2018年2月6日火曜日

かぼちゃの馬車問題に見る不動産投資失敗の要因

東京都内に女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開するスマートデイズがオーナーに対して、サブリース賃料の支払い停止を発表しました。

物件を購入したオーナーは約700人といわれていて突然の支払い停止で、自己破産者が多数でるという予測もあります。

しかし、かぼちゃの馬車に投資をした人が全て自己破産をするかというと、そんなことはありません。

サブリース会社が破たんしたとしてもリカバリーできる人自己破産しか道がなくなる人の差はどこにあるのでしょうか?




〇かぼちゃの馬車、投資失敗の原因


①物件の立地


楽待に掲載された記事によれば、2017年10月末時点でのかぼちゃの馬車の入居率は40%程度です。

かぼちゃの馬車のシェアハウスは現在もホームページ上で入居者募集が続いています。

物件によっては入居率40%どころか20%の物件もあります。
逆に入居率80%の物件もあります。

かぼちゃの馬車は物件ごとに建物の仕様や広さに大きな差はないので、入居率の差は立地条件の差と考えられます。

平成25年に国交省がシェアハウス入居者の実態調査の結果を公表しています。
入居動機は「家賃が安い」「立地が良い」「初期費用が安い」がベスト3で、一般の賃貸住宅とほとんど変わらない傾向です。

かぼちゃの馬車のシェアハウスはリビングなどの設備・共用部分はそれほど充実していないので、上記の3点はとても重要になります。

かぼちゃの馬車のホームページを見ても、駅から遠い物件は入居率が悪い傾向があります。


②パッケージローン


かぼちゃの馬車のシェアハウスに積極的に融資をしていたのはスルガ銀行です。
そのスルガ銀行が融資を引き締めたことで新規物件の建築のペースが急激に鈍り、販売利益でサブリース事業の赤字を補填できなくなり、資金繰りが悪化したのが賃料支払い停止の一因とされています。

そもそもシェアハウス自体が融資を受けにくい状況ですから、購入者はスルガ銀行以外に金融機関の選択肢はなかっただろうと思われます。

このローンの最大の問題点は「売却時にどうするのか」ということです。
スルガ銀行が融資をしなくなってスマートデイズが行き詰まったのと同様に、購入したオーナーが売却する時にスルガ銀行が融資をしなければ、現金による購入者以外に売却ができないということになります。

スルガ銀行は「スルガ銀行株式会社」です。
株主から調達した資金で事業を行い、利益を株主に配当する義務があります。

経営判断で融資方針が変わることは予測できるのですから、物件購入者は売却時の見通しを考える時に次の購入者が融資を利用できない可能性は考えておくべきでした。

需要と供給の問題で一部の人しか購入できない物件は価格が大幅に下がります。
今回の賃料支払い停止がなくても、スルガ銀行の融資しか利用できない「かぼちゃの馬車」のシェアハウスは、もともと売却が難しい物件ということだったということです。



③フルローンを理由に物件購入


多くのかぼちゃの馬車のシェアハウス購入者はフルローンで物件を購入しています。
諸費用はフリーローンを利用して自己資金の投入を極力減らしているようです。
自己資金を使わずに投資ができるから購入を決めたという人も少なくないでしょう。

本来、収益物件は収益性を重視して物件の良し悪しを判断しますが、最近は物件の収支よりも融資が通るかどうかを重視する傾向があります。

立地が悪い物件にもフルローンがでていたようですが、物件の収支が悪くても融資が通るということは、収支が悪化した部分は購入者の信用(本業の給与)でカバーできるという銀行の判断があると思います。

フルローンが組める=銀行も高評価の良い物件と間違った判断があったのではないでしょうか。

フルローンが組めることを理由に物件を購入したのなら、結果として投資家・不動産賃貸業の経営者として経営判断を誤ったと言えるでしょう。


④サブリース


サブリース賃料が支払われなくなったことで、サブリース契約は継続できなくなります。

オーナーは新たにシェアハウスの運営会社を探すか、自主管理で対応するしかありません。

シェアハウスの自主管理は難しいため、運営会社に委託することが一般的ですが、新たな運営会社が見つかるまではオーナー自身が対応するしかありません。

さらにかぼちゃの馬車のサブリースはスルガ銀行のフルローン融資と帳尻を合わせるため(ローン返済額を賃料が上回る必要がある)、もともと実現できない賃料水準だった可能性もあり合理性に疑問があります。


〇かぼちゃの馬車のシェアハウス特有の失敗なのか



上記の失敗の原因を考えると、この問題はかぼちゃの馬車特有の失敗とも言い切れません。

立地の悪い物件を個人の信用力で購入している人はたくさんいます。
その物件が遠隔地の場合にサブリースを利用していたり、自主管理が難しい場所の場合もあります。

例えば首都圏の居住者が地方の遠隔地の物件をスルガ銀行のフルローンで購入して、売主の指定したサブリースを利用している場合はかぼちゃの馬車の事例と重なる部分が多くあります。

このケースでサブリース会社が更新時に賃料を改定したり、スルガ銀行が地方の融資を引き締めたりすることは十分に考えられます。

かぼちゃの馬車の問題には物件を供給し、サブリース契約の責任を果たせなかった不動産会社に大きな責任があります。

不動産会社が融資審査のために顧客の資産内容を改ざんしたという話しもあり、改ざんした側はもちろん、見抜けなかった金融機関にも責任があるかもしれません。

しかし、投資は自己責任である以上、最終的には物件オーナーが責任を負うことになります。

今回は銀行の融資の引き締めがサブリース会社の経営に影響する極めて稀なケースではありますが、立地はもちろんサブリース賃料の水準など購入前によく調査をすれば避けられた失敗かもしれません。

調査をしたうえで、リスク回避策を考えていたオーナーはサブリース賃料がストップしても、うまく処理をして運営を継続できることでしょう。

フルローンが組めると理由で安易に購入を決めたのなら、投資家・事業主としては論外で、不動産賃貸業に参入するスキルが足りなかったと言われても致し方ありません。

「かぼちゃの馬車の問題」は、かぼちゃの馬車特有の問題ではなく不動産投資全般に関わるものですので、これから投資をする人は、ぜひ失敗の原因を理解をしておいた方が良いでしょう。


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