2016年3月28日月曜日

不動産の価格は分かりにくい【4つの土地価格】 

先日、平成28年公示地価が発表されました。

国土交通省が22日発表した2016年1月1日時点の公示地価は全国平均(全用途)が前年比0.1%上昇し、08年以来8年ぶりに前年比でプラスに転じた。

東京など大都市圏の中心商業地の地価上昇がけん引し、地方の中枢都市にも波及した。

住宅地は0.2%の下落だったが、マイナス幅は6年連続で縮小した。
ただ人口減少が進む地方圏では依然として低下圧力が残っている。

全国の全用途の地価はリーマン・ショック後の09年から下落に転じ、10年には4.6%下落し、近年では最大のマイナス幅を記録していた。
 ~日経新聞より~

原因は様々なものが考えられますが、全国的な雇用情勢の改善や、住宅ローン減税等の施策による需要の下支え効果や外国人観光客の増加などによる店舗、ホテル需要の高まり、主要都市でのオフィス空室率の低下などによる収益性の向上によって投資意欲が旺盛であることなどと国交省は考えているようです。


今回発表されたのは公示地価ですが、不動産の価格は他のものに比べてとても分かりにくく一物四価と言われます。(1つの物件に4つの価格)

1.公示地価・基準地価 2.路線価 3.固定資産税評価額 4.実勢価格(取引価格)です。

今回は一物四価と言われる不動産価格について説明します。





〇公示地価・基準地価


公示地価と基準地価とは地域の標準的な土地について、売り手にも買い手にもかたよらない客観的な価値を評価した価格です。

1地点について不動産の鑑定評価の専門家である2人の不動産鑑定士が各々別々に現地を調査し、最新の取引事例やその土地からの収益の見通しなどを分析して評価を行います。

〇路線価

路線価は相続税の算出のための価格で公示地価の80%ほどに設定されています。
不動産売買の価格とは無関係ですが各道路ごとに価格が公開されているため、価格の上昇率や違う地点の価格の比較などに利用できます。

〇固定資産税評価額

固定資産税を徴収するための土地価格です。
公示価格の70%を基準に画地補正をして価格を決定しています。

〇実勢価格

実勢価格は実際に取引される土地の価格です。
需給のバランスの影響で土地の取引の多い場所では公示地価よりも高くなることがあります。

需要のない土地では路線価や固定資産税評価額を下回ることもあります。
他の価格と違い公開されている価格ではないため実勢価格を知るためには不動産会社などに不動産の価格査定を依頼する必要があります。

〇土地価格の利用方法

金融機関が担保評価に路線価を使うのは各道路ごとに価格が分かることと公示地価の80%に設定されているので、この金額で試算をすれば売却するときに評価割れの心配がないためだと思われます。

物件を購入する時に出口戦略として土地の価格を知りたい時には路線価を調べて80%で割戻すとその土地の客観的な評価ができます。

土地の価格は需給のバランスの影響を受けるため、その物件の所在地が土地の取引が多い地域ならば(大都市)公示地価よりも高くなり郊外であれば公示地価と同じくらいか低くなると思っておけばだいたいの土地の価格が分かります。

この5つの価格とその相関性を知っておくと積算評価を重視する方は物件が探しやすくなります。

公示地価や路線価は誰でも見ることができますので興味ある方は調べてみて下さい。

公示地価 http://www.land.mlit.go.jp/webland/
路線価  http://www.rosenka.nta.go.jp/


2016年3月18日金曜日

犯罪の可能性も 違法なオーバーローンに注意

不動産投資を勧める不動産業者や不動産投資セミナーなどで融資を受けるためのテクニックとして違法な方法でオーバーローンを斡旋する不動産業者が増えています。
犯罪行為ともなりえる方法での融資テクニックです。

注意喚起にもなると思いますのでどのような方法なのか解説しようと思います。

〇犯罪行為になる可能性も。違法なオーバーローンのやり方



「お金がなくても不動産投資ができます。」「年収が低くても不動産投資ができます。」

などと広告をしている不動産業者を見かけます。

自己資金がゼロでも不動産投資ができるのか?
可能性はゼロではありませんが首都圏ではほぼ不可能です。

物件購入には経費がかかります。
仲介手数料・登録免許税・金融機関の融資手数料・火災保険・不動産取得税などです。

銀行のローン商品説明を見ると「購入価格の範囲内、当社評価額の90%以内」など融資金額の上限が記載がされていると思います。

多くの銀行は物件価格以上の融資はしません。
資産内容の良い人や実績のある事業者は例外的に諸費用分も借りることができるかもしれません。

金融機関の審査では「お金はあるけど使わない人」と「お金がないから使えない人」とは同じローンでも審査結果が全く違うのです。

〇二重契約によるオーバーローン


古典的な手法ですが、よく使われる方法が売買契約書の2重作成です。

例えば物件価格の90%まで融資が組める物件があり、物件価格は5,000万円とします。
この物件を購入するには5,000万円の10%の自己資金(500万円)+諸経費(約500万円)が
必要です。

もし、この物件が6,200万円だったとしたら90%は5,580万円です。
この手法では本当は5,000万円の物件を6,200万円で買ったことにする銀行提出用の契約書を作るのです。

本来の5,000万円の契約書と銀行提出用の6,200万円の契約書が存在することになります。
銀行は物件が6,200万円だと思い価格の90%を融資します。

実際の物件価格は5,000万円なので差額の580万円を諸費用の支払いにあてて自己資金ゼロで物件の購入が終了します。

金融機関に分からないように価格を変更する合意書を作成して二重契約と同じ効果を持たせることもあります。


〇手付金領収書や自己資金のエビデンスの偽造


自己資金をたくさん持っている人は融資を受けやすい傾向があります。
銀行としては1億円の預金がある人に1億円貸すことは100万円の預金がある人に2,000万円貸すよりもリスクがないように見えるのかもしれません。


多額の手付金を払ったために口座の残高が少ないようにみせかけるため手付金の領収書を偽造したり、通帳のコピーを偽造したり、一時的に不動産業者からお金を借りて通帳の残高を増やすなどのエビデンスの偽造を融資テクニックと称している不動産業者や投資家がいるようです。

最近ではネットバンキングのページを偽造するなど手口が巧妙になっています。


〇違法なオーバーローンは単なる投資の失敗では済まない可能性も



違法なスキームでオーバーローンを受けて自己資金を使わずに投資ができて得した気分になる人がいるかもしれません。


金融機関に事実と異なる書類を提出し融資金を引き出す行為は詐欺罪にあたり過去に逮捕者も出ています。

犯罪になるだけでなく金融機関からは契約の信義則違反で融資金の一括返済を求められます。


もともと物件価格以上の融資を受けていますので、突発的な事情で急遽売却となれば残債を下回る金額でしか売れない可能性があります。

一括返済に足りない分は持っている資産で払うしかありません。
払えないければ自己破産するしかありません。


自分の詐欺行為は100%ばれないと言い切れますか。

もし、違法な行為がばれて告発されたら勤めている会社は解雇されるでしょう。
物件も職を失って何のために投資をしたのでしょうか。


詐欺に加担した業者は助けてくれません。
このような不動産業者の誘いに乗って不法行為をすることは絶対にやめて下さい。

不動産投資で空室や滞納以上にリスクが高いのは資産と職を失い前科がついてしまうことではないでしょうか?

違法なオーバーローンにはその可能性が含まれています。
自己資金不要で不労所得などの耳障りの良い話には必ず裏があります。
だまされないように気をつけてください。


2016年3月14日月曜日

不動産投資の勉強をする時の注意点

不動産投資を始める時に勉強のために投資についての本を読んだりセミナーに参加したり、ネットで情報を集めたりすると思います。
情報はなるべく新しいもの・自分と共通点のあるものを探して下さい。

今回は不動産投資の本やセミナーで失敗しないための注意点を説明します。


〇他人の成功体験は自分にも当てはまるとは限らない


不動産投資の本やセミナーなどで著者の成功体験を書いているものがあります。
このような内容の場合には、投資をした時期や投資の内容が現在の市況で実現可能なものか調べて下さい。

例えば、リーマンショックで不動産価格が下がっていた時期に投資をして成功した人の事例と同じことを今やろうとしてもそれは実現できません。

あまりに経済の状況が違いすぎるからです。

当時は物件が安く利回りが高いけれど融資をしてくれる金融機関が少なく、個人の資産背景が良い人でなければ投資ができない時期でした。

物件価格が高騰している現在にリーマンショックの頃と同じ内容の投資はできません。

今は物件価格が上がって利回りは下がりましたが不動産投資に融資をしてくれる金融機関が増え融資が利用しやすくなっています。

不動産市況や融資状況が違う中で過去の成功体験と同じ手法で投資をしようとすると投資そのものが実行できないか、実行できても同じように進まず失敗してしまうかもしれません。

このような時期には過去成功体験を書いている本よりも不動産投資の仕組みや失敗事例が書かれている本を読んだ方が現実的だと思います。


過去の成功体験を書いている本は内容が誇張されていたり重要な要素が書かれていないことがあるので注意が必要です。

資産背景や個人の属性は人それぞれ違うものです。
本には書かれていないが著者ができた投資方法は高額の預貯金があったことで実現可能だった。などというのはよくある話です。


〇無料不動産投資セミナーの同調圧力に注意


不動産投資のセミナーの多くは不動産会社が主催しています。
カリスマ大家さんのセミナーでも裏で提携している不動産会社がある場合もあります。

セミナー開催の目的は見込み客リストを取るためです。
そのためセミナーでは耳ざわりのいいことを並べて不動産投資への参入ハードルを下げようとしてきます。

有益な情報を提供していると思わせ見込み客に仕上げるためいろいろな手法が使われていますのでセミナーには冷静な判断ができる精神状態で参加してください。

セミナーで行われる一般的な手法は下記の2点です。

①知り得た情報を外部に漏らさないよう依頼
セミナー内で知り得た情報を第三者に話すことを禁じたり、写真・動画撮影を禁じたり、SNSやブログなどに投稿をすることを禁止します。
有益な情報を特別に提供している感覚にさせる効果があります。

②集団心理を使った無言の圧力
悪質な業者側がはじめからサクラを仕込ませておいて質問させたり、セミナー後の相談会に行列を作らせたりして「自分も参加しなければ」といった雰囲気を作ります。

無料・有料にかかわらずセミナーには開催される理由があります。
特に無料セミナーは営業とセットです。
無料なのですから営業されるのは仕方ないですが、その場で安易に購入などの判断はしないよう気をつけてください。

〇まずは物件情報を集めて不動産相場の勉強をしたい人


投資を始めるのは少し先だけど物件情報だけは集めているという人は集めた情報が成約になったかどうか注意して下さい。

投資用不動産情報のポータルサイトでチェックした物件が成約になった場合、成約価格を知ることはできませんが売っていた価格付近で成約になったことは分かります。
5,000万円で売っていた物件が3,000万円で売れましたということはほとんど起きないからです。


これを続けて相場観を養っておけば、投資実行がスムーズに進みます。

相場観がないと現実的でない条件で物件を探し続けてしまい良い物件購入できた機会損失や時間の浪費が起きてしまいます。


サラリーマン投資家の場合、不動産投資には余暇の時間を充てるしかありません。
家族と過ごす時間や自分の趣味の時間を使って情報を集めるわけですから
有意義な情報収集をしてもらいたいと思います。



2016年3月4日金曜日

不動産の利回りとは?

不動産投資をするために物件探す時に利回りを基準に物件を探す人は多いと思います。

利回りが高いということはそれだけ儲かるということですが利回りが良い物件=優良物件ではないのです。

不動産投資において利回りとはどのような考え方で設定されているのか説明したいと思います。



〇不動産の表面利回りと実質利回り


不動産における利回りとは不動産投資額に対する家賃等の収入割合のことです。
不動産の利回りには表面利回り(グロス)と実質利回り(ネット)があります。

表面利回りは『物件の満室想定年収÷物件の価格』です。
広告に掲載されている物件は表面利回りを掲載しています。

実質利回りは『(年間収入-運営経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)』です。
運営経費には管理費・修繕費・固定資産税などが含まれます。


〇投資用不動産の利回りはどうやって決まる?



一般的に利回りは
「無リスク資産の期待収益率+投資対象のリスクプレミアム」で決定されます。

難しい用語でよく分からないと思います。
無リスク資産とは一般的には長期国債のことです。

リスクプレミアムというのは投資対象固有の投資リスクに応じた安全係数のような概念で、安全確実な投資対象ほど低くなります。


日本の不動産で最もリスクプレミアムが少ない(安全)と考えられているものは、東京都千代田区の丸の内・大手町地区で最寄り駅から徒歩5分以内にある築5年未満の一定グレード以上の大規模オフィスビル(Aクラスビル)です。

(財)日本不動産研究所が半年に一度実施している「不動産投資家調査」によれば、平成27年10月現在の丸の内・大手町地区にあるAクラスビルの期待利回りは、3.8%とマーケット(投資家)は見ています。

同調査では主たる政令指定都市の横浜5.1%、名古屋5.3%、札幌6%などと不動産投資家が見ていることが分かります。
ちなみに県庁所在地の中核都市として宇都宮・秋田・大分が7.4%とされています。

不動産の利回りは
「無リスク資産の利回り+不動産のリスクプレミアム」です。

不動産のリスクプレミアムは
不動産特有のリスク・不動産の所在地のリスク・各物件のリスクです。

不動産特有のリスクとは換金性の悪さです。
株式などと比べて現金化するためには時間がかかります。
これは不動産である以上、どこのどの物件でも変わらないリスクです。


所在地のリスクは人口や人口構成、公共交通機関の整備状況、繁華性、その地域の賃貸需要などです。

各物件のリスクは建物の築年数、保存状態、管理状態や入居状況、土地の価格・権利関係などです。


利回りが高い物件=リスクが高い物件ということです。
ですから投資のリスクと投資のリターンが折り合うところを見つける必要があります。

物の値段において何の理由もなく価格が安いということはありません。
食品が安ければ賞味期限や生産地を気にすると思います。
車が安ければ故障や事故歴などが気になります。

不動産だけが何の理由もなく安く、利回りが高いことはありません。
利回りが高いということは何らかのリスクがあるということですから自分はどの程度のリスクを許容できるか考えてみて下さい。

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