2017年4月24日月曜日

収益物件の評価 積算評価が高ければ安全?

こんにちは。
栄不動産株式会社です。


積算評価が高い物件を探している人、たくさんいると思います。
信用棄損にならないために積算評価の高い物件を買いなさいと
書いてある本やコラムなどもたくさん見かけます。

物件の積算評価が高ければその投資は安全なのでしょうか?

日銀や金融庁がアパートローンの監視を強めているという記事を
よく見かけるようになりました。


〇金融庁・日銀がアパートローンの監視強化


4月19日に公表された金融システムレポートでは
「不動産市場は、全体として過熱の状況にはないと考えられるが
今後、リスクプレミアムの過度な縮小や過度に強気な賃料見通しが
生じることがないか、注意深く点検していく必要がある。」と指摘し
入口審査での収支計画の検証や中間管理の適切な実施等を通じて、
与信管理能力を高めていく必要がある。」としています。
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr170419a.pdf

過去の金融システムレポートでもこのように指摘しています。

金融システムレポート別冊(2016年3月)での指摘
https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsrb160324.pdf

晩婚化や高齢化、人口の社会移動(地方圏→大都市圏、郊外→市街地)等を
背景に貸家需要が増加している。

貸家業向け貸出は、基本的には、こうした社会的要請に
金融面から応えるものである。

貸家市場の動向は様々な需給要因の影響を受けるが、いずれにせよ、
金融機関において、貸家業向け貸出の実行段階における
物件毎の収支見通しの検証、実行後の中間管理などは、
自身のリスク管理として重要である。

貸家戸数がこれまで増加を続けてきた中で、
空室率は、安定的に推移してきたが、
今後の動向によって大きく変化し得る。

足もとの貸家のビンテージはやや長めとなってきていることから、
滅失はある程度増加していくとみられ、これは空室率の低下方向に作用するが、
世帯数の減少転化という大きな環境変化が見込まれるだけに、
需給の見極めがこれまで以上に重要になってきている。

①地域や物件特性等に基づく類型化やデータ・情報の整備
入口審査における収支見通しの検証
(先行き入居率の妥当性検証方法や下方ストレスのかけ方等)
③中間管理の頻度やポートフォリオ分析等に充実の余地がみられた。
金融機関は、これらの中から、自らの貸家業向け貸出の実情
(残高の大きさ、営業推進方針等)を踏まえた対応を講じていく必要がある。
日本銀行は、各地域金融機関の取り組みの実情を踏まえつつ、
考査・モニタリングを通じて必要な改善を促していく。

一部を抜粋してみました。

通常、収益物件は収益還元法で評価をします。
積算評価は土地建物の価格を計算するだけなので
運営リスクが反映されません。

日銀は入口審査における収支見通しの検証に充実の余地があるとしています。

貸家業向け貸出に係る与信管理上の入口審査
①収入項目
物件所在地における経年別家賃相場・入居実績や、先行きの人口・
世帯推計を踏まえた家賃・空室率の検討・設定

②支出項目
運営費用(委託管理費、管理費、修繕費、大規模修繕費用等)、
固定費用(税金、保険料)等の検討・設定

③キャッシュフロー分析
融資期間に応じたキャッシュフローの安定性分析(DSCR の確認等)、
ストレス事象(収入の減少、金利上昇等)を前提としたリスク評価

④上記の①~③の収支シミュレーションに基づくキャッシュフローを
キャップレート(当該物件に対する期待利回り)で割った割引現在価値等
による評価=収益還元法

⑤事業主の非賃料収入や他の保有資産の確認

日銀は上記の分析結果をもとに案件採り上げの可否のほか
採り上げ条件(自己資金の投入要否や融資期間)を
決定するように改善を促していくと言っています。

アパートローンの物件評価は運営リスクを考慮して
収益還元法を使いなさいということです。


〇収益還元法は難しい


そう言われても収益還元法で評価をするのは難しいという
金融機関側の都合もあります。

金融機関が収益還元法を採用できない理由として
還元利回りの設定が難しいことがあげられます。

還元利回りは取引事例や販売中物件の利回り、公開されているデーターを
参考に算出するのが一般的ですが、日本の不動産市場は情報公開が
進んでいないため金融機関は還元利回りを算出するための根拠が集められません。

そのため収益還元法で評価をする場合は外部の評価機関に依頼している
金融機関もあります。

外部に依頼すれば費用がかかるのでなるべくなら内部で評価ができる
積算評価を採用したいということなのだろうと思います。


〇アパートローン利用時に注意しておきたいこと



日銀や金融庁が収益還元法で審査をしなさいと言っても
すぐに状況が変わるわけではないでしょう。

しばらくの間は積算評価が高い物件は融資がつきやすい傾向が続くと思います。
しかし10年、15年と経過して物件を売却する事情ができた時に
将来にわたって同じ審査基準であるという保証はどこにもありません。

融資がつかない物件=購入者が少ない→価格が安くなる(需給のバランス)

投資の安全ということを考えるのなら土地建物の評価ではなく
多少環境が悪化したとしても収支がマイナスにならない(急いで売る必要がない)
キャッシュフローを得られる物件と資金計画をたてること

これが大切なのではないでしょうか。


2017年4月18日火曜日

不動産の購入・売却の時に知っておきたい「瑕疵担保責任とは?」

不動産の取引をする時に「瑕疵担保責任」や「瑕疵担保免責」という言葉を聞くことがあると思います。

正しく理解していないと思わず被害を受けることがあります。

不動産売買でとても重要な瑕疵担保責任についてお話しします。






〇瑕疵担保責任とは?


瑕疵(かし)は大まかには傷、欠陥などという意味です。
瑕疵担保責任というのは売ったものに欠陥があったら売った人は
買った人に責任を負うということです。
(責任を負う対象は隠れた瑕疵なので事前に申告したものは除きます)


瑕疵担保責任は民法と宅建業法で決められています。


①民法上の瑕疵担保責任



民法では個人間の売買に関する瑕疵担保責任が定められていて
買主が瑕疵があると知った時から1年間請求することができるとなっています。
(10年の時効あり)

これだと家を売った後、10年間保証しなければならなくなるので、
実際の取引では特約で期間と範囲を決めます。

一般的には3か月間で建物の主要構造部です。
設備は7日間などと定めることもあります。

隠れた瑕疵があった場合、買主は売主へ損害賠償を求めることができます。
欠陥などが重大な場合で購入の目的が達成できないのなら
契約の解除を求めることもできます。

契約当事者間で合意すれば免責とする特約も可能です。



②宅建業法での瑕疵担保責任



宅建業法では売主が宅建業者の場合の瑕疵担保責任について定めがあります。
宅建業者は最低2年間の瑕疵担保責任を負わなければなりません。

新築の場合には住宅品質確保法で基本構造部分の瑕疵について
10年間の保証を義務付けています。

当事者間で合意をしても免責とすることはできません。



③消費者契約法



個人でも宅建業者でもない法人が売主、買主が消費者の場合には
消費者契約法が適用になります。
直接の条文はありませんが、消費者側不利になる特約は無効とされています。

判例等から1年程度の瑕疵担保責任の期間を設けなければならないようです。

法人で所有している不動産を売却する時に買主が消費者だった場合には
消費者契約法が適用されて瑕疵担保免責の特約はできません。



〇民法改正で瑕疵担保責任から契約不適合へ



今回の改正により、「瑕疵」という用語は使用されなくなり、
「種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないもの」
という表現になります。

瑕疵担保責任では目的物に欠陥があった場合、損害賠償請求が認められて
購入目的を達成できなかった場合の契約解除を認めています。

今回の改正案では契約不適合がある場合、買主は売主に対し
「目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる
履行の追完を請求することができる」
という規定に変わります。

現状の瑕疵担保責任ではできないとされていた履行の追完
(欠陥を修理して引渡す)が認められることになります。

改正案では買主が催告しても売主が追完義務の履行に応じない場合に
契約不適合の程度に応じた代金減額請求が可能となります。



〇不動産取引で注意する点は?




・不動産を購入する場合


建物が古い場合など瑕疵担保免責での契約を求められることがあります。
いったん契約を締結すると一方の都合で簡単に契約を解除することはできません。

瑕疵担保免責で契約をするのなら契約前に建物の調査をする、
修繕の費用を用意しておくなど対策が必要です。


・不動産を売却をする場合


売主は物件の瑕疵について誠実に情報提供をし
契約前に瑕疵を明らかにしていくことがトラブル防止になります。

今後は建物のインスペクションについて説明が義務化されますので
専門家に調査を依頼という選択もあります。



物件の隠れた瑕疵をめぐるトラブルは非常に多く解決には時間と費用を要します。

買主は物件の状態を十分に理解し、売主は誠実に情報を開示することが大切です。


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