2017年12月26日火曜日

2017年の投資用不動産市場を振り返る

2017年もあと5日となりました。
不動産に投資をした人、他の資産に投資をした人、利益確定のために資産を売却した人、何もしなかった人、いろいろな行動をした人がいると思います。


今回は2017年の不動産市況を振り返ってみようと思います。



〇地価の上昇が継続



公示地価・路線価ともに上昇傾向が続きました。
下落幅の小さくなっていた住宅地の地価は、わずかながらプラスに転じ、全体として堅調に推移しています。

低金利でお金を借りやすい環境が、地価上昇の要因のひとつとされています。

全体が堅調な一方で下落が続いている地点もあります。
通勤や買い物に便利な駅から徒歩圏内の地価が上がり、駅から離れた不便な場所の地価は下がるという二極化が全国的に広がっているようです。


〇投資用不動産市場は?



不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家」は毎月、全国の収益物件のデータを集計し、最新の市場傾向として発表しています。

建美家の調査によると2017年の投資用不動産の利回りはほぼ横ばい状態でした。


2017年不動産利回り


投資用不動産の利回りは2013年以降下がり続けていましたので、この1年間で投資用不動産の価格上昇は一服したと考えられます。


〇金融機関の融資が厳しくなった



建美家の不動産投資家へのアンケートによると、「金融機関の融資が厳しくなった」と感じている人が半数を超えました。

不動産投資家 金融機関の融資姿勢


リーマンショック後の富裕層や高属性者以外は不動産投資ができない時期と比べれば、融資は利用はやすい状態が続いていますが、安定した収入があれば、だれにでも貸してくれるほど緩くなくなったように感じます。


金融庁がアパート融資を警戒しているという報道が散々されていましたが、日銀が公表した10月の「金融システムレポート」でも新規実⾏ベースでは、個人による貸家業向けが前年比マイナスに転じているほか、個人の資産管理会社や地場の不動産業者を含む中⼩企業向けの伸び率も急速に低下していると記載があり、融資が厳しくなっていることが分かります。


日銀のレポートには「これまでの不動産市況の上昇傾向に変化が窺われつつあることや
⼀部地域で賃貸住宅の空室率の上昇が続いていることも踏まえると、⼊⼝審査や中間管理などの⾼度化を通じて、信⽤リスク管理の実効性をこれまで以上に⾼める必要がある。」としています。


一定の資産がなければ融資が受けられないという状況になりつつありますが、今までが簡単に融資が受けれられただけで、本来の審査状況に戻ったと言えるかもしれません。


国交省は低金利でお金を借りやすい環境が、地価上昇の要因のひとつと指摘しています。

今回の融資引き締めにより「不動産取引が減少し需要減による価格下落」が起きるのか?

不動産を買う人も売る人も2018年は金融機関や金融庁の動向に注目して、行動してください。

2017年12月13日水曜日

「不動産投資本」出版の仕組み

不動産投資本


東京ではたくさんの不動産投資のセミナーが開催されています。
セミナー出席者には主催者や講師が書いた本がプレゼントされることがあります。

メールマガジンの読者になるだけでその会社の社長が書いた本のPDF版がプレゼントされたり、不動産投資本はいろいろな方法で無料でもらえます。

○冊買ってくれた人には○○が特典としてついてくるなどの広告も見かけます。

アマゾンで不動産投資のカテゴリーで本を探すと、500以上の本が売っていて、2017年に出版された本だけでも100以上の不動産投資本があります。

不動産投資本の出版ラッシュには、出版者側が仕掛けている仕組みに原因があります。



この記事では、不動産投資本が出版されるシステムと情報選択の重要性ついてお話しします。



ー目次ー

1.不動産投資本の大半は広告
2.不動産投資本の情報は冷静に分析して取捨選択する
ー金持ち父さん 貧乏父さんはアメリカの話
3.大切なことは情報の分析
ー冷静な情報分析が不動産で失敗しないためには大切



1.不動産投資本の大半は広告


広告


私にも定期的にいろいろな出版社から、不動産投資本出版の勧めの連絡がきます。
私がブログで行っている情報提供がすばらしい・・・からではなく、「出版でブランディングしませんか?」という営業です。

数百万円の費用負担で単行本の出版ができて、費用によっては本屋さんの平積みの目立つポジションに本を置いてもらえるそうです。

数百万円をかけて企業や個人が本を出すのはブランディングのためであることが多く、出版という信用力を利用した広告としての効果を狙ったものです。

広告チラシに書いてあることは広告としてフィルターをかけて読まれます。
本に書いてあることは広告フィルターを外した状態で読まれる場合が多く、本を出版できるだけの実績がある専門家であると思わせることもできます。

「○冊買ってくれた人には○○をプレゼント」などの企画は、広告費の回収のために行われている可能性が高いです。

販売されている全ての本が広告ではありませんが、大半は広告と考えて良いと思います。



2.不動産投資本の情報は冷静に分析して取捨選択する


アメリカ



不動産投資本=広告と考えれば、内容を冷静に考えられると思います。
自分の会社や事業を宣伝したいのですから魅力的なことがたくさん書いてあります。

例えば、有名な『金持ち父さん 貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ氏著)も、著者はアメリカ人でアメリカの話だということを差し引いて読まなければ、日本の不動産投資に活かせる正しい情報にはなりません。

この本にはたくさんの有益な情報や投資への考え方が書かれていますが、実例は「アメリカでアメリカ人に起きたこと」ということを前提として、情報をとらえる必要があります。

アメリカは中古住宅の取引が活発で建物が古くてもメンテナンスが良ければ、建物の築年数が古くても建物に価格がつきます。

メンテナンス状況は関係なく20年で木造建物はゼロ評価の日本とは違います。

税制面でもアメリカは決まったメンテナンスが行われた住宅は法定耐用年数がリセットされます。

日本ではメンテナンス状況に関係なく、耐用年数が経過した住宅の耐用年数は、法定耐用年数の20%となります。

アメリカではノンリコースローンが主流です。
ノンリコースローン(non-recourse loans)とは、対象物件の事業収益または事業資産の範囲に債務履行が限定された融資のことです。

借手は対象物件の事業以外の資産を処分してまで、債務の返済を求められることはありません。その分、金利は高くなります。

日本では一部の不動産証券化市場におけるSPCに対して、ノンリコースローンによる融資が行われているようですが、一般の投資家向けには行われていないようです。

アメリカと日本では事業が失敗した場合のイメージにも差があります。
ドナルド・トランプ氏はカジノ・リゾート事業を経営する会社を破産させた経験があります。
しかし、今はアメリカ合衆国大統領です。

制度の違いはありますが、日本では破産したことが公になっている人が、総理大臣になる可能性は相当に低いのではないでしょうか。

住宅の流通、融資制度、社会環境など、日本とアメリカでは少し調べるだけでもこれだけの違いがあります。

『金持ち父さん 貧乏父さん』を読んで参考にするとしても、上記の日本とアメリカの違いなどから、本に書いてある情報の取捨選択が必要になります。

日本の不動産会社(有名な投資家)が広告目的で書いている本ならば、なおさら取捨選択が重要になります。


3.大切なことは情報の分析


情報の分析と成功



不動産投資本が広告やブランディングが目的なものと考えれば、内容を吟味する必要性があることは明らかです。

不動産会社なら顧客獲得や囲い込みが目的でしょう。
最近は無理な投資でお金に困った有名投資家が本を広告にして、(メルマガ登録で著書をプレゼントなど)多額の授業料がかかる不動産投資塾に勧誘をしていたりします。

不動産を扱う仕事をしていると、この人は「不動産業者にだまされたな」と感じることが多々あります。
※最近はだます側に不動産コンサルタントや有名大家さんの投資塾などが加わり、とてもカオスな状態になっています。

「だまされた」というのは噓をつかれたのではなく、必要なことを伝えられていない(大切なことを隠されている)ことのほうが多いように感じます。

これから起きる可能性のある運営上のリスクや売却時の見通しなど、聞かないと教えてくれないことはたくさんあります。

本やセミナー、知人からのアドバイスなど、情報を得る機会はたくさんあると思います。

情報を得た時にはフラットな視点でその情報を分析してください。
絶対に鵜吞みにしてはいけません。
自分にとって有利だったり自分の意見と同じことが必ず有益とは限りません。

冷静な情報分析が不動産で失敗しないためには大切です。


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