2017年8月25日金曜日

自己資金が戻ってくる? 消費税還付

今回は不動産投資の消費税還付についてお話します。


不動産投資のセミナーなどでは「1物件1法人」のスキームと共にとりあげられていることが多いので耳にしたことがあるかもしれません。

賃貸アパートやマンションなどを売却すると消費税が課税されます。
世の中の投資用不動産の建物部分には消費税が課税されているのです。(土地部分には消費税はかかりません)

建物価格が2,000万円だとしたら160万円の消費税が物件の価格に含まれています。

この160万円の消費税が一定の条件を満たせば戻ってくるというのが「消費税還付」です。



〇消費税が還付されるための条件は?



消費税は課税売上に含まれる消費税から仕入れや経費の支出に含めて支払った消費税を差し引いて、引ききれなかった金額があるときはその金額が還付されます。
消費税還付の手順は以下の通りです。


①消費税課税事業者選択届出書の提出
届出書の提出は物件取得前に行います。

②建物の購入(完成)月に消費税の非課税売上を発生させない
(=家賃を受け取らない。)
決済日を月末に設定し、日割家賃は受け取らないよう調整します。

③建物の購入(完成)月に消費税の課税売上を発生させる
自販機・物販・駐車場収入などの課税売上を発生させます。

④消費税の確定申告書(還付申請書)を提出する

⑤還付申告年を含めて3年間の課税売上割合の推移に注意しながら課税売上を計上し続ける


〇消費税還付は難しい



・一度還付された消費税を返還させられる「還付金返納」


消費税還付で一番面倒なのが「課税売上割合が著しく変動したときの調整」です。
これは消費税還付のためだけに一時的に課税売上を発生させて、還付を受けることを防ぐためのものです。

※課税売上割合とは課税売上/(課税売上+非課税売上)です。

➀還付を受けた初年度の課税売上割合を計算する
②還付を受けた年を含む3年間の通算課税売上割合(総売上3年分/課税売上3年分)を計算する
この➀②の変動率と変動差を数値化して変動率50%以上、かつ変動差5%以上となった場合、還付金は返納しなければならない。

課税売上を発生させるためには金の取引を行うことが多いようです。


・融資を受ける金融融機関によっては消費税還付ができない


金融機関によっては資産管理会社への融資の場合に不動産賃貸業専業とすることを条件とされる場合があります。

その場合には課税売上を発生させるための金の取引などの行為ができないため、消費税還付はできません。

・税務調査の対象になりやすい


租税回避行為とみなされやすい消費税還付は税務調査の対象となりやすくなります。
還付金が多ければ確実に税務調査がきます。



〇消費税還付やるかやらないか


・必ず税理士に頼む

課税売上のコントロールや申告書の作成、税務調査対策など難易度の高い部分があります。

報酬はそれなりに高いですが必ず消費税還付に詳しい税理士に依頼しましょう。


・面倒くさい

課税売上のコントロールのために不動産賃貸業以外の課税売上を発生させなければなりません。

定期的に金の取引などを行う必要があり、時間と手間がかかります。


・リスクがあることを認識する

➀失敗すれば還付された消費税は返納しなければなりません。

②課税売上を発生させるための金の取引は元本割れの可能性があります。
 金の取引業者への販売手数料の支払いなども発生することもあります。

③不動産の消費税還付は租税回避行為として次々と道を塞がれています。
抜け道はあっても税務署には目をつけられやすいため、今後の不動産賃貸業運営時に調査を受ける可能性もあります。



消費税還付をやるかやらないかは投資家個人の考え方次第ですが、気をつけてやらないと課税売上を発生させるための事業での損失や還付金返納など大きなダメージを受ける可能性があります。

くれぐれもご注意ください。

2017年8月9日水曜日

買ったら債務超過? 失敗者続出の新築マンション投資②

前回は新築マンションの投資目的についてとりあげ、目的にあっていれば新築マンションへの投資は間違っていないとお話ししました。

今回はどうして新築マンション投資は失敗者が続出してしまうのか、説明します。




〇投資目的に合っているか確認不足




前回、新築マンションに投資する目的を4つあげました。
➀節税のため ②生命保険の代わり ③個人年金として ④投資として

この目的にはあっているか判断が甘いために投資が失敗しているケースが多いのです。

判断の甘さは正しいシミュレーションができないことが原因です。


・新築物件の家賃は高い



当然のことですが、新築物件の家賃は割高です。
設備は最新で今までの誰も使っていない新品の設備に住むのですから、プレミアム家賃なのは仕方がないでしょう。

そのプレミアム家賃は間違いなく下がるということを考慮してシミュレーションをしなければなりません。

そのうえで個人年金や投資として成立するのか考えて投資をするか判断します。


・売却損が出やすい



新築マンションの価格は新築プレミアムの家賃で設定されています。
入居者が入れ替わった時に家賃が相場通りになれば、その部屋の価格はその時点で大きく値下がりします。

例えば1,920万円の新築物件を表面利回り5%で買ったとします。
家賃は8万円です。

4年後に入居者が入れ替わって家賃が7万円に下がったとしたら、同じ5%の利回りで売っても1,680万円です。


フルローンで購入しているなど融資の割合が多いと、家賃の値下がりによる収支の悪化に耐えられず売却をしようと考えます。

しかし、元利均等返済の場合、返済初期は利息返済の割合が高いため、残債はそれほど減っていないことが多く、売却損が出てしまうのです。


・節税効果は高くない



前回の記事でも取り上げたとおり所得税・住民税の節税効果は高くありません。
相続税という点では一定の効果がありますが、所得税・住民税の節税を期待しても融資の割合によっては節税のために赤字の物件を持ち続けることになります。

赤字になってしまった物件の節税効果は支払いを免れた税額と、節税効果のために補てんしたキャッシュフローの赤字部分と、どちらが多いかという判断になります。



〇資産規模の拡大が難しい




分譲マンションを投資目的で購入している人はたくさんいますが、ポートフォリオに新築で購入して収支が赤字のマンションがあると銀行から融資を受けられずに物件購入が続けられない人がいます。

不動産投資は不動産賃貸業です。
収支が赤字(数年後に赤字になりうる)の物件を持っている人には銀行はお金を貸しません。

銀行は不動産賃貸業という事業にお金を貸すのですから、利益の出ていない事業の拡大にお金は貸せないということです。

節税や生命保険の代わりなどいろいろな投資の目的がありますが、銀行は節税のために行う投資を事業とは認めません。

生命保険に加入していても融資の審査に影響はありませんが、生命保険の代わりにマンションを購入して返済をしているという論理は認めません。

節税は利益を減らすことによって行われます。
生命保険の代わりでも赤字のマンションは負債となります。

儲かっていない事業をしていると判断されてしまうので融資には不利になります。


○新築マンション投資で失敗しないために気をつけること



➀家賃が下がることを認識する。


家賃は必ず下がります。特に最初の入居者の退去後は下落幅も大きいです。


②フルローンは避ける


新築の物件は中古物件に比べてフルローンが組みやすいということもあり、提携ローンを利用して全額ローンで物件を買ってしまう人がいます。

当然ですが、新築物件は中古物件よりも利回りが低いです。
家賃が下がった時にフルローンを組んでいてローン返済額が多い人は収支が赤字になってしまうケースがよくみられます。


③購入前に楽観的なシミュレーションをしない



購入前に現実的な条件でシミュレーションをしましょう。
1年分ではなく保有予定期間分のシミュレーションです。

「家賃は築年数に応じて下がる」、「節税分を収益と考えない」、「修繕の費用を積み立てる」などの厳しいシミュレーションが大切です。


④キャッシュフローが赤字になったら損切りも覚悟する



現金購入や低返済比率なら問題ありませんが、融資の割合が多くキャッシュフローが赤字になってしまったら、手元の資金を投入してでも損切りをする覚悟が必要です。

赤字のまま保有を続けても下がった家賃が新築時の水準に回復する見込みはありません。

収入は増えないのですからローンの返済が終わるまでキャッシュフローの赤字は数年にわたって続きます。

赤字を作ることが目的でないのなら、繰り上げ返済でキャッシュフローを改善するか、売却して損切りを検討してください。

不動産賃貸業として事業を拡大したい人も収支が赤字の物件は処分をして出直しをお勧めします。





どの物件の種別でも同じですが、最終的には購入目的にあうかどうかです。
あくまで税金対策なのか、生命保険の代わりなのか、不動産賃貸業なのか。

購入前に購入目的にあわせたシミュレーションをして目的にあわせた物件を購入して下さい。




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