2017年6月22日木曜日

不動産売却で失敗しないために #2

最近の不動産価格の高騰で利益確定のために物件を売却する人が増えています。
今回は物件の売却のために知っておくべき知識の第2回です。


「収益物件は未公開にしたほうが高く売れる?」



○「未公開物件」の魔法


市場にいる多くの買主は「未公開物件」にとても弱いようです。
実際に「未公開物件」だけを紹介してほしいという問い合わせはたくさんあります。

未公開物件=優良物件と思い込んでいる人がたくさんいるのだと思います。

実際にある会社からレインズに数ヶ月前から掲載されている物件を未公開物件だと言って紹介されてきたお客様が相談に来たことがあります。

わざわざ1枚にまとまっている図面を概要・レントロール・間取図に分けて未公開風に仕立てて紹介されていました。

未公開物件だし良い物件だと思うから購入を検討しているということでしたが、レインズの登録画面を見せるとあっさりと購入をやめました。

※物件の善し悪しの判断基準が未公開か否かになっているのは投資家としての判断能力はいかがなものかと思いますが。

こんな人がいるくらいですから「未公開物件」として販売することには判断を惑わせる一定の効果があります。


○未公開物件の賞味期限



物件を売却する時には売れやすい時期があります。
①売り始めてすぐ
②価格を改定した時

この時期に物件がよく売れる理由は単純でたくさんの人に紹介されるからです。

物件を売り出すと世の中の不動産会社は新物件を条件の合う顧客に紹介します。
その後は条件の合う顧客から問い合わせが来るたびに紹介を続けます。

最初は今までストックしていた顧客にまとめて紹介をするので成約になる可能性が高いのです。

価格を改定した時も同じです。
今までストックしていた顧客にまとめて紹介します。
価格を改定しているので紹介できる顧客のレンジも広がります。
だからこのタイミングの成約率は高いのです。

未公開として扱うならこの2つのタイミングで行い、反響がなければ紹介できる顧客の数を増やすため情報を公開するのが正しい売り方です。

未公開物件としての賞味期限はせいぜい2週間ほどです。


○未公開物件は高く売れる?



一部の未公開物件マニア以外にはあまり効果がありません。

特に収益物件は収支が合わなければ売れないので、未公開物件でも割高な物件はシミュレーションをした段階で分かってしまいます。

いくら未公開物件が大好きな人でも未公開物件なら収支が悪くても買うという人はいないのではないでしょうか。


○買主のフルローン・オーバーローンのために未公開にする



フルローンやオーバーローンのための二重契約のために物件を未公開にするケースもあるようです。

これは金融機関に販売価格を知られないという点では一定の効果があるようですが、未公開にして商談の数を減らすデメリットを超える効果はないように思います。

フルローンやオーバーローンを組むということは融資額が増えるということです。
よほど利回りが高くない限り収支は合いません。

利回りが高いということは価格は安くなります。
物件を高く売るという目的は達成できなくなります。


○物件を売るための最善策は?



一定期間を過ぎたら物件の情報は公開し多くの商談の機会を持つよう努力するべきです。

情報を公開した後は問い合わせの数、物件の見学、商談の数を把握し成約を待ちます。

問い合わせが多くても成約にならない、物件見学には来るけど成約にならないという場合、不動産会社の営業の力不足か物件の販売条件が市場の投資家の求めるものと合わないかどちらかの可能性が高いです。

その場合には販売プランの見なおし、条件の改定が必要です。
不動産の売却は長期化すると売主には大きなストレスになります。

そのストレスに付け込んで転売事業のために物件を相場よりも安く売らせようとする不動産会社もあります。

物件を売る側もその物件の適正な価格を知って、不動産会社と販売戦略を相談することが利益の最大化につながります。

2017年6月14日水曜日

不動産売却で失敗しないために #1

最近の不動産価格の高騰で利益確定のために物件を売却する人が増えています。

今回は物件の売却のために最低限知っておくべき知識を説明します。



〇一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の違いと、どれを選択すればいいか?



不動産の売却を依頼する時に媒介契約(売却依頼のための契約)をします。
3種類の媒介契約から選んで不動産会社に売却を依頼します。
まずは媒介の種類について説明します。

①一般媒介契約


複数の不動産業者に重ねて仲介を依頼することができる契約です。
不動産業者に販売活動の報告義務はありません。

指定流通機構(レインズ)への登録義務はありません。
依頼主も自分で購入希望者を見つけることができます。

不動産業者は他の会社と販売競争をすることになるので、業者側から積極的に勧められることはありません。

一般媒介契約の物件は専任媒介の物件と比較して販売に注力してもらえないこともあります。(広告費をかけてもらえないなど)


②専任媒介契約


特定の不動産業者1社のみに仲介を依頼する契約です。
不動産業者は依頼主に2週間に1回以上の頻度で売却活動の状況を報告する義務があり、物件を指定流通機構に登録しなければなりません。
依頼主は自分で購入希望者を見つけることができます。



③専属専任媒介契約



特定の不動産業者に1社のみに仲介依頼する契約です。
不動産業者は依頼主に1週間に1回以上の頻度で売却活動の状況を報告する義務があり、物件を指定流通機構に登録しなければなりません。
依頼主は自分で購入希望者を見つけることはできません。


〇指定流通機構(レインズ)への登録



専属専任媒介契約や専任媒介契約を締結した場合、他の不動産業者に重ねて依頼することはできません。

しかし、どんなに大きな不動産会社でもその能力には限界があります。
そこで専任(専属専任)媒介契約を締結した不動産業者には全国の不動産業者がアクセスできる情報ネットワークに登録することを義務付けています。

物件の情報を登録することで登録された情報を基に全国の不動産業者が対象の物件を顧客に紹介できます。

窓口がひとつ(専任)でも売却物件の情報が広く行き渡るように宅建業法で登録を義務付けています。


〇3種類の媒介契約、どれを選ぶべき?



どれを選んでも手数料に差はありませんから、どれを選んでも変わりありません。
依頼する不動産業者の販売姿勢によります。

普通に考えると信じられないかもしれませんが、専任媒介の業者が宅建業法に違反してレインズに物件を登録しなかったり、登録をしても他の不動産業者には資料を公開しないなど自社以外の不動産業者が物件を売らないように物件情報を公開しない不動産業者はたくさんあります。

この仕事をしていると媒介を受けている業者に物件資料を請求して、いつまで経っても資料が送られてこないことは日常茶飯事です。

自社で売却ができれば手数料を売主買主両方からもらえるからというのが理由ですが、コンプライアンスよりも手数料という不動産業者は山ほどあります。
会社の規模の大小は関係ありません。

買主は未公開物件を好むので一定期間の未公開は「未公開物件」という言葉で物件の質を錯覚をさせる効果はありますが、その効果は長くても2週間程度です。
一定期間を経過すれば未公開で販売することは成約を遅らせるだけです。


情報が公開されないということは商談機会の損失につながります。
10人と商談するよりは100人と商談をしたほうが成約できる可能性が高いことは当然です。



媒介契約をした不動産業者が情報公開をしてくれるかは売却を依頼してみなければ分かりません。

3つのうちどの契約を選ぶかというよりは媒介契約後の売却活動をチェックすることが大切です。

専任・専属専任であれば売主はレインズの登録を確認できるシステムがあります。
レインズに登録してあっても不動産業者が詳細情報を提供しないこともありますので、依頼した会社以外が物件の広告をしているかなどチェックをする必要があります。


依頼された不動産業者が売主の利益のために売却活動をすれば問題はないのですが、今の日本の不動産売却のシステムでは売主は自分の利益のために不動産業者の販売活動をチェックする以外に方法はありません。


2017年6月2日金曜日

120年ぶりの民法改正「瑕疵担保責任」は「契約不適合」へ

企業や消費者の契約ルールを定める債権関係規定(債権法)に関する改正民法が26日午前の参院本会議で可決、成立しました。

民法制定以来、約120年ぶりに債権部分を抜本的に見直しました。

インターネット取引の普及など時代の変化に対応し、消費者保護も重視しました。
改正は約200項目に及び、公布から3年以内に施行となります。

改正された項目のうち不動産に関連するものは以下の点です。

①敷金と原状回復について明文化
②賃貸借の連帯保証について
③賃貸借の規定(期間や地位の移転など)
④瑕疵担保責任→契約不適合へ

①~③は以前にこのブログで取り上げたとおりです。

「120年ぶりの大改正 民法改正の不動産賃貸業への影響は?」
http://fp-s-fudousan.blogspot.jp/2016/05/120.html
http://fp-s-fudousan.blogspot.jp/2016/05/120-2.html

今回は民法改正のうち「瑕疵担保責任は契約不適合へ」について取り上げます。


〇瑕疵担保責任とは?


例えば、売買契約を締結し引渡しをした物件に雨漏りが発見されたとします。
現民法では売買目的物に「瑕疵」が存在するとして、売主は買主に対して、瑕疵担保責任(現民法570条)を負うことになっています。

不動産取引においては目的物を引渡せば売主は債務を履行したことになります。
目的物に不具合があっても、買主は売主に対して債務不履行責任を問うことはできません。

現民法570条は目的物に隠れた瑕疵がある場合には、売主に対して損害賠償請求や解除権を行使することができるという救済規定を定めています。


〇改正民法では契約不適合へ


改正民法では売主は欠陥がない建物を引き渡さなければならない契約責任があり、雨漏り等の欠陥がある建物を引き渡せば、売主は債務不履行責任としての契約不適合責任を負うというものです。

これまでの瑕疵担保責任では「隠れた瑕疵」という限定があり、買主側が注意してもわからないような瑕疵であることが要求されていました。

今回の改正では買主に過失があっても責任追及そのものは否定されなくなります。
(損害賠償の算定にあたって過失相殺される可能性はあります)


〇契約不適合責任


目的物に契約不適合がある場合、買主は売主に対し、「目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる」と規定されます。

売主が追完義務の履行に応じない場合は契約不適合の程度に応じた代金減額請求ができることになります。

契約不適合に基づく損害賠償は、通常生ずべき損害は全てが賠償の対象とされ、現民法と比べて買主が保護される内容となっています。


〇不動産取引はどう変わるのか?


現在の民法の瑕疵担保責任と同じく公序良俗に反しない範囲であれば、売主買主の合意で責任を免除したり、範囲を限定することはできるだろうと思います。
(不動産業界の標準契約書では瑕疵担保責任は3か月間)

今回の改正は判例などで定着しているこれまでのルールを条文に明記し、国民に分かりやすい法律にするのが大きな目的ですから大きな変化はありませんが、買主(消費者)の保護がより明確になったと言えるでしょう。

今後は「契約の目的に適合しているか」ということが大切になります。
「自分がその家で暮らすため」「投資のため」など購入の目的を明らかにしておくことが必要になります。




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