2016年10月31日月曜日

不動産会社の営業マンはお金について知らずファイナンシャルプランナーは不動産について知らない。

不動産専門のファイナンシャルプランナーとして活動していると不動産会社の営業マンとファイナンシャルプランナーの両方と交流があります。

どちらも不動産に関すること、お金(ローンや税金)に関することを仕事にしています。

しかし、不動産会社の営業マンはお金についての知識は足らず、ファイナンシャルプランナーは不動産について知識が足りないのが現状です。 



○不動産に詳しくないファイナンシャルプランナー


私がまだFP資格を取得する前、住宅販売の営業をしていた時に担当していたお客様(Aさん)が商談の場にファイナンシャルプランナーを連れてきたことがありました。

そのファイナンシャルプランナーが提案したのはローン金額と自己資金の削減で予算を下げることでした。

老後の資金や教育資金を考えると住宅購入のためのローンと自己資金が多すぎると言うのです。

ファイナンシャルプランナーのアドバイスでAさんは検討していた物件を諦めました。

その後、Aさんは1年間物件を探し続けて、以前にあきらめた物件とほぼ変わらない金額の物件を購入しました。 

Aさんはお子様の通う小学校の学区内で家を探していました。
ファイナンシャルプランナーが提案した条件では学区内に希望する物件がないと分かるまで1年かかったのです。

私は最初の商談の時に提案された予算では希望する学区内では物件がないと、そのファイナンシャルプランナーに話しましたが公示地価のデーターから学区内でも物件が探せるはずで検討している物件を買うことは将来的に危険である、他の物件を探すように指示をされました。

東京都や神奈川県など都市部の物件の場合、公示地価よりも実際の取引価格が高いことはよくあります。

公示地価はある程度大きな土地を基準値としていることが多く、取引の多い60~150㎡くらい土地に比べると単価は安くなりがちです。

Aさんが検討していた物件は公示地価よりも1割ほど割高なものでした。
その物件は一番取引の活発な土地の大きさの物件だったため需給の関係で公示地価よりも高い価格で流通していました。


しかし、ファイナンシャルプランナーは不動産の営業は高い物件を買わせたほうが手数料が高くなるから予算を下げることを嫌がるので、予算を下げた物件を積極的に紹介しないとお客様に話しました。

結局、公示地価程度の価格では1年間物件が見つからず、家計の支出として見込んでいた旅行や車の買い替えを見直すことにして元の予算に戻って物件を購入しました

Aさんに必要だったのは予算を下げて希望する物件を妥協するか、希望する生活のレベルを下げるのかという2つの希望条件の折り合いをつけることだったのだと思います。

知識不足にもかかわらず不動産の営業マンの話は自分の利益のためと決めつけてアドバイスをしたファイナンシャルプランナーによってお客様の住宅取得を遠回りさせてしまったのです。


○お金の話に詳しくない不動産営業マン


逆のケースも多いと思います。
お客様が他社で検討している収益物件の収支シミュレーションを見せていただいたことがありますが適当に作ったものがたくさんあります。

家賃収入(不動産所得)にかかる所得税や住民税が収支に含まれていなかったり、一律20%で計算されていて実際の税負担と合っていないものが多いです。

所得税や住民税は累進課税です。
収入が多いほど税率が高くなります。

税率は給与所得と不動産所得を合算して該当する税率が決定されます。
給与所得はひとそれぞれ違うわけですからシミュレーションをする時には税率が何%になるか計算する必要があります。

シミュレーションを見せてくれたお客様の給与所得+不動産所得(物件購入後)の税率は23%なのですが、シミュレーションの税率は20%でした。

仮に700万円が課税対象額だった場合、税率が3%違うと年間で21万円の負担増になります。毎月2万円弱、大きな差がでてしまいます。

結局、この物件は購入しなかったそうですが、購入していれば計算違いのせいで見込んでいた収支が悪化していたことでしょう。


○不動産に詳しいファイナンシャルプランナーは少ないのが現状


独立系のファイナンシャルプランナーの多くは保険販売や金融商品販売の手数料で事業が成り立っています。

保険会社の営業マンに不動産の相談をするようなものですから専門分野でない不動産に詳しくないのも仕方がありません。


資格取得の時に不動産について勉強しているとはいえ、実務と試験勉強では違うのです。
それに加えて不動産会社で働いていても情報収集に困るほど不動産業界の情報公開は閉鎖的です。

これは不動産業界の大きな問題なので改善するべきなのですが、現状では専門家でない人が正しい取引相場や地域の物件情報を得ることは非常に難しいのだと思います。


不動産会社の営業マンがお金の知識を身につけられるかというと、それも難しいのだと思います。

お金の知識どころか不動産を取り扱うための宅建資格でさえ持っていない営業マンはたくさんいるのです。


ノルマに追われながらの長時間労働で勉強する時間はそう多くは持てないのだと思います。


運よくお金の知識を持っている不動産の営業マンに担当してもらえれば良いのですが、担当者がどんな知識を持っているかは担当してもらうまで分からないのです。

消費者側が自分の身を守るためには消費者自身が正しい知識を身につけるか、不動産・お金どちらにも精通したアドバイザーを見つけるかどちらかが必要です。


2016年10月18日火曜日

ファイナンシャルプランナーが考える資産形成の必要性

7月に投資をする前にライフプランを作成しましょうという記事を書きました。
http://fp-s-fudousan.blogspot.jp/2016/07/blog-post_19.html


その記事の中でも書きましたが、ライフプランを作成して老後の資金がショートすると診断されれば改善するためには節約をするか足りない部分を増やす必要があります。



〇日本人は貯蓄と節約が好き



メディア等の報道でも言われることですが、日本人は貯蓄が好きな民族です。




よく見かけるグラフですが欧米に比べると圧倒的に貯蓄の割合が高いですね。


アメリカは一部の富裕層が多くの株式を持っていて、日本は高齢者層が多くの資産を貯蓄で持っているので現実にはこれほどの差はないかもしれませんが、日本人は貯蓄を好む傾向があるのは間違いないだろうと思います。


ファイナンシャルプランナーへの相談の多くは「保険の見直し」「住宅ローンの見直し」「家計の相談」などです。

多くは節約・削減についてのもので資産形成・資産運用についての相談はあまりありません。

メディアに登場するファイナンシャルプランナーが節約ばかりを取り上げることも「節約」に相談が集中する理由だと思います。


無駄な出費を減らすことは家計を改善するうえでとても大切です。
家計を節約という面から考えるとできることは限られています。

しかし、節約には限界があります。
全てを自給自足しない限り、衣・食・住には最低限の費用がかかるのですから支出をゼロにすることはできないのです。



〇節約だけでどうしても足りない部分は何らかの方法で増やす必要がある


節約をしても老後の資金が足りないということが判明した場合には、どうにかして足りない部分を増やすしかなりません。

増やす方法にはいろいろなものがあります。
仕事を頑張って給与所得を増やすことも手段のひとつです。
しかし職種にもよりますが急激に増やすのはなかなか難しいのではないでしょうか。

投資や資産形成という面では不動産だけでなく株・投資信託、FXもありますし、個人年金保険や確定拠出型年金などもあります。


分散投資という面から考えるとどれかに特化してはいけないと思います。

私は不動産投資を勧めていますが、その中で不動産投資をポートフォリオに勧めるのは
①不動産は購入後の運営を専門業者に任せることができること
②株式やFXのように毎日相場をチェックする必要がないこと
この2点が本業に忙しい人に向いているからです。

不動産投資以外にも分散投資のためには個人年金型保険や確定拠出型年金などは必要だと思います。

どのように資産形成をしていくか考えるためにはライフプラン作成が第一歩です。まずはライフプランを作成してどの規模の投資や資産形成が必要なのか知りましょう。

少し古いデータですが、2004年に日興コーディアル証券が『リタイア後の生活費と資産運用 日米比較意識調査』というレポートを発表しています。

その中で日本の主婦の4人に1人がリタイア後の生活について「憂鬱だ」と答えたのに対して、アメリカの主婦の3人に2人がリタイア後の生活について「楽しみにしている」と答えています。

適切な資産形成を行ってリタイア後の生活が楽しみだと答えられるようになるといいですね。


2016年10月13日木曜日

不動産投資の失敗とそのリカバリー 1棟購入編

前回に引き続き不動産投資の失敗とそのリカバリーについて考えます。



今回は1棟売マンションやアパート購入の失敗についてです。

1棟売マンションやアパートは投資額が大きいため投資に失敗すると、その損害は非常に大きくなります。

失敗する要因は主に「過度な融資利用」と「楽観的なシミュレーション」です。


〇過度な融資利用


リーマンショックの頃、ノンリコースローンに近いタイプの融資をしたメガバンクがあり、フルローンが受けやすかった時期がありました。

物件の収益力と土地評価を根拠にして、自己資金のない人でも高属性であれば一棟投資物件をフルローンで買える時期があったのです。
その時期に行った投資が今でも成功しているかは分かりません。

そんな時期に物件を買った人たちが本を書いたりセミナーをしたりして不動産投資を勧めています。

フルローンで一棟物件を買えると言えば本も売れるしセミナーで集客できます。
たいがいは土地評価が高い物件を狙えば金融機関が積算評価で融資をしてくれるという内容です。

土地建物の積算価格と物件の収益性とは全く関係がないのですが、積算評価が高くフルローンが組めるからという理由で物件を買ってしまい、失敗するケースが多いようです。

本来、不動産投資は自分がどんな目的で投資をするのかを明確にし、その目的に応じて、物件を選びます。

目的が違えば収益の目標や物件の選び方の基準も変わってきます。


しかし、自己資金を使わずフルローン投資をすることが目的になってしまうと不動産にとって重要な立地条件や収益性、建物の状態などが後回しになってしまい銀行評価の高い物件を買うことが目標になってしまいます。

フルローンで投資をしても極端に稼働率が悪くない限り最初の数年間は利益がでます。
しかし、家賃が下がったり修繕が必要になったりすると返済に耐えられなくなります。

ただでさえフルローンの収支は10年程度で赤字になります。

【参考】
不動産会社は教えてくれない? 投資をした場合のキャッシュフローシミュレーション
http://fp-s-fudousan.blogspot.jp/2016/07/blog-post_26.html

それにプラスして修繕や稼働率の悪化が起きれば経営は厳しくなります。

〇楽観的なシミュレーション


フルローン投資で行き詰った人のシミュレーションを見ると非常に楽観的だったり、前提条件が甘いものが多くあります。

例えば、
・家賃がずっと一定で下がらない
・周辺相場よりも家賃が高い
・運営経費が一定で増えない(修繕を見込んでいない)
・所得税、住民税などの税金の支払いはキャッシュフローに含まない

などがよく見られます。

上記のようなシミュレーションを作成して物件を売る不動産会社にも問題はありますが、そのシミュレーションで物件を買ってしまう投資家にも問題があります。


〇収支が赤字なってしまった時のリカバリー


収支が赤字になってしまったらできることは限られています。

・融資の繰り上げ返済

収支がマイナスにならない程度まで繰り上げ返済をします。
ただし、家賃収入は建物が古くなれば減額していきます。
大きな繰り上げ返済をしない限りは一時的な延命措置に過ぎません。

・稼働率の改善

建物が古くなったことで稼働率が悪化したことが原因なら稼働率の改善を考えます。
リノベーションによる商品力のアップや賃料の値下げによる競争力アップなどが考えられます。

・売却

収支がマイナスになったら売却してしまうことも選択肢の一つです。
ただし、残債以上の金額で売れる保証はありません。

特に地方の物件の場合には金融機関の融資姿勢によって、需給のバランスが崩れると大きく値崩れを起こすリスクがあります。

【参考】
不動産投資をするなら都心と地方どちらがいい?
http://fp-s-fudousan.blogspot.jp/2016/09/blog-post_26.html


〇不動産投資を「融資」で失敗しないためには


シミュレーションの時点である程度の収支の悪化では赤字にならないような資金計画が大切です。

資金を手元に残す目的でなければフルローンの利用は避けた方がいいでしょう。


地方の物件の場合には最低でも2行の銀行から評価の出る物件を選びましょう。
自身の属性に頼って過剰な融資を受けてしまった物件は売却時に必要な額の融資を受けられない可能性がでてきます。

融資が受けられない物件は需要と供給の関係で購入時よりも大幅に値崩れを起こしリカバリーはできません。


不動産は立地条件が大きく運営に影響を与えます。
立地条件の良い物件をしっかりとしたシミュレーションを行った資金計画で購入すれば、大きな失敗をすることはありません。



2016年10月6日木曜日

不動産投資の失敗とそのリカバリー 区分所有編

不動産投資で成功した話を聞くことは多いですが、不動産投資で失敗事例した話を聞くことはほとんどありません。

成功した場合は大々的に宣伝され、失敗した事例はひっそりとそのまま消えていってしまいます。

不動産投資で成功するためには、どのようなパターンの投資をしてしまうと失敗するのか知っておくことが欠かせません。


〇新築ワンルームマンション投資で失敗


新築ワンルームマンションを販売している会社は節税と生命保険の代りに新築ワンルームマンション投資を勧めてきます。

はじめの数年はマンション投資で順調に節税効果あり、税金の還付を考えると毎年の収支は黒字でまわります。

しかし、数年で節税効果がなくなり毎月の収支は赤字が続くようになります。

毎月の持ち出しが嫌になり物件の売却価格を査定してもらうと価格は大きくダウンすることが多いです。

売却したとしても残債を完済できません。

よくある新築ワンルーム投資の失敗事例です。

新築ワンルームの失敗には不動産投資の失敗の原因が多く含まれています。

原因はなんでしょうか?

・新築プレミアム家賃

新築物件は初回の賃貸募集で周辺相場よりも高めに貸すことができます。
全ての設備が新品だからです。

新築なので設備も最新です。
しかし、最初の入居者が入り数年後に退去すると設備がきれいだとしても新品ではありません。築年数が経過し家賃は当然下がります。

新築時に相場より高く貸せた家賃は相場通りに戻ります。
家賃が下がるので収支は悪化します。

その地域の適正な家賃はどのくらいなのか調べておかないと、次の入居者募集でどの程度の減額が必要か分からずシミュレーションができません。

・ローンの借りすぎ

家賃が下がっても融資額が少なければ収支が少し悪くなってもキャッシュフローがマイナスになることはありません。

新築マンションに投資をする人は節税効果を高めるためにフルローンを使う人が多く、少しでも家賃が下がってしまうと収支がマイナスになってしまいます。

・そもそも節税効果が高いわけではない

新築ワンルームで節税というと不動産所得の赤字分を給与所得と合算して源泉徴収された所得税の還付を受けるというものです。

バブル期は銀行の貸出金利が高かったため節税効果は大きかったと思われます。
しかし、低金利の現代ではあまり節税効果は高くありません。

初年度は経費が多くかかるため所得税の還付は多くなりますが、2年目以降はそれほど多くの還付は受けられません。
経費計上できる借入金の利子部分は減っていくため、節税効果は年々減少していきます。



〇リカバリーするには? 


①売却する 

収支がマイナスで持ち出しが続くようなら売却して利益(損益)を確定してしまうのも選択肢のひとつです。
投資のスタートからトータルでの収支を計算して数字によっては売却も検討しましょう。

②繰り上げ返済 

収支がマイナスにならない程度まで繰り上げ返済をします。
ただし、家賃収入は建物が古くなれば減額していきます。
大きな繰り上げ返済をしない限りは一時的な延命措置に過ぎません。

③サブリース解除 

これはサブリースを利用している人にしかできませんが、サブリースを解除すれば家賃が増えます。
解除には違約金が発生するケースもあるので注意が必要です。

サブリースについてはこちらの記事も参考にしてください。
http://fp-s-fudousan.blogspot.jp/2016/08/blog-post_25.html


3つの方法を上げましたが一番良いのは売却して別の投資に資金を移すか
貯蓄にまわすことです。


〇中古マンションでも同様の注意が必要 


新築、中古を問わずローンの借りすぎは将来の収支悪化の原因になります。

築年数が古くなれば家賃は下がりますのでシミュレーションの時点で、家賃が下がっても耐えられるような資金計画をすることが大切です。 


時期に差はありますがフルローン投資はほとんどのケースで収支がマイナスになります。 


現金で投資をした人が不動産投資で失敗することはほとんどありません。
特別な理由がない限り利益確定の時期を選択できるからです。
※売却して利益を確定しない限り含み益であり、含み損です。

融資を使う場合には収支がマイナスにならない、もしくはマイナスの期間が短い資金計画をしておかないとその投資に失敗するかもしれません。


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