2016年12月22日木曜日

2016年の投資用不動産市況を振り返る

2016年もあと1週間ほどとなりました。
不動産に投資をした人、他の資産に投資をした人、何もしなかった人、いろいろだと思います。

この時期になると来年の経済市況についての予測記事が多く出ますが経済の予測はできません。

去年の記事を見ていると円高でドル円相場は年末に100円とか日経平均は23,000円とかたくさん書いてあります。
経済誌に記事を書くようなプロでもこんな感じですから予測は難しいのです。

起きたことを振り返ることはできるので2016年の投資用不動産市況をいろいろなデーターから振り返ってみたいと思います。



〇公示地価


全国・全用途平均は0.1%上昇、リーマンショック以降初めて(8年ぶり)上昇に転じました。
全国・商業地は0.9%上昇。
全国・住宅地は前年比0.2%と下落したが、08年以降で最も小さい下落幅となりました。

国交省は「都市圏や地方中枢都市だけでなく、全国的に地価の回復がみられる」としました。
ただし、リーマン前の価格水準には戻っていません。

〇路線価


16年路線価は全国平均で0.2%上昇し、8年ぶりに上昇しました。

14都道府県が上昇し、首都圏では東京都が2.9%(前年2.1%)、神奈川県が0.5%(同0.6%)上昇しました。
1都3県は2015年に続いての上昇です。

〇仲介会社調査の土地価格


野村不動産アーバンネットの調査した住宅地の地価動向(10月1日時点)によると東京23区は2.7%、東京都下は1.1%、神奈川県は0.3%、埼玉県・千葉県は1.3%の上昇となりました。

この調査は通常取引を想定した実勢価格を査定していますので売買の相場に一番近い指標です。  


〇投資用不動産利回り  

日本不動産研究所「不動産投資家調査」2016年10月


不動産投資家のAクラスビル(オフィス)の期待利回りは東京及び主な政令指定都市において前回比で横ばいの地区と0.1~0.2%低下した地区とが混在する結果となりました。

調査開始以降最も低い水準となった「丸の内、大手町」の期待利回りは今回調査では前回比で横ばいとなったが「赤坂」「西新宿」「渋谷」などでは前回比で0.1%低下しました。

2013年以降続いた期待利回り低下の動きに変化が見られました。


〇投資用不動産利回り 

楽待「物件統計レポート」2016年12月


不動産投資サイト『楽待』を運営するファーストロジックが発表した同サイトの「投資用 市場動向データ 2016年11月期分」の調査結果によると、投資用不動産の全物件種別で価格が下落しました。

中でも一棟アパート、マンションの価格は前月と比較して10%以上下落しています。

前月には全物件種別で利回りが上昇していたことも合わせて、投資用不動産価格の上昇トレンドはピークを過ぎ、下落トレンドに転じた可能性を指摘しています。



リーマンショック以降、低迷をしていた不動産価格はこの2,3年で上昇しました。

上昇の原因は株価の上昇などの経済的な要因や金融機関の積極的な融資姿勢などがあります。

最近は「アパートローンの急拡大を受け、金融庁と日銀は実態把握に乗り出した。」という記事も増えました。

このような金融庁の姿勢には人口・世帯数の減少が確実視され、空室率の上昇など供給過剰感が出始めていることもあります。


最初にお話しした通り、これから起こることを予測することはできません。
来年はどうなるか分かりませんが投資用不動産市場の転換期となる可能性は十分にあります。



2016年12月12日月曜日

日本の不動産取引の現状と問題 ③

過去2回の記事でアメリカと日本の不動産取引をくらべてみました。
その比較から日本の不動産取引の問題点と消費者側が気をつけることを考えてみます。


〇レインズは有効に使われていない



レインズとは不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムです。

土地や住宅を売りたい人、買いたい人は不動産業者に相手方や物件の検索を依頼します。この検索はレインズ導入以前は、店頭への貼紙、新聞広告、知り合いの業者での情報交換などに頼っていました。

これでは迅速性に欠け、一部の人にしか情報を紹介できませんでした。
この欠点を改め、広く迅速に相手方や物件の検索を行うためにレインズが導入されました。

レインズには専属専任・専任媒介の契約をした物件を登録する義務があります。
成約をした物件についても成約情報を登録する義務があります。
しかし、どちらも徹底されているわけではありません。

不動産業者の一部ではレインズに登録されている物件は出回り物件で良い物件はないというようなことが言われています。

広く迅速な対応をするためのシステムが全く活用されていないことの証明のようなものです。

レインズが活用されない理由としては違反をしても罰則が緩いことがあげられます。
アメリカのMLSは違反をすると厳罰がありますが、レインズは大手不動産会社の役員など関係者が理事をしているせいか罰則を科されるケースはほとんどありません。

そのため、違反はなくならず、仲間のみんなが違反をするから罰則もないというのが現状です。



〇消費者が物件について調べることができるツールが少ない


路線価・公示地価・固定資産税評価額どれも実際の売買との関連は低いため参考になりません。
成約事例に基づいた不動産相場を調べられるツールが必要です。

消費者は物件について正確に調べることができない、前述のようにレインズは活用されていないため未公開物件=優良物件と思い込んでしまいます。
公開されている物件は条件が良くても「出回り物件」だと敬遠する人も少なくありません。

レインズ掲載されていて広告不可の物件は山ほどありますが、会員専用ページに未公開物件として掲載したり、未公開物件のように見せるために資料を作り直して紹介されている物件はたくさんあります。

未公開物件=優良物件と思い込んでいる人は実際にはレインズ公開されている物件を未公開物件と思い込んでそれが実際の価値よりもよく見えてしまいます。

情報が少なく良い物件の価値基準を作ることができないためこんなことが起きてしまいます。


〇消費者に不動産資格や検定の情報を知らせる努力が足りない


宅建以外にも不動産関連の資格や検定があります。
しかし、消費者はどのような資格や検定を受けている営業マンが優秀なのか分かりません。

宅建資格を扱う不動産流通推進センターは不動産検定や講習を受けろと不動産会社にたくさんメールを送ってきます。
しかし、そんな検定があることを知っている消費者はほとんどいません。
消費者側に知らせる努力をしていないからです。

資格、検定は有料です。時間も取られてしまいます。
不動産についてお金や時間をかけて知識レベルを高めている営業マンがいても消費者には伝わらないのが現状です。

消費者側も時間をかけて調べなければ担当者の持っている資格が何の役にたって、どんな知識があるのか分かりません。

〇大手志向の消費者


日本の消費者は大手だから安心と思っている人がたくさんいます。
大手不動産会社にも優秀な営業マンがたくさんいますが、支店の半数は経験年数が3年未満というようなところもあります。

マニュアル化されている分、安心感はありますがマニュアルにないことはできない人も多いのです。

中小の不動産会社は完全に担当者次第となります。
私は過去にいろいろな不動産会社と取引をしていますが、担当者の業務知識は極端に差があります。

すごく優秀な人もいれば何の知識もなく年数だけを重ねている営業マンもいます。

消費者は大手でも中小の不動産会社でも営業マン個人の力量を見抜けなければ、いい不動産取引はできないのが現状です。


〇消費者はどうすればいいのか?


・ネットの情報をを鵜呑みにしない。

ネットの情報が必ず正しいとは限りません。
医療情報サイトのWELQのことが問題になっていますが、不動産情報サイトにも同じことが言えます。

・営業マンと多くのやり取りをする。

インターネットで問合せをするとたくさんの不動産会社から営業メールがきます。
多くの人は返信をしないようです。

営業マンの資質を判断するためにもやり取りをしてみて下さい。
まともなやり取りのできる営業マンとは会ってみてもいいと思います。

優秀な営業マンは購入のサポートだけでなく取引相場を調べてアドバイスをくれたり、アフターフォローにも優れています。
ただの情報屋として不動産の営業マンを判断しないようにして下さい。

・自分に都合の良い話があっても立ち止まって考える。

「あなただけに紹介している未公開物件」とか「優先して公開前の物件を紹介している」というのは営業のよくある手口ですが、以外とこれに弱い人は多いようです。

未公開物件だろうが優先して紹介されていようが、その物件を購入することでちゃんと利益がでるのか、焦らずに考えて下さい。

・物件によっては自費でインスペクションを検討する。

個人間の物件売買では瑕疵担保責任免責で取引をしているケースをよく見かけます。
※瑕疵担保とは建物の保証期間のようなもの

物件に故障箇所がでると修繕に多額の費用がかかるだけでなく、建物の状態によっては入居率にも影響がでてしまいます。

簡易的なものであれば数万円の費用で建物の検査ができます。
瑕疵担保免責や瑕疵担保3か月間の場合には契約前にインスペクションの検討も必要です。




国交省は将来的にはアメリカの不動産取引のシステムのようなものを日本でも導入したいと考えているようです。
試験的に横浜市で不動産データベースを作ったりしています。

そのため各不動産業界の団体でもアメリカ視察に行ったりしているようですが視察に行っても何も改善されず、視察はおじさん達の慰安旅行になってしまいます。

消費者よりも不動産業者に情報が多い現状に居心地の良さがあるのかもしれません。

決して自浄能力が高い業界ではないので今は消費者側がある程度自衛をする必要があります。


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