2017年1月30日月曜日

相続のことも考えて賃貸経営していますか?

アパートオーナーになると相続税を払う側になる可能性があります。
不動産投資家のみなさんは相続のこと考えていますか?



〇相続税の基礎控除引き下げで納税対象者は前年の2倍に



平成27年1月から相続税の基礎控除額が引き下げられた影響で、平成27年に死亡した人のうち遺族などに相続税の納税義務が生じた人の割合は現行の課税方式になってから最も高いおよそ8%となりました。

前年の約2倍の人が相続税の納税義務者になったのです。

この仕事をしているといわゆる「地主」という人と話をすることがあります。
地主のみなさんは相続が起きると多くの場合に相続税の納税義務者となります。

地主のみなさんは相続税を減らす(財産評価を下げる)努力はしている人が多いのですが、
相続税を払う準備をしている人は少ないのが現状です。


〇相続税の計算方法


まず相続税の計算方法はざっくりとこんな感じです。

①正味の遺産額を計算
土地・建物や預金等の財産から借入金や未払金等の債務を引いたものが正味の遺産額になります。

現金は持っている金額がそのまま遺産額になりますが、不動産は土地・建物を分けて、それぞれ計算されます。

賃貸用の不動産は自宅と比べて評価が低いため相続税対策としてアパートの建築が行われたりします。


②課税遺産総額を計算
①の正味の遺産額から基礎控除額を引いたものが課税遺産総額になります。


③按分
分け方は自由です。


④按分された遺産の額に税率をかけて相続税を算出します。
被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告し納税します。


〇一番必要な対策は納税源資の準備



地主さんは①の財産の評価額を下げる対策ばかりをして④で必要な納税資金を準備していないことがあります。

その場合には不動産などの一部を現金化しなければなりません。
せっかくの資産を急いで安売りしないためにも納税源資の準備は必要です。



相続したアパートの管理のご相談を受けることがありますが、ひどいケースでは相続した時点でアパートが空室だらけで赤字だったり、数年後には計上できる経費の減少で収支が赤字になるという相続したくない物件があります。


これから人口は減少し住宅が余る時代がやってきます。
不動産賃貸業の経営者として相続人のために相続したくないような物件を残さない物件選定をしてください。


そのうえで生命保険などを活用して納税源資を確保しておくこと、できるだけ共有名義での相続を避けるような分散をすることなど対策できることがあります。

相続というのは人が亡くなって起きることなので日本人の倫理観からか、事前の準備について話し合うことが敬遠されがちです。

不動産を資産として残す側が対策をしておいてあげることが必要なのだと思います。



2017年1月20日金曜日

楽観的なシミュレーションで投資していませんか?

定期的に似たような内容の記事がでますが昨年12月にこんな記事が掲載されました。
自己破産する家主が増加「業者にカモにされた医者や外資系サラリーマン」
http://www.zenchin.com/news/2016/12/post-3088.php

大まかな内容はフルローン(オーバーローン)が組めるからといって、地方の1棟RCに投資をしてしばらくすると収支が悪化、その後破綻というものです。

昨年の夏に話題になった「頭金ゼロでサラリーマン大家」を借金漬けにする地方銀行のウラの顔」と似たような話です。

この記事については当ブログでも取り上げました。
http://fp-s-fudousan.blogspot.jp/2016/08/blog-post.html
http://fp-s-fudousan.blogspot.jp/2016/08/blog-post_8.html

定期的に出てくるこの話題ですが、原因は楽観的なシミュレーションです。


今回は「不動産業者の作ったシミュレーションは信用できる?」について説明します。


〇銀行評価済み・オーバーローンの罠


無料相談でも「この物件買っても大丈夫?」という相談を受けることがあります。
そういう物件は、ほぼ100%楽観的なシミュレーションで利益の出る物件に仕上げられています。

そして多くのケースで銀行の評価済みで自己資金ゼロで購入できると言われて購入するか迷っています。

フルローンが組めるのは積算評価が高いからですが、積算評価は物件の収益性とは無関係です。

このブログで何度か申し上げていますが、「フルローンが組める物件=良い物件ではない」のです。

このような物件のシミュレーションは
・所得税・住民税が考慮されていない
・修繕のための費用が考慮されていない
・なぜか30年間家賃がほとんど下がらない
・入居率が常に高い
・入居者募集の費用がかからない 

などよく見るとあり得ない条件で試算されています。
所得税・住民税については出ていくお金として全く考慮されていないか20%で試算されています。

本業の年収が高い人は税率が20%よりも高くなることがあり、その場合には収支が悪くなります。

建物が古くなれば家賃が下がるのは当然ですし常に満室稼動の物件はありません。

特に地方のRC物件の場合、修繕費が経営を難しくします。

東京都や神奈川県などの都市部と比べて地方の家賃は安くなります。
場所によっては半額です。
しかし、修繕工事の費用が東京都の半額になることはありません。

東京都では2か月で回収できる原状回復費用が地方では回収に4か月かかる場合もあるのです。

購入当初は経費を多く計上できますから運営も好調です。
しかし、築年数の経過で徐々に家賃が下がり経費は減っていきます。

融資は目一杯借りていますから自己資金を使って借入割合を減らした人に比べて収支の赤字は早くやってきます。

そこに退去が重なったりすれば破綻が近づきます。
利回りが高い物件を低金利で買わない限り誰にも起こりうる話です。

地方のRCに投資をして成功している人もたくさんいます。
しかし、成功している人の多くはリーマンショック後の物件が安い時期に自身の高属性を利用して低金利の融資を受けています。

その時期には収益還元で低金利のフルローン融資をしていた都市銀行があり、東京に住んでいる人が良い条件で地方に投資をできる環境がありました。
現在の市況とは状況が違います。


〇VIP扱いは不動産業者の罠



私に相談にいらっしゃるお客様には不動産投資は想像しているよりも儲からないと話しています。

「この物件は未公開物件であなただけに優先して紹介しています。」とか「今なら金融機関の評価済みでオーバーローンで購入できます。」などと魅力的なことを言われると悪い物件を勧められていると思えないかもしれません。

特別扱いされて悪く思う人はいないのです。
ただ、そこは冷静に立ち止まって下さい。

投資は自己責任で行うものです。
業者にカモにされて破綻する人にも責任はあります。


良い話をされている時ほど冷静に現実にはあり得ない想定で試算されたシミュレーションでないか考えてみて下さい。


2017年1月6日金曜日

2017年度税制改正大綱 不動産オーナーに影響は?

昨年12月8日、与党は2017年度税制改正大綱を決定しました。
不動産オーナーに影響のある部分をとりあげてみます。


今回の税制改正大綱は主に
①構造変化を踏まえた個人所得課税改革
②デフレ脱却・経済再生に向けた税制措置
③中小事業者支援・地方創生の推進
④租税回避の効率的な抑制
⑤車体課税の見直し

この5つを柱としています。

不動産オーナーと特に関連があるのは①個人所得税改革④租税回避の抑制です。

〇個人所得税改革 

今後数年で所得税の控除全般の改革に取り組むとしています。
まずは2018年1月から配偶者の年収上限を現行の103万円から150万円に引き上げます。

配偶者控除の適用の範囲内である年収103万円の壁を150万円に拡大して働きやすくしようという改正になります。

ただ、社会保険の扶養の範囲内になる130万円の壁は改正されていません。

今まではいくら所得が高くても配偶者の所得が控除を受けられる範囲内であれば配偶者控除を受けることができましたが、所得金額による制限ができました。

合計所得金額が1,000万円超となる人は配偶者控除が適用されなくなります。
不動産オーナーの給与所得+不動産所得が1,000万円を超える人は控除が受けられなくなり税金が高くなります。



〇租税回避の抑制


タワーマンションの固定資産税・不動産取得税が実際の取引価格の傾向を踏まえて補正する内容で見直されます。

マンションの固定資産税の評価は建物全体の評価を床面積で按分して計算することになっています。
そのため低層階と高層階が同じ評価になることがありました。

実際の市場価格は低層階と高層階では同じ面積でも大きな価格差があります。
そのため固定資産税評価額で評価される相続税評価は低くなるとして、相続税の節税に目的で購入するタワマン節税が横行しました。

そこに改正が入ったわけです。
高さが60メートルを超えるマンションについて、1階を100として階が増すごとに10/39を加える補正が行われます。

10/39=約0.256ですので現実の価格差とはかなりの開きがあります。
(1階が5,000万円の場合、50階は5,640万円)

この程度の改正ならまだまだ節税目的での購入は進みそうです。

他には「相続税等の財産評価の適正化」として広大地補正の見直し案が盛り込まれています。
広大地補正は評価の減額割合が大きく、取引価格と大きく乖離している事例が多数発生しています。

そのため富裕層の節税策に利用されているということでタワーマンションの評価補正とともに見直しがされることになりました。

評価の適正化だけでなく海外移住に伴う相続税の「5年ルール」を「10年ルール」に見直します。
今までは相続する人、相続される人が海外に移住した場合でも、過去5年以内に日本国内に住所があった場合には全財産に相続税がかかるルールになっていました。

この「過去5年」を「過去10年」に見直します。
過度な節税を防ぐ方向に進んでいるようです。


あと1か月もすれば確定申告の時期がやってきます。
不動産賃貸業と税金は切っても切れない関係です。
影響がありそうな税制についてはチェックしておいてください。


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