2017年9月21日木曜日

アパート・マンション経営の支出

アパート経営の採算性を表す指標として「利回り」があります。
投資対象の不動産の価格とそこから得られる賃料収入との関係で表され、次のような2つの利回りがあります。


表面利回り(%)  =  年間の総収入÷総投資額×100
実質利回り(%)  = (年間の総収入-経費)÷総投資額×100

販売図面やネット広告などに書いてあるのは「表面利回り」です。

実質利回りは仲介会社などから前年の経費を確認したり、経費がこのくらいはかかるだろうという予測の基に計算をします。

この経費(アパート・マンション経営の支出)には、どのようなものがあるのでしょうか?




○1棟アパート・マンション経営の支出




①税金
固定資産税・都市計画税・不動産取得税※・登録免許税※・所得税・住民税など
※物件の取得年のみに必要

②損害保険料 
事業に要する火災保険・地震保険の掛け金で当年度分

③修繕費
建物、設備等の修理代金や原状回復費用など 

・大規模修繕
国交省のマンションの修繕積立金に関するガイドラインでは、15階未満、延べ床面積5,000㎡未満の建物の場合、1㎡あたり208円が目安としています。

これを目安に賃料の3~5%程度は住みたてておく必要があります。

・原状回復
入居期間や部屋の広さ、室内の状況によって異なります。

④ローン返済 
ローンを利用している場合

⑤地代・家賃 
借地の場合の賃料

⑥手数料 
不動産会社への入居者募集・契約更新に関する手数料など。

⑦委託管理費 
不動産会社へ支払う管理費など
入居者や家賃の集金などの賃貸管理は収入の5%程度が一般的。
その他に実費で清掃費用など

⑧各種点検費用(建物の規模・設置状況により異なる)
・消防点検(建物の規模により3~10万円程度)
・受水槽(水量によって3~10万円程度)
・エレベーター(月額2~5万円程度、契約形態により異なる)など。

⑨水道光熱費 
共用部分の水道料・電気料・ガス料など。

⑩広告宣伝費 
入居者募集広告に要した費用など
客付仲介会社への報酬化しており地域によって異なる。

賃貸需要の高い地域ではかからないこともあります。
賃貸需要の低い地域や競争の激しい地域では賃料の2~3ヶ月分が必要となる場合もあります。



○区分所有のマンション(1室)の支出



①税金
②損害保険料 
③管理費・修繕積立金
管理組合に支払う管理費・修繕積立金
区分所有のマンションは管理組合に支払うので
自分で積み立てる必要はありません。

④修繕費
専有部分の設備等の修理代金や原状回復費用など 

⑤ローン返済 
⑥地代・家賃 
⑦手数料 
⑧委託管理費 
⑨広告宣伝費 


○経費率は地域差に注意



シミュレーションをする時に家賃に対する経費の割合を一律で考えてしまう人がいます。

広告費は地域によって相場に差がありますし、建物の規模によっては各種点検費用が必要になる可能性もあります。

東京と地方の比較をすると同じ面積でも家賃は半分というのはよくあることです。
同じ面積なら同じ原状回復工事をすれば同じ費用がかかります。

物価の差などを考慮しても地方だから原状回復費用が半額ということはないでしょう。

例えば月額の賃料が50万円の同スペックの1Kタイプのアパートが東京と地方にあるとします。

東京の家賃が5万円だとしたら10室のアパートということになります。
家賃が半額だとすると地方都市の物件は20室のアパートです。

年間10%の入居者が入れ替わるとしたら東京のアパートは1室、地方のアパートは2室入居者の入れ替えがあります。

単純に原状回復や新規入居者の募集の経費は東京の倍かかることになります。
極端な例をあげましたが、地域の賃貸需要や入居者の属性などの実態にあった経費割合を選択する必要があります。



○アパート・マンション経営は投資ではなく事業




不動産投資はお金を投入して終了ではなく、購入後の運営で収支が大きく変わる事業的な面があります。

賃貸物件を所有した瞬間から不動産賃貸業という事業が始まります。

家賃収入が入ってくるので比較的安定していますが、事業の継続のためには物件の管理・修繕のための支出やトラブルが起きた時のリスク管理のための保険の支出があります。

予想外の設備の故障などのための資金の確保も必要となります。
この辺りは他の業種の事業と同じ部分があると思います。

ローンが組めるから、利回りが高いから、積算評価が高いからといった条件だけでなく、その物件の運営にはどのような費用が必要なのか必ず事前に確認をしてください。

副業や投資ではなく事業をするという意識をもって物件を購入することが、失敗を防ぐ手段になります。


2017年9月8日金曜日

不動産投資と情報リテラシー

8月31日のサッカー日本代表VSオーストラリア代表の試合で、日本代表のワールドカップ出場が決まりました。

翌日、ネットのスポーツニュースはサッカー日本代表の話題一色だったのですが、その中で面白い記事がありました。

「ハリルホジッチ監督を酷評する理由をスポーツ新聞記者に聞いてみた」
https://news.yahoo.co.jp/byline/murakamiashishi/20161013-00063201/

この記事は約1年前のものです。
おそらくネットニュースが関連記事として自動で拾ってきたものだと思います。

登場人物は匿名なので真偽のほどは分かりませんが、成績にかかわらず年中解任記事が出ていたのでなんとなく納得しまうような内容でした。


この記事の中に
「今は情報リテラシーが問われる時代だ。マスメディアが発信する記事の裏にはどういった事情があるのか、常に疑う姿勢が必要とも言える。自身の眼で正しく情報の取捨選択をしてほしい」という記載があります。

リテラシーというのは「適切に理解・解釈・分析し、改めて記述・表現する」という意味ですが、不動産投資や資産運用に関しても同じことが言えるのではないでしょうか。

今回は不動産投資と情報リテラシーについて考えてみました。



〇「複数法人を利用した融資スキーム」の論争



先月末から今月に不動産投資関連の話題でこんなことが起きていました。

元メガバンクの支店長で現在はTSネッツ代表取締役の菅井敏之さんがFacebookにこんな投稿をしました。
https://www.facebook.com/toshiyuki.sugai.7/posts/1470668099667660?pnref=story

「複数法人を利用した融資スキーム」への警告です。

菅井さんは以前から銀行を欺く融資手法に警鐘を鳴らしていました。
その活動で上記の投稿をされたわけですが、たくさんの反応があったようです。
https://www.facebook.com/toshiyuki.sugai.7/posts/1477494332318370?pnref=story


この複数法人スキームについては私もいくつかの金融機関の融資担当者とも話したことがありますが、どの金融機関も一括返済、実行前に発覚した場合には融資内定の取り消しという対応をするとのことですし、実際に対応した案件も数件あるそうです。

最近では審査の際に提出した情報に間違いがないという書面を提出させる金融機関もでてきています。

著者が誰か分かる本や実名で公開されているブログ・動画などでは推奨する人はいないスキームなので正攻法でないのは間違いないでしょう。


私がもともと「1棟1法人の融資スキーム」や「契約書の改ざんによるオーバーローン」には否定的な立場であることを差し引いても、菅井さんは正しい警告をしているように感じますが、「不動産投資仲間を陥れるな」とか「余計なことを言うな」というような反応もたくさんあるわけです。


〇情報の取捨選択は感情ではなくロジックで



この融資スキームの話題に限らず、不動産投資についてはたくさんの情報があり、情報の取捨選択がとても重要になっています。


不動産の相場に関することや賃貸の需給状況、金融機関に関することなど多様なソースから色々なものを見聞きして、その情報の価値を判断しなければなりません。

不動産投資のセミナーや投資本などでは良いことだけしか聞かせてもらえないことも多いですし、どうしても自分にとって都合の悪い情報は感情的に重要視できない気持ちもあると思います。

不動産投資のセミナーでは「素直な人が成功します」、「考えるよるまず行動」のような話がされることが多いようです。

とりあえず業者やコンサルタントの言うとおりにすばやく動いてくれる人が成功する投資家だということですが、銀行にばれないように借入金の存在を隠したり、見せ金を作るために通帳の偽造や偽の入金履歴を作るなどの行為を業者やコンサルタントの言うとおりにやりなさいということです。

違法性などを感じる時には、どんなに魅力的な提案であっても「それでも、違法な手法は選択しない」という判断が必要です。


不動産投資は正規の方法でも十分に利益を出せる可能性があります。
自分の身を守るためにはぜひ正攻法で進めていくようにしてください。



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