2016年7月26日火曜日

不動産会社は教えてくれない? 投資をした場合のキャッシュフローシミュレーション

不動産投資ブームで本を読んだりセミナーに参加して不動産投資の勉強をしている人が増えています。

しかし、実際に投資をすると、どのようなキャッシュフローになるのか分からない人は多いようです。



今回は不動産に投資をした場合のキャッシュフローシミュレーションを事例をもとにして解説してみようと思います。


〇キャッシュフローとは?


「キャッシュフロー」とは、お金の流れのことです。
流入するお金をキャッシュ・イン・フロー、流出するお金をキャッシュ・アウト・フローといい、インとアウトの両方で「キャッシュフロー」といいます。

不動産においては「イン」の部分が家賃、「アウト」の部分が実際に支出した経費、ローンの返済金となります。

インからアウトを引いた額がキャッシュフロー(税引前)ということになります。



〇不動産投資をした場合のキャッシュフロー



【事例1】  
○投資する物件
築15年鉄骨造の1棟マンション 価格5,000万円 表面利回り8%
入居率95% 賃料は年1%ずつ減 運営経費は20% 年1%ずつ増
     
○投資する人
会社員40歳 年収700万円 自己資金1,000万円 配偶者と子1人の3人家族

物件購入のための諸経費が約500万円、融資を90%(4,500万円)利用しての物件購入です。
融資期間は25年で金利は2.3%とします。

年収や家族構成が記載してあるのは家賃収入は給与の所得と合算して所得税・住民税を計算されるからです。
同じ物件を購入しても本業の年収が違えば税金の額は異なる可能性があります。



投資をした場合の収支は下記の表のとおりです。






家賃が下がり返済の中で利息の割合が減り始める14年目から収支がマイナスになります。

今まで貯まっているお金があるので25年目までは赤字にはなりません。
融資金の返済が25年で終わるので翌年には黒字に回復します。

仮に15年間保有して売却した場合、表面利回り10%で売れたとすれば売却価格は3,470万円です。

累計のキャッシュフローが380万円、残債が2,110万円なので残りは1,740万円、売却の手数料と購入時の諸経費約500万円・自己資金の500万円を引くと625万円が利益となります。 


【事例2】
事例1と同じ条件で自己資金を諸経費のみとしてフルローンだったとすると下記の通りになります。







9年目から収支がマイナスになります。
融資金が多いこととマイナス収支の期間が長くなるため全体の収支のマイナスが早く訪れ、16年目から全体の収支がマイナスとなり返済が終わって5年後の30年目にプラスに回復します。

マイナス収支となった10年目に売却した場合、利回り9%で売れたとすれば売却価格は4,020万円です。

累計のキャッシュフローが117万円、残債が3,330万円なので残りは807万円、売却の手数料と購入時の諸経費約500万円を引くと171万円が利益となります。




〇正しいシミュレーションが投資の失敗を回避する



不動産投資は上記のシミュレーションのように一定期間保有して売却し利益を確定していくものです。

購入時に自己資金を入れるのはマイナス収支の期間を少なくしてリスクを減らすためです。


もし、この事例2のフルローンのケースで10年目に不動産価格が著しく下がるような経済状態だったら想定した金額で物件は売れず利益は出ないかもしれません。

最悪の場合、売るとマイナスが確定してしまう。
しかし、売らないと収支はマイナスが続く負のスパイラルに陥ることもあります。 

フルローンやオーバーローンを組んでいる人は経済状況によっては大きな負債を抱えるリスクを背負っていることを理解して投資を進めて下さい。

これから投資をする人はフルローンが組めることを物件探しの基準にはされないことをお勧めします。

自己資金を使わない投資を否定するものではありませんが、このような事態に陥る可能性があることを説明されたうえで投資をしている人は少ないのではないでしょうか。

未来のことを予測することはできませんが、リスクを理解するためのシミュレーションをしておくことをお勧めします。


2016年7月19日火曜日

投資をする前にまずはライフプランシミュレーションを

これからの10年、20年の間に自分にはどんなライフイベントがあって、お金はどれくらい必要なのかを具体的に考えたことはありますか?

人生の中では結婚・子どもの教育・住宅購入など、さまざまなイベントが発生し、そのときどきでお金がかかるものです。

お金がかかるのはイベントだけではありません。
病気や災害といった想定外の事態に備えたり、老後の生活や相続について計画をたてておくことも必要です。

今回は投資をする前にライフプランシミュレーションをする必要性について説明します。







〇ライフプランシミュレーションの効果

①投資をする目的を明確にできる



ライフプランシミュレーションでは、家族構成や収入状況・将来の計画などを入力することで未来の収支状況をグラフで確認することができます。

ライフプラン表を作成して将来の家計のシミュレーションをしておくことで投資をする効果を確認できるからです。

ライフプラン表を作ってみると、どうして投資をするか明確になるという効果もあります。

老後の資金が足りなくなるので投資をする、余剰資金の運用のために投資をするなど、具体的なお金が目に見えると投資をする目的が明確になります。

投資にはリスクがあるので何の目的もなく投資をすることは危険です。

会社員として定年まで働きながら投資をして老後を豊かにしたい人の投資と急いで投資規模を拡大して会社を退職して専業大家になりたい人の投資は手法が違いますしリスクの大きさも違います。


急いで大きく稼ごうと思えばリスクが大きくなるのは当然です。
投資目的や必要なお金の具体的な目標が見えれば必要のないリスクを負って過大な投資をしてしまうことを防ぐことができます。


②投資をすることの効果を具体的に確認できる


ライフプランシミュレーションを作って具体的に数字を見るとゴールが見えてきます。
そのゴールのために投資をすると、どのような工程で進むのか確認できます。

あくまで数字だけのシミュレーションではありますが、ゴールが見えているのと見えていないのとでは大きな違いがあります。

未来は変わるのでシミュレーション通りにはいかないかもしれません。
それでも具体的な数字が見えていれば途中で方針を変更する時にもスムーズに進むのではないでしょうか。

〇なぜライフプランシミュレーションを作成して将来に備える必要があるのか?


投資には必ずリスクがあるわけですが、それでも投資をするのはどうしてでしょうか。
それは平均寿命が延びてリタイア後の生活が長くなっているからです。



厚生労働省ホームページより

ひと昔前は定年まで働いて退職金と年金で過ごすことができましたが今はそれだけで生活をするのは難しい。

自分が長生きした時のために準備をしておくことが必要だという事です。

ライフプランシミュレーションを作成して老後の資金がショートすると診断されれば改善しなければ生活ができなくなってしまいます。

株式や投資信託の購入・家計簿をつけて節約した部分を貯蓄するなど不足しているお金を補てんしなければなりません。

その増やす手段のひとつが不動産への投資です。



〇自分のゴールを確認して無理な投資計画は避けましょう



不動産投資の本などは急激に規模拡大して専業大家になった人や不動産会社が広告代わりに出版した本が多いので「不動産投資=規模を拡大する→会社を退職してセミリタイア」となりがちです。

まずは将来必要となるお金を把握して足りない部分を埋めるために投資をする。
これも不動産投資のかたちです。

大きなリスクを取る必要のない人は極端に規模を拡大する必要はありません。

急激な規模拡大は将来の破綻危機を大きく含んでいます。
私が相談を受けたお客様にも赤字の投資を埋めるために新規投資をしている人がいました。

ローンが大きく収支がマイナスになった時、少しずつ破綻が始まります。
資産運用は計画性がとても大切です。
将来を見据えて、長い目で見た計画を立てましょう。


2016年7月15日金曜日

あなたの物件は大丈夫? 不動産業界の広告の問題点②

前回に続いて不動産業界の広告の問題点についてお伝えします。

前回は不動産の広告は売主が掲載の可否を選択できない、売却を依頼した会社だけでしか広告をできないことが問題だと書きました。

今回は不動産のおとり広告についての説明です。



〇おとり広告の大半は成約済み物件の放置



広告は不可と言われても実際にはいろいろな会社で広告されている物件もあります。
残念なことに不動産業界の広告は無許可広告が横行しているからです。

無許可で広告を掲載するような会社なので在庫の確認も適当です。
成約済みでもネットに広告が掲載され続けおとり広告となってしまいます。

公取から処分を受ける会社の大部分は成約物件のおとり広告です。

成約した物件が掲載され続けると消費者はその物件の情報を求めて問い合わせをして個人情報が不動産会社に通知されます。

正当でない広告で取得した個人情報に別の物件を紹介し営業をすることがおとり広告の問題点です。

しかし、この本質と違った影響がでることがあります。
当社はホームページで広告している物件が成約になった際に成約のお知らせを出したことがありました。

先日、ある不動産会社から成約のお知らせを削除してほしいと連絡がありました。

成約のお知らせには物件のおおよその所在地と販売されていた価格が記載されていました。

その不動産会社の担当者は販売価格が金融機関に知れると融資が通らなくなると言います。

契約書には価格が書いてあるはずですから金融機関に広告されていた価格を知られたくないという事は契約書を偽造してローンを申し込んでいるのでしょう。

広告は掲載されていない物件だから大丈夫と契約書を偽造するようなローンを申し込んでその物件が無許可で広告されていたら・・・

その広告を金融機関が見つけたら一切の取引ができなくなるでしょう。
不動産会社の担当者が必死になってネット広告を探して削除依頼をしていると思いますが100%削除できるとも限りません。

物件のおとり広告とは関係ない物件購入者にもこんな影響がでることがあります。
もちろん通常の手続きで融資の審査を受けている人には何の影響もありません。

不動産業界は改善しないといけないことがたくさんあると改めて思います。

2016年7月11日月曜日

あなたの物件は大丈夫? 不動産業界の広告の問題点① 

「ネットおとり広告止まらず5月は7社に措置処分 首都圏公取協」 
これは数日前の住宅新報社の記事のタイトルです。

先週は不動産協会の法定研修に参加しましたが、その研修でも最初に取り上げられたのは広告についての処分を受けた事例の検証でした。


もともと不動産業界の広告掲載には大きな問題があります。



今回は不動産広告の問題点について説明します。


〇不動産会社の都合で広告が掲載されない現実



不動産を売却したり、賃貸で入居者を募集したりする時に広告の掲載について説明を受けることは少ないと思います。

多くの場合、不動産会社の都合で広告掲載は決めてしまうからです。
インターネットで物件を探すことが当たり前の時代になりましたので広告が多く載っていることは物件を売る(貸す)うえで有利になる可能性が高いです。

事情があって未公開で売りたい(貸したい)人もいるかもしれませんが、売却に時間がかかったり入居者が決まりにくいケースが多くなります。

物件の売却先や入居者は一人だけでいいので狭い販売ルートから一人の契約者を探すよりも情報をたくさん提供して販路を広くして多くの人のなかから一人を探す方が成約の可能性が高くなります。

当社は所有者の希望がない限り広告は自社だけでなく他の不動産会社の広告掲載も許可しています。これは業界内では少数派です。

大多数が広告は自社でしかやらず、他社の広告は断ってしまいます。

広告費をたくさん使う大手の会社でも1社でできることは限界があります。
早期の成約を目指すなら他社にも協力してもらうほうが効率はいいはずです。

それでも早期の成約よりも自社で成約することにこだわるのが不動産会社です。
もちろん当社も自社で成約して売主・買主両方から手数料をもらうことを目指して営業をしています。

同時に早期の成約のために他社への情報提供も怠らないようにしています。

物件を売ってほしい、入居者を見つけてほしいと依頼を受けたのですから、自社の利益を考えながらも依頼者の希望を叶えることが優先されるべきだからです。

しかし多くの場合、広告は物件所有者から直接依頼を受けた会社でコントロールされてしまいます。


〇自分が売却中・入居者募集中の物件は広告されているか調べてみよう



物件を売却している人、入居者を探している人は自分の物件がどの程度広告をされているか探してみるといいと思います。

販売や入居者募集を依頼している会社のホームページ、ポータルサイトに物件情報が掲載されているか、依頼をした会社以外から広告がでているかなどをインターネットで調べてみましょう。

広告掲載がほとんどされていないのであれば、あなたの物件は不動産会社の利益のために、貴重な成約の機会を失っているかもしれません。


次回も不動産業界の広告の問題点について書こうと思います。
思わぬところで購入者にも飛び火をすることがあるようです。


2016年7月5日火曜日

路線価と路線価の仕組みを利用した相続税対策

7月1日に国税庁より平成28年度路線価が公表されました。  
全国平均は前年比プラス0.2%で8年ぶりに上昇しました。


上昇した都道府県の数は前年比プラス4の14。
北海道、広島県、福岡県、熊本県がマイナスまたは横ばいからプラスに転じ前年にプラスだった都府県もおおむね上昇幅が拡大しています。

都道府県県庁所在都市で最高路線価が上昇したのは、前年比プラス4の25都市。
このうち上昇率が5%以上だった都市が15に上りました。
横ばいは17都市、下落したのは5都市のみ。
国税庁によると下落したのが5都市のみだったのは1992年以来とのことです。

毎年この時期になると話題になる「路線価」ですが、正式には相続税路線価と言います

今回は相続税路線価について説明します。


〇相続税路線価とは?



相続税や贈与税の財産を評価する場合に基となるものです。
公示地価(一般の土地取引の指標となる数値)の80%と言われています。

相続税路線価を調べることができる財産評価基準書には道路ごとに1㎡あたりの価格を1,000円単位で記載してあります。

路線価が定められていない地域については、その市区町村の「評価倍率表」に基づいて固定資産税評価額に倍率を乗じて計算します。

国が税金を取るために道路ごとに値段をつけている路線価ですが、個別に見てみると「都市部では公示地価の50~70%だったり地方では公示地価の90%くらいで路線価がついているのでは?」と思われるところもあります。


都市部だと元々の土地価格が高いので、相続税が高くなりすぎてしまわないように低く調整して、地方では土地が安いので、相続税が安くなりすぎないように高めに調整しているのかなと考えてしまいます。

実際の売買では価格がつかないような土地(人里離れた住宅として利用するのは難しい土地)からも国は税金を取る必要があるので、そんな調整をしているのかもしれません。



〇相続税路線価の仕組みを利用した相続税対策


路線価と実勢価格の差を利用した相続税対策があります。

相続対策のために不動産を購入するのは、相続財産となる土地の評価が実際に取引される土地の価格よりも安くなるからです。

公示地価が実際の土地価格だとすれば相続財産の評価は‐20%となります。
(路線価が公示地価の80%とした場合)

1億円で土地を買えば相続財産としての評価は8,000万円になり、2,000万円分相続財産を圧縮したことになります。

さらに、その土地に建物を建てて賃貸すると、貸家建付地の評価減を受けることができるので、現金で持っている場合の6割くらいに評価を減らすことができます。

建物の評価は固定資産税評価額です。
建物の固定資産税は新築時の場合、請負工事金額の約50%が目安となります。
5,000万円で建設した建物は約2,500万円が評価額ということになります。

相続税対策としてのアパート建設はこの土地・建物の評価減を利用したものです。

建物の固定資産税評価の仕組みを利用してタワーマンションの購入で節税をするスキームが流行りましたが税務署に否認されるケースが出てきているようです。

今後は相続税対策のためのアパート建設にも規制が入るかもしれません。

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