことが分かっていますので
受給開始年齢の引き上げなどでなんとか対応しています。

年金制度が崩壊すると考えている人はごく一部の人だけだと思いますが
年金だけをあてにして生活するのは厳しいと考えている人は多いのではないでしょうか。

政府もNISAやiDeCoという投資非課税制度を国が充実させて投資を促しています。
「社会保障制度を充実させるのは無理なので頑張って自分で増やしてね。」
というメッセージとも言えるかもしれません。


〇貯蓄から資産形成へ



「貯蓄から投資へ」のスローガンは思いのほか効果がありませんでした。
スローガンが打ち出されても日本人の資産は相変わらず現預金が約50%のままです。

金融庁が2016年に発表した「平成27事務年度 金融レポート」では、
「貯蓄から資産形成へ」という新たなスローガンが登場し、
金融庁のホームページにはNISAの特設ページができて
主に証券投資についての基礎的な知識を教えてくれます。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/index.html

「資産は頑張って自分で増やしてね。」という路線は継続中のようです。


〇投資は必要なのか



高度成長期には貯蓄をしているだけでお金が増えましたが、バブル崩壊後の
低金利で貯蓄だけでお金が増える時代ではなくなりました。

日本は世界屈指の長寿国です。
退職後の長いセカンドライフを考えると年金だけで老後の生活設計をするのは
難しくなり、自分のお金を働かせる努力が必要になってきました。

インフレによる資産の目減りをカバーするという観点からも投資が必要と言えます。
「日銀は物価上昇率2%を目標に」というフレーズがここ数年ずっと続いています。

その目標はなかなか達成できませんが、様々な金融政策で目標達成を目指しています。
日本はデフレだと言われていますが、実際はどうでしょうか?

自販機のジュース、昔は100円でした。
今はどうでしょうか?

消費税が上がるたびに値上がりしています。
100円→110円→130円・・・
消費税増税も強制的な物価上昇です。

デフレだと言われている日本でも長期で見れば物価は上昇しています。
直近の日本のインフレ率は0.5~1%程度ですが、少しは物価が上がっています。

インフレ率が1%なら、なんらかの資産運用をして1%資産を増やさないと
資産は目減りしたことになります。

この資産の目減りを防ぐために資産運用が必要とも言えます。


〇それでも投資は必要ないという意見もある



それでも投資なんかやめなさいという意見もあります。

投資は失敗すると資産が減ります。
失敗するくらいなら何もしない方がいいという考え方もあります。

投資そのものに失敗しなくても投資をするためにかかるコスト(手数料など)
を考えると投資にかかわる仕事をする人を儲けさせるだけだから
投資をする必要はないという考え方もあります。

節約で運用と同じくらいのお金を作り出せる人は投資は必要ないかもしれません。
年金が少ないならその範囲内で暮らせる生活をする。
自給自足で生活するなど節約で生活できるなら無理にリスクをとって
投資をする必要はありません。

生まれながらにしてお金持ちでお金に困らない人は
お金を減らさないことを考えればいいので投資は必要ありません。


〇自分の「将来」を考えて必要なお金を作る時代


低金利時代で貯金だけではお金が増えない、年金だけで老後の生活ができるか不安、
これからの社会はそんな時代になりつつあります。

ライフスタイルが多様化しても多くの人は結婚し、子供が産まれ、家を買い、
子育てをして教育費を払います。
子育てが終わると自分の老後の生活が待っていてお金がかかります。

「いつ頃に、どんなイベントがあるのか?」
「そのイベントにはどのくらいの費用がかかるのか?」
「その費用をいつまでにどうやって用意するか?」

自分の将来を考えてお金を用意しておく必要性が以前よりも増しています。

節約や生活のダウンサイジングでしのぐことも選択肢ではありますが
「人間は豊かになりたい」願望があり便利な物があれば欲しくなってしまいます。

節約疲れという言葉もあり節約だけでお金の問題を解決するのは困難です。
ある程度、豊かな生活を送るためには自分の許容できるリスクの範囲内で
なんらかの資産形成をする必要であると言えそうです。


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