2016年12月22日木曜日

2016年の投資用不動産市況を振り返る

2016年もあと1週間ほどとなりました。
不動産に投資をした人、他の資産に投資をした人、何もしなかった人、いろいろだと思います。

この時期になると来年の経済市況についての予測記事が多く出ますが経済の予測はできません。

去年の記事を見ていると円高でドル円相場は年末に100円とか日経平均は23,000円とかたくさん書いてあります。
経済誌に記事を書くようなプロでもこんな感じですから予測は難しいのです。

起きたことを振り返ることはできるので2016年の投資用不動産市況をいろいろなデーターから振り返ってみたいと思います。



〇公示地価


全国・全用途平均は0.1%上昇、リーマンショック以降初めて(8年ぶり)上昇に転じました。
全国・商業地は0.9%上昇。
全国・住宅地は前年比0.2%と下落したが、08年以降で最も小さい下落幅となりました。

国交省は「都市圏や地方中枢都市だけでなく、全国的に地価の回復がみられる」としました。
ただし、リーマン前の価格水準には戻っていません。

〇路線価


16年路線価は全国平均で0.2%上昇し、8年ぶりに上昇しました。

14都道府県が上昇し、首都圏では東京都が2.9%(前年2.1%)、神奈川県が0.5%(同0.6%)上昇しました。
1都3県は2015年に続いての上昇です。

〇仲介会社調査の土地価格


野村不動産アーバンネットの調査した住宅地の地価動向(10月1日時点)によると東京23区は2.7%、東京都下は1.1%、神奈川県は0.3%、埼玉県・千葉県は1.3%の上昇となりました。

この調査は通常取引を想定した実勢価格を査定していますので売買の相場に一番近い指標です。  


〇投資用不動産利回り  

日本不動産研究所「不動産投資家調査」2016年10月


不動産投資家のAクラスビル(オフィス)の期待利回りは東京及び主な政令指定都市において前回比で横ばいの地区と0.1~0.2%低下した地区とが混在する結果となりました。

調査開始以降最も低い水準となった「丸の内、大手町」の期待利回りは今回調査では前回比で横ばいとなったが「赤坂」「西新宿」「渋谷」などでは前回比で0.1%低下しました。

2013年以降続いた期待利回り低下の動きに変化が見られました。


〇投資用不動産利回り 

楽待「物件統計レポート」2016年12月


不動産投資サイト『楽待』を運営するファーストロジックが発表した同サイトの「投資用 市場動向データ 2016年11月期分」の調査結果によると、投資用不動産の全物件種別で価格が下落しました。

中でも一棟アパート、マンションの価格は前月と比較して10%以上下落しています。

前月には全物件種別で利回りが上昇していたことも合わせて、投資用不動産価格の上昇トレンドはピークを過ぎ、下落トレンドに転じた可能性を指摘しています。



リーマンショック以降、低迷をしていた不動産価格はこの2,3年で上昇しました。

上昇の原因は株価の上昇などの経済的な要因や金融機関の積極的な融資姿勢などがあります。

最近は「アパートローンの急拡大を受け、金融庁と日銀は実態把握に乗り出した。」という記事も増えました。

このような金融庁の姿勢には人口・世帯数の減少が確実視され、空室率の上昇など供給過剰感が出始めていることもあります。


最初にお話しした通り、これから起こることを予測することはできません。
来年はどうなるか分かりませんが投資用不動産市場の転換期となる可能性は十分にあります。



2016年12月12日月曜日

日本の不動産取引の現状と問題 ③

過去2回の記事でアメリカと日本の不動産取引をくらべてみました。

アメリカと日本の比較から日本の不動産取引の問題点と消費者側が気をつけることを考えてみます。


〇レインズは有効に使われていない



レインズとは不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムです。

土地や住宅を売りたい人、買いたい人は不動産業者に相手方や物件の検索を依頼します。この検索はレインズ導入以前は、店頭への貼紙、新聞広告、知り合いの業者での情報交換などに頼っていました。

これでは迅速性に欠け、一部の人にしか情報を紹介できませんでした。
この欠点を改め、広く迅速に相手方や物件の検索を行うためにレインズが導入されました。

レインズには専属専任・専任媒介の契約をした物件を登録する義務があります。
成約をした物件についても成約情報を登録する義務があります。
しかし、どちらも徹底されているわけではありません。

不動産業者の一部ではレインズに登録されている物件は出回り物件で良い物件はないというようなことが言われています。

広く迅速な対応をするためのシステムが全く活用されていないことの証明のようなものです。

レインズが活用されない理由としては違反をしても罰則が緩いことがあげられます。
アメリカのMLSは違反をすると厳罰がありますが、レインズは大手不動産会社の役員など関係者が理事をしているせいか罰則を科されるケースはほとんどありません。

そのため、違反はなくならず、仲間のみんなが違反をするから罰則もないというのが現状です。



〇消費者が物件について調べることができるツールが少ない


路線価・公示地価・固定資産税評価額どれも実際の売買との関連は低いため参考になりません。
成約事例に基づいた不動産相場を調べられるツールが必要です。

消費者は物件について正確に調べることができない、前述のようにレインズは活用されていないため未公開物件=優良物件と思い込んでしまいます。
公開されている物件は条件が良くても「出回り物件」だと敬遠する人も少なくありません。

レインズ掲載されていて広告不可の物件は山ほどありますが、会員専用ページに未公開物件として掲載したり、未公開物件のように見せるために資料を作り直して紹介されている物件はたくさんあります。

未公開物件=優良物件と思い込んでいる人は実際にはレインズ公開されている物件を未公開物件と思い込んでそれが実際の価値よりもよく見えてしまいます。

情報が少なく良い物件の価値基準を作ることができないためこんなことが起きてしまいます。


〇消費者に不動産資格や検定の情報を知らせる努力が足りない


宅建以外にも不動産関連の資格や検定があります。
しかし、消費者はどのような資格や検定を受けている営業マンが優秀なのか分かりません。

宅建資格を扱う不動産流通推進センターは不動産検定や講習を受けろと不動産会社にたくさんメールを送ってきます。
しかし、そんな検定があることを知っている消費者はほとんどいません。
消費者側に知らせる努力をしていないからです。

資格、検定は有料です。時間も取られてしまいます。
不動産についてお金や時間をかけて知識レベルを高めている営業マンがいても消費者には伝わらないのが現状です。

消費者側も時間をかけて調べなければ担当者の持っている資格が何の役にたって、どんな知識があるのか分かりません。

〇大手志向の消費者


日本の消費者は大手だから安心と思っている人がたくさんいます。
大手不動産会社にも優秀な営業マンがたくさんいますが、支店の半数は経験年数が3年未満というようなところもあります。

マニュアル化されている分、安心感はありますがマニュアルにないことはできない人も多いのです。

中小の不動産会社は完全に担当者次第となります。
私は過去にいろいろな不動産会社と取引をしていますが、担当者の業務知識は極端に差があります。

すごく優秀な人もいれば何の知識もなく年数だけを重ねている営業マンもいます。

消費者は大手でも中小の不動産会社でも営業マン個人の力量を見抜けなければ、いい不動産取引はできないのが現状です。


〇消費者はどうすればいいのか?


・ネットの情報をを鵜呑みにしない。

ネットの情報が必ず正しいとは限りません。
医療情報サイトのWELQのことが問題になっていますが、不動産情報サイトにも同じことが言えます。

・営業マンと多くのやり取りをする。

インターネットで問合せをするとたくさんの不動産会社から営業メールがきます。
多くの人は返信をしないようです。

営業マンの資質を判断するためにもやり取りをしてみて下さい。
まともなやり取りのできる営業マンとは会ってみてもいいと思います。

優秀な営業マンは購入のサポートだけでなく取引相場を調べてアドバイスをくれたり、アフターフォローにも優れています。
ただの情報屋として不動産の営業マンを判断しないようにして下さい。

・自分に都合の良い話があっても立ち止まって考える。

「あなただけに紹介している未公開物件」とか「優先して公開前の物件を紹介している」というのは営業のよくある手口ですが、以外とこれに弱い人は多いようです。

未公開物件だろうが優先して紹介されていようが、その物件を購入することでちゃんと利益がでるのか、焦らずに考えて下さい。

・物件によっては自費でインスペクションを検討する。

個人間の物件売買では瑕疵担保責任免責で取引をしているケースをよく見かけます。
※瑕疵担保とは建物の保証期間のようなもの

物件に故障箇所がでると修繕に多額の費用がかかるだけでなく、建物の状態によっては入居率にも影響がでてしまいます。

簡易的なものであれば数万円の費用で建物の検査ができます。
瑕疵担保免責や瑕疵担保3か月間の場合には契約前にインスペクションの検討も必要です。




国交省は将来的にはアメリカの不動産取引のシステムのようなものを日本でも導入したいと考えているようです。
試験的に横浜市で不動産データベースを作ったりしています。

そのため各不動産業界の団体でもアメリカ視察に行ったりしているようですが視察に行っても何も改善されず、視察はおじさん達の慰安旅行になってしまいます。

消費者よりも不動産業者に情報が多い現状に居心地の良さがあるのかもしれません。

決して自浄能力が高い業界ではないので今は消費者側がある程度自衛をする必要があります。


2016年11月25日金曜日

日本の不動産取引の現状と問題点 ②

前回はアメリカの不動産流通システムについての記事を書きました。

今回は不動産を売買する消費者側から見た日本とアメリカ違いを書きたいと思います。



○中古物件取引が活発


前回の記事にも書きましたがアメリカは不動産の買い替えが多く中古物件の取引が活発です。

日本は中古物件の売買が新築物件の売買の半分くらいの規模ですが、アメリカは新築物件の10倍の中古物件が売買されます。

○物件探しよりもエージェント探し


アメリカでは売主も買主も不動産を探す前にネットなどで自分の家の販売(購入)を手伝ってくれる「エージェント」を探し契約します。

MLS(アメリカの不動産サイト)では販売に出ている物件、オファーが入りペンディングの物件、成約済み物件、売却キャンセル物件等の全ての不動産情報が登録されています。

エージェント、一般消費者はMLSの情報を見ることができます。
日本と違いエージェントが持っている物件情報に全く差がありません。

そのため、買主も売主も不動産売買をする時には経歴や実績などでエージェントを選びます。

会社で選ぶのではなくエージェント個人の能力で選んで不動産売買のサポートを依頼するのです。

日本では大手不動産会社に頼めば全て安心という風潮がありますが、アメリカは個人のエージェントの能力重視です。

※前回の記事にあった囲い込みなどは大手不動産会社でも日常的に行われていましたので大手なら安心というのはただの幻想にすぎません。

優秀なエージェントは会社のサポートに不満があれば移籍してしまうので会社は営業支援や技術的なサポート、資格・研修などのサポートを積極的に行います。


エージェントは知識や不動産取引のノウハウを高め付加価値を付けることで自身を選んでもらいます。
自分を選んでもらうために実績や経験を積み、知識の研鑚に努めます。

このシステムのおかげでエージェントの専門性が高まり、地位も向上します。
宅建資格をもっていない営業マンがたくさんいる日本とは大違いです。

業界では宅建主任者の地位向上のためにと宅建主任者から宅建士に名称を変更しましたが、名前を変えるだけでは何の効果もありません。


日本では売主は売主側の仲介会社に買主は買主側の仲介会社に手数料を支払います。
アメリカでは売主が全ての手数料を負担し買主は支払いません。

日本と違い仲介手数料に制限がありませんが6~7%が相場で売主側のエージェントと買主側のエージェントで分け合います。

〇インスペクション


2016年6月に宅建業法が改正されました。

①宅建業者は売買契約の締結前に行う重要事項説明のときにインスペクションを実施しているかどうかと、実施している場合にはインスペクション結果を説明しなければならなくなります。

②宅建業者に媒介を依頼し、媒介契約を締結したときに宅建業者はインスペクション業者のあっせんの可否を示し、あっせんが可能な場合には媒介依頼者(売主等)の意向に応じてあっせんすることとなります。

インスペクションとは建物に生じたひび割れ、雨漏り等の有無を把握するために行う調査のことです。

日本ではあまり実施されていませんがアメリカでは不動産取引の80%程度でインスペクションが行われています。

アメリカの不動産の売主には瑕疵担保責任がありません。

そのため買主は購入した物件に不具合があっても売主に何も請求できないため自分の責任で専門業者に依頼をして建物を調査します。
調査結果によっては契約を解除できるような契約システムがあるため買主はほとんどの場合、調査を行います。

日本には瑕疵担保責任という約定がありますが、個人間売買では双方の合意で免責にできますし、そもそも個人間では瑕疵担保責任の期間は3か月間が一般的です。

もともと3か月なら無いようなものですからインスペクションは活用されるべきですが、数万円の費用負担がもったいないと1,000万円以上もする物件の検査をしないというのが現状です。



〇エスクロー


日本では契約日に手付金を売主に渡します。
 アメリカではこのシステムはありません。
売主と買主が直接ではなくエスクロー会社という第三者を介して取引をします。

資金もエスクロー会社の口座に入金しますので売主が持ち逃げなどできないようになっています。

エスクローはお金の管理だけでなく、権利証(タイトル)の調査、各取引ポイントの日程確認など日本では仲介業者が行う業務を行います。

決済までの取引が円滑に行われるようサポートしてくれる役割もあります。
地域によってはエスクローを使わず双方が弁護士を雇って取引するそうです。




このようにアメリカの不動産取引のシステムは不動産会社に頼るというよりは消費者側が自分の財産を売買するエージェントを自分の責任で選んで取引をします。

消費者側が正しい選択ができるようにいろいろな情報が公開されていて取引が安全に行われるシステムが整っているのがアメリカの不動産流通の特徴です。



次回は今までのアメリカの不動産システムとの比較から日本の不動産業界の問題点とトラブル回避について考えてみようと思います。


2016年11月21日月曜日

日本の不動産取引の現状と問題点 ①

ネットニュースにこんな記事がでていました。
~不動産仲介業界の悪しき実態 横行する「干し」「値こなし」~
http://news.livedoor.com/article/detail/12291507/


かなり極端な事例をあげているので全てが事実ではないと思いますが、囲い込み行為は現実に行われています。

一時期、囲い込み行為について報道されて業界側も専任・専属専任媒介の物件はレインズの販売状況を売主が閲覧できるようにシステムを改善しました。

しかし、レインズ掲載は公開中(販売中)となっていても商談中だと言って他社には物件の紹介をさせないケースは依然として続いています。

この囲い込み行為は大手不動産仲介会社でも行われていますし、中小の不動産仲介会社に至ってはレインズ登録すらしない会社がたくさんあります。

高額な商品である「不動産」がどうしてこんな風に扱われてしまうのでしょうか?

不動産流通の先進国アメリカと比較して日本の不動産取引の問題点を考えてみようと思います。


〇アメリカの不動産市場


アメリカの不動産流通は8割が中古物件です。
日本では一生に一度の買い物と言われる不動産ですがアメリカ人は何回も買い替える人がいます。一軒の家に住み続けるという文化がないのです。

不動産の評価についての考え方が日本と違うことも中古住宅の流通を後押ししています。
大きな違いはアメリカの不動産評価は建物が中心であり日本は土地が中心であるということです。

例えば築30年の木造物件は日本では建物がメンテナンスされていて十分使える場合でも評価はゼロです。
(最近は金融機関によっては融資を受けることができますが担保評価はゼロです)

アメリカは築年数に関係なく建物の状態がよければ高い評価で取引が行われます。
ちなみに建物は減価償却するという考えは日米共通です。
同じように減価償却費を経費として計上できます。

建物の価格割合が高いアメリカは減価償却が多くなり日本と比較すると税制面で優遇されています。

〇アメリカの不動産流通システム


アメリカの不動産情報はMLSというシステムに登録されていて情報は不動産エージェントに公平に提供されます。

販売物件として世に出たものは全て掲載しなければいけない厳格なルールがあり、違反をすると営業ができなくなる厳しいルールがあります。

MLSに掲載する情報は個別に規定された専門資格者などが法定書式で作った情報を掲載します。

主な情報は民間の不動産ウェブサイトにも提供され、一般の人も情報収集が簡単にできる状況となっています。

そのため不動産エージェントの役割は物件情報の提供よりも購入物件に問題がないかという判断や購入手続き、契約中の交渉、購入後のケアなどが重要となってきています。

〇アメリカの不動産エージェント


不動産エージェントとはリアルターという試験に合格した資格者のことで、日本の宅建士にあたります。

日本の不動産営業マン=アメリカのエージェントのイメージです。
大きな違いはアメリカのエージェントはリアルターライセンスがなければ営業ができませんが、日本は宅建を持っていない営業マンがたくさんいるということです。

不動産エージェント=資格をもったプロフェッショナルというアメリカと比べると日本の不動産営業マンは普通自動車免許があれば誰でもできる営業職のひとつにすぎません。



〇ブローカー


日本で不動産ブローカーというと小太りのあやしいおじさんをイメージしてしまいますが、ブローカーとは宅建業免許者、いわゆる不動産業者のことを指します。

一定期間のエージェント経験を持つ人にブローカー試験受験資格が発生し、合格すればオフィスを開業可能です。

専任の取引士を雇えば誰でも開業できる日本の不動産会社とは違います。

ブローカー・リアルターどちらも資格の更新が必要で更新のためには単位の取得が必要です。

日本の不動産協会にも法定研修がありますが、最初の休憩時間には2/3が帰ってしまいます。

出席をカウントしてもらえばOKな研修なので研修効果はほとんどありません。
研修会に参加していると大きないびきがたくさん聞こえます。
その程度の研修で法定要件を満たせてしまうのです。

ちなみにアメリカの不動産会社は両手成約ができないと言われることがありますが、州によっては禁止されていない場所もあるそうです。

ただし、両手成約の場合には双方のエージェントであることを知らせなければならないそうです。

〇エスクロー会社


アメリカの不動産取引は分業化されていて契約後の引渡業務はエスクロー会社という第三者が行います。
売主と買主はエスクロー会社を介して取引をします。

資金もエスクロー会社の口座に入金しますので、売主が持ち逃げなどできないようになっています。
取引が円滑に行われるようサポートしてくれる役割がエスクロー会社にはあります。




日本とはシステムがかなり違うことが分かると思います。
次回は消費者側の視点から日本とアメリカの不動産取引を比べてみようと思います。



2016年11月16日水曜日

賃貸物件の高すぎる初期費用 入居者が決まらない原因にも!

高すぎる初期費用のせいで入居者が決まらない?


賃貸仲介の現場で物件の動きが激しいと言われる「繁忙期」は11月くらいから3月までです。

就職や大学入学などで新居を探す人がこの時期に集中するため繫忙期になります。
(特に1R・1Kなどのシングル向け物件の繁忙期になります)

繁忙期には物件は成約がしやすく家賃も高めに設定できるオーナー側にはメリットの多い時期になります。

この時期に入居者を確保したいのですが、賃貸仲介会社も稼ぎ時になります。

この稼ぎ時に入居者募集をしている会社が利益を追求しすぎると、オーナーが被害を受けてしまうことがあります。


〇たくさんある賃貸物件の不明瞭な初期費用



賃貸物件のインターネット広告でこんな記載があるのを見たことはありませんか?




鍵交換費用 ○○○○円、消毒費用○○○○円、安心サポート費用○○○○円など。

鍵交換は実際に鍵が交換されますが消毒費用は必要なのか部屋探しをしている人も考えてしまいます。安心サポートがいらないという人もいるでしょう。

そもそも原状回復工事をしてクリーニングがしてある物件になぜ消毒や抗菌コートが必要なのかよく分からない人が多いのではないでしょうか。

当たり前のように請求されるのでよく考えずに言われるがままに支払っている入居者が大半だと思いますが、必要のない費用である可能性が高いです。

さらによく分からないものだと虫駆除代というものがあります。
入居前にお金を払って虫を駆除しなければいけないような物件に住みたいと思うでしょうか?

このような費用の多くは不動産会社が請負業者から手数料をもらうために入居者に負担させています。

鍵を交換する場合、特殊な鍵でなければ2万円もかかりません。
一定割合の手数料が乗っているためこのような価格設定になるのです。

余計な費用をかけすぎると部屋を探している人には敬遠される可能性があります。
誰でも無駄なお金は払いたくないものです。

初期費用が高いのは入居者にとって負担になります。
近隣で他に初期費用の安い物件があれば、そっちを検討されても仕方がありません。

部屋探しはインターネットで情報を集めるのが最近の傾向です。
物件が優れているとしてもよく分からない初期費用がたくさんかかる物件は見学対象から外されてしまう可能性があるのです。

〇本当に必要な初期費用は?


初期費用として本当に必要なのは宅建業法の定める範囲の仲介手数料、敷金(退去時クリーニング費用)、保証会社利用の際の保証料、火災保険料くらいです。

繁忙期であったり人気のある物件なら礼金くらいはもらってもいいでしょう。
鍵交換は任意でいいと思いますし、原状回復をしてクリーニングをしている部屋にわざわざ消毒をする必要などないでしょう。

そもそも希望しているわけでもないのに半ば強制的にお金を払わせて除菌や消毒をする必要はありません。

管理会社の利益を無理に削ることはないと思います。
オーナーと管理会社はお互いに利益を得ながら協力していかなければなりません。

しかし、管理会社の利益のために空室が続くのでは本末転倒です。

自分の物件によく分からない初期費用がたくさんかけられているのなら、管理会社の利益のために空室の原因になっているのかもしれません。


2016年11月10日木曜日

不正な融資の申込み ペナルティは?

このブログを書き始めて約10か月、掲載した記事が50件に近づいてきました。
定期的にアクセス解析をしていますが、一番アクセス数の多い記事はオーバーローンに関するものです。


参照:犯罪の可能性も 違法なオーバーローンに注意


不動産投資家はほとんどの人が融資を利用しますので融資関連の記事に関心が高いことは当然なのですが、その記事にたどり着くための検索ワードで多いものはオーバーローン ばれるでした。

世の中には、ばれるとまずい方法でのオーバーローンを勧められたり、実際にばれるとまずい方法でオーバーローンを組んでしまった人がたくさんいるのかもしれません。

今回は関心が高い「オーバーローン ばれる」について書きたいと思います。



違法な方法で融資を受けたオーバーローン、ばれるとどうなるのか?




1.契約書の2重作成、銀行に隠れて覚書で売買代金を訂正の場合


真実の契約書を提出すると希望する金額の融資を受けられない(受けられない可能性が高い)ことを理解したうえで虚偽の内容の売買契約書を作成して銀行に提出するということは銀行をだますということになります。

刑法の詐欺罪に該当します。
(刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。)

そこまで明確に銀行をだまそうと思っていなくて、売主業者や仲介業者から言われるままに虚偽の契約書を作成したという人もいると思います。

詐欺になるなんて知らなかったと言っても、ローン約款には金融機関に虚偽の情報提供をした場合に期限の利益を失って直ちに債務を全額返済しなければならなくなるという条項があります。

※期限の利益=分割で払うことができる権利

金融機関の請求により期限の利益が喪失すれば、融資残額全額を直ちに返済しなければならなくなり、それが遅れれば遅延損害金が加算されることになります。

全額返済ができなければ抵当権が実行されて不動産を失い、不動産の売却でまかなえなかった部分の債務が残ってしまいます。

残った債務には分割払いの権利はありませんので何らかの方法で資金を集めるか自己破産となります。

自己破産も借金をした際に債権者をだました場合には認められない場合があります。


2.自己資金のエビデンスの偽造、給与の源泉徴収票等を偽造した場合


刑法の私文書偽造罪(刑法159条)に該当します。


ちなみに偽造文書を使って融資を受ける行為は詐欺になります。
なので上記の「契約書の2重作成、銀行に隠れて覚書で売買代金を訂正した場合」と同じ結末が待っています。


〇不動産投資のどんなリスク要因よりも大ダメージ


お客様から不動産投資のリスクについてよく質問を受けます。
「家賃が下がった」「修繕が必要になった」「空室が増えた」などです。

「違法な方法でオーバーローンを組んだことがばれた」これはどんなリスク要因よりも受けるダメージが大きくリカバリーはできません。

不動産投資への融資が伸びている銀行とかが金融庁の検査のためにチェックして気付いたりしたら、そのオーバーローンの違法性ばれるかもしれません。



2016年11月4日金曜日

不動産投資、断念する人が大多数

多くの関連本が出版されてセミナーの開催も多い不動産投資ですが、投資を実際にしている人はそれほど多くありません。

不動産投資をしようと思っても断念する人が大多数なのです。

今回は不動産投資(不動産賃貸業)の参入ハードルについて説明します。


○不動産投資の本は「広告」 現実はそんなに甘くない。 


不動産投資関連の本には良いことばかりが書いてあります。
出版されている本のほとんどが著者(もしくは著者の会社)が出版社にお金を払って本を出している「広告」だからです。 
広告に夢のないことを書いても仕方がありません。 

本を読んだ人から不動産を買ってもらう、相談料をもらうなどして出版という広告経費を回収しなければなりません。
そのためには良いことをたくさん書いて問合せをしてもらわなければいけないからです。

本を買ってもらうために購入者特典で動画を配信したりして、いろいろな方法で広告費用を回収しようとします。 

良いことばかりを書いてある本を読んで投資を始めようとするので現実離れした物件を探してしまいます。

そんなおいしい物件はないんだと気づくまでに数か月物件を探して物件探しは終了、投資の実行には至りません。

〇融資を受けるのは難しい


サラリーマン投資家の利用するアパートローンは金融機関のパック商品なので利用できる人の条件や貸出条件、物件の審査などが概ね決まっています。

積算評価が高い物件を銀行に持ち込めば誰でも融資を受けられるようなことが書いてある本を読んでいると金融機関の審査の厳しさにショックを受けます。

物件の積算評価が高ければ誰でもフルローンやオーバーローンは簡単に受けられると思っている人は結構、多いのです。

前に楽待の記事にこんなものがありました。

~金融機関に言われてショックだった言葉たち~
『お金も資産もない人にはお金は貸せません』
『自己資金のない方には融資はできません』
『あなたの勤めている会社では当行で融資はできません』 など。

金融機関では融資基準が決まっているのですから基準に合わない人はどんな物件を持ってきても断られてしまいます。


〇現実を受け入れられる人と夢を追い続ける人


現実を受け入れて投資を実行する人と夢を追い続けてあり得ない条件で物件を探す人がいます。

夢を追い続ける人ほど罠にはまって失敗します。
「頭金ゼロでサラリーマン大家」を借金漬けにする地方銀行のウラの顔①
「頭金ゼロでサラリーマン大家」を借金漬けにする地方銀行のウラの顔②


2010年平均を100として計算された国交省の住宅価格指数(2016年4-6月期)は2012年4-6 月分より17 期連続でのプラスとなっています。
指数は127.3ですから約30%物件価格は上がったことになります。


このような市況ですから投資を断念することも無理はないのだと思います。
しかし、このような市況なので融資が受けやすいことも事実です。

~マイナス金利「副作用」注視=金融機関、不動産に傾斜―日銀~
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161024-00000092-jij-bus_all

物件は高いけれど融資が利用しやすい時が買い時か、物件は安いけれど融資の利用が難しい時が買い時か、人それぞれ資産背景などで判断が異なると思います。

これからの時代、寿命が長くなっていることによる老後資金の確保などの利用から、なんらかの資産運用が必要となっていることは間違いありません。

ただ、無理をしてリスクの高い物件に投資をしないように気をつけながら物件を探してください。

何の理由もなく安い物件や利回りの高い物件はないのです。



2016年10月31日月曜日

不動産会社の営業マンはお金について知らずファイナンシャルプランナーは不動産について知らない。

不動産専門のファイナンシャルプランナーとして活動していると不動産会社の営業マンとファイナンシャルプランナーの両方と交流があります。

どちらも不動産に関すること、お金(ローンや税金)に関することを仕事にしています。

しかし、不動産会社の営業マンはお金についての知識は足らず、ファイナンシャルプランナーは不動産について知識が足りないのが現状です。


今回はファイナンシャルプランナーと不動産営業の専門性についてお話しします。



○不動産に詳しくないファイナンシャルプランナー


私がまだFP資格を取得する前、住宅販売の営業をしていた時に担当していたお客様(Aさん)が商談の場にファイナンシャルプランナーを連れてきたことがありました。

そのファイナンシャルプランナーが提案したのは、ローン金額と自己資金の削減で予算を下げることでした。

老後の資金や教育資金を考えると住宅購入のためのローンと自己資金が多すぎると言うのです。

ファイナンシャルプランナーのアドバイスでAさんは検討していた物件を諦めました。

その後、Aさんは1年間物件を探し続けて、以前にあきらめた物件とほぼ変わらない金額の物件を購入しました。 

Aさんはお子様の通う小学校の学区内で家を探していました。
ファイナンシャルプランナーが提案した条件では学区内に希望する物件がないと分かるまで1年かかったのです。

私は最初の商談の時に提案された予算では希望する学区内では物件がないと、そのファイナンシャルプランナーに話しましたが、公示地価のデーターから学区内でも物件が探せるはずで相場よりも高い物件を勧められている。
検討している物件を買うことは将来的に危険であるから他の物件を探すように指示をされました。

東京都や神奈川県など都市部の物件の場合、公示地価よりも実際の取引価格が高いことはよくあります。

公示地価はある程度大きな土地を基準値としていることが多く、取引の多い60~150㎡くらい土地に比べると単価は安くなりがちです。

Aさんが検討していた物件は公示地価よりも1割ほど割高なものでした。
その物件は一番取引の活発な土地の大きさの物件だったため、需給の関係で公示地価よりも高い価格で流通していました。


しかし、ファイナンシャルプランナーは不動産の営業は高い物件を買わせたほうが手数料が高くなるから予算を下げることを嫌がるので、予算を下げた物件を積極的に紹介しないとお客様に話しました。

結局、公示地価程度の価格では1年間物件が見つからず、家計の支出として見込んでいた旅行や車の買い替えを見直すことにして元の予算に戻って物件を購入しました

Aさんに必要だったのは予算を下げて希望する物件を妥協するか、希望する生活のレベルを下げるのかという2つの希望条件の折り合いをつけることだったのだと思います。

知識不足にもかかわらず、不動産の営業マンの話は自分の利益のために物件を選んでいると決めつけてアドバイスをしたファイナンシャルプランナーによってお客様の住宅取得を遠回りさせてしまったのです。


○お金の話に詳しくない不動産営業マン


逆のケースも多いと思います。
お客様が他社で検討している収益物件の収支シミュレーションを見せていただいたことがありますが適当に作ったものがたくさんあります。

家賃収入(不動産所得)にかかる所得税や住民税が収支に含まれていなかったり、一律20%で計算されていて実際の税負担と合っていないものが多いです。

所得税や住民税は累進課税です。
収入が多いほど税率が高くなります。

税率は給与所得と不動産所得を合算して該当する税率が決定されます。
給与所得はひとそれぞれ違うわけですからシミュレーションをする時には税率が何%になるか計算する必要があります。

シミュレーションを見せてくれたお客様の給与所得+不動産所得(物件購入後)の税率は23%なのですが、シミュレーションの税率は20%でした。

仮に700万円が課税対象額だった場合、税率が3%違うと年間で21万円の負担増になります。毎月2万円弱、大きな差がでてしまいます。

結局、この物件は購入しなかったそうですが、購入していれば計算違いのせいで見込んでいた収支が悪化していたことでしょう。


○不動産に詳しいファイナンシャルプランナーは少ないのが現状


独立系のファイナンシャルプランナーの多くは保険販売や金融商品販売の手数料で事業が成り立っています。

保険会社の営業マンに不動産の相談をするようなものですから専門分野でない不動産に詳しくないのも仕方がありません。


資格取得の時に不動産について勉強しているとはいえ、実務と試験勉強では違うのです。
それに加えて不動産会社で働いていても情報収集に困るほど不動産業界の情報公開は閉鎖的です。

これは不動産業界の大きな問題なので改善するべきなのですが、現状では専門家でない人が正しい取引相場や地域の物件情報を得ることは非常に難しいのだと思います。


不動産会社の営業マンがお金の知識を身につけられるかというと、それも難しいのだと思います。

お金の知識どころか不動産を取り扱うための宅建資格でさえ持っていない営業マンはたくさんいるのです。


ノルマに追われながらの長時間労働で勉強する時間はそう多くは持てないのだと思います。


運よくお金の知識を持っている不動産の営業マンに担当してもらえれば良いのですが、担当者がどんな知識を持っているかは担当してもらうまで分からないのです。

消費者側が自分の身を守るためには消費者自身が正しい知識を身につけるか、不動産・お金どちらにも精通したアドバイザーを見つけるかどちらかが必要です。


2016年10月18日火曜日

ファイナンシャルプランナーが考える資産形成の必要性

7月に投資をする前にライフプランを作成しましょうという記事を書きました。
参照:投資をする前にまずはライフプランシミュレーションを


その記事の中でも書きましたが、ライフプランを作成して老後の資金がショートすると診断されれば、改善するためには節約をするか足りない部分を増やす必要があります。



〇日本人は貯蓄と節約が好き



メディア等の報道でも言われることですが、日本人は貯蓄が好きな民族です。




よく見かけるグラフですが欧米に比べると圧倒的に貯蓄の割合が高いですね。


アメリカは一部の富裕層が多くの株式を持っていて、日本は高齢者層が多くの資産を貯蓄で持っているので現実にはこれほどの差はないかもしれませんが、日本人は貯蓄を好む傾向があるのは間違いないだろうと思います。


ファイナンシャルプランナーへの相談の多くは「保険の見直し」「住宅ローンの見直し」「家計の相談」などです。

多くは節約・削減についてのもので資産形成・資産運用についての相談はあまりありません。

メディアに登場するファイナンシャルプランナーが節約ばかりを取り上げることも「節約」に相談が集中する理由だと思います。


無駄な出費を減らすことは家計を改善するうえでとても大切です。
家計を節約という面から考えるとできることは限られています。

しかし、節約には限界があります。
全てを自給自足しない限り、衣・食・住には最低限の費用がかかるのですから支出をゼロにすることはできないのです。



〇節約だけでどうしても足りない部分は何らかの方法で増やす必要がある


節約をしても老後の資金が足りないということが判明した場合には、どうにかして足りない部分を増やすしかなりません。

増やす方法にはいろいろなものがあります。
仕事を頑張って給与所得を増やすことも手段のひとつです。
しかし職種にもよりますが急激に増やすのはなかなか難しいのではないでしょうか。

投資や資産形成という面では不動産だけでなく株・投資信託、FXもありますし、個人年金保険や確定拠出型年金などもあります。


分散投資という面から考えるとどれかに特化してはいけないと思います。

私は不動産投資を勧めていますが、その中で不動産投資をポートフォリオに勧めるのは
①不動産は購入後の運営を専門業者に任せることができること
②株式やFXのように毎日相場をチェックする必要がないこと
この2点が本業に忙しい人に向いているからです。

不動産投資以外にも分散投資のためには個人年金型保険や確定拠出型年金などは必要だと思います。

どのように資産形成をしていくか考えるためにはライフプラン作成が第一歩です。まずはライフプランを作成してどの規模の投資や資産形成が必要なのか知りましょう。

少し古いデータですが、2004年に日興コーディアル証券が『リタイア後の生活費と資産運用 日米比較意識調査』というレポートを発表しています。

その中で日本の主婦の4人に1人がリタイア後の生活について「憂鬱だ」と答えたのに対して、アメリカの主婦の3人に2人がリタイア後の生活について「楽しみにしている」と答えています。

適切な資産形成を行ってリタイア後の生活が楽しみだと答えられるようになるといいですね。


2016年10月13日木曜日

不動産投資の失敗とそのリカバリー 1棟購入編

前回に引き続き不動産投資の失敗とそのリカバリーについて考えます。



今回は1棟売マンションやアパート購入の失敗についてです。

1棟売マンションやアパートは投資額が大きいため投資に失敗すると、その損害は非常に大きくなります。

失敗する要因は主に「過度な融資利用」と「楽観的なシミュレーション」です。


〇過度な融資利用


リーマンショックの頃、ノンリコースローンに近いタイプの融資をしたメガバンクがあり、フルローンが受けやすかった時期がありました。

物件の収益力と土地評価を根拠にして、自己資金のない人でも高属性であれば一棟投資物件をフルローンで買える時期があったのです。
その時期に行った投資が今でも成功しているかは分かりません。

そんな時期に物件を買った人たちが本を書いたりセミナーをしたりして不動産投資を勧めています。

フルローンで一棟物件を買えると言えば本も売れるしセミナーで集客できます。
たいがいは土地評価が高い物件を狙えば金融機関が積算評価で融資をしてくれるという内容です。

土地建物の積算価格と物件の収益性とは全く関係がないのですが、積算評価が高くフルローンが組めるからという理由で物件を買ってしまい、失敗するケースが多いようです。

本来、不動産投資は自分がどんな目的で投資をするのかを明確にし、その目的に応じて、物件を選びます。

目的が違えば収益の目標や物件の選び方の基準も変わってきます。


しかし、自己資金を使わずフルローン投資をすることが目的になってしまうと、不動産にとって重要な立地条件や収益性、建物の状態などが後回しになってしまい銀行評価の高い物件を買うことが目標になってしまいます。

フルローンで投資をしても、極端に稼働率が悪くない限り、最初の数年間は利益がでます。
しかし、家賃が下がったり修繕が必要になったりすると返済に耐えられなくなります。
ただでさえフルローンの収支は10年程度で赤字になります。

参照
不動産会社は教えてくれない? 投資をした場合のキャッシュフローシミュレーション

それにプラスして修繕や稼働率の悪化が起きれば経営は厳しくなります。

〇楽観的なシミュレーション


フルローン投資で行き詰った人のシミュレーションを見ると非常に楽観的だったり、前提条件が甘いものが多くあります。

例えば、
・家賃がずっと一定で下がらない
・周辺相場よりも家賃が高い
・運営経費が一定で増えない(修繕を見込んでいない)
・所得税、住民税などの税金の支払いはキャッシュフローに含まない

などがよく見られます。

上記のようなシミュレーションを作成して物件を売る不動産会社にも問題はありますが、そのシミュレーションで物件を買ってしまう投資家にも問題があります。


〇収支が赤字なってしまった時のリカバリー


収支が赤字になってしまったらできることは限られています。

・融資の繰り上げ返済

収支がマイナスにならない程度まで繰り上げ返済をします。
ただし、家賃収入は建物が古くなれば減額していきます。
大きな繰り上げ返済をしない限りは一時的な延命措置に過ぎません。

・稼働率の改善

建物が古くなったことで稼働率が悪化したことが原因なら稼働率の改善を考えます。
リノベーションによる商品力のアップや賃料の値下げによる競争力アップなどが考えられます。

・売却

収支がマイナスになったら売却してしまうことも選択肢の一つです。
ただし、残債以上の金額で売れる保証はありません。

特に地方の物件の場合には金融機関の融資姿勢によって、需給のバランスが崩れると大きく値崩れを起こすリスクがあります。

参照


〇不動産投資を「融資」で失敗しないためには


シミュレーションの時点で、ある程度の収支の悪化では赤字にならないような資金計画が大切です。

資金を手元に残す目的でなければ、フルローンの利用は避けた方がいいでしょう。


地方の物件の場合には、最低でも2行の銀行から評価の出る物件を選びましょう。
自身の属性に頼って過剰な融資を受けてしまった物件は売却時に必要な額の融資を受けられない可能性がでてきます。

融資が受けられない物件は需要と供給の関係で購入時よりも大幅に値崩れを起こしリカバリーはできません。


不動産は立地条件が大きく運営に影響を与えます。
立地条件の良い物件をしっかりとしたシミュレーションを行った資金計画で購入すれば、大きな失敗をすることはありません。



2016年10月6日木曜日

不動産投資の失敗とそのリカバリー 区分所有編

不動産投資で成功した話を聞くことは多いですが、不動産投資で失敗事例した話を聞くことはほとんどありません。

成功した場合は大々的に宣伝され、失敗した事例はひっそりとそのまま消えていってしまいます。

不動産投資で成功するためには、どのようなパターンの投資をしてしまうと失敗するのか知っておくことが欠かせません。


〇新築ワンルームマンション投資で失敗


新築ワンルームマンションを販売している会社は節税と生命保険の代りに新築ワンルームマンション投資を勧めてきます。

はじめの数年はマンション投資で順調に節税効果あり、税金の還付を考えると毎年の収支は黒字でまわります。

しかし、数年で節税効果がなくなり毎月の収支は赤字が続くようになります。

毎月の持ち出しが嫌になり物件の売却価格を査定してもらうと価格は大きくダウンすることが多いです。

売却したとしても残債を完済できません。

よくある新築ワンルーム投資の失敗事例です。

新築ワンルームの失敗には不動産投資の失敗の原因が多く含まれています。

原因はなんでしょうか?

・新築プレミアム家賃

新築物件は初回の賃貸募集で周辺相場よりも高めに貸すことができます。
全ての設備が新品だからです。

新築なので設備も最新です。
しかし、最初の入居者が入り数年後に退去すると設備がきれいだとしても新品ではありません。築年数が経過し家賃は当然下がります。

新築時に相場より高く貸せた家賃は相場通りに戻ります。
家賃が下がるので収支は悪化します。

その地域の適正な家賃はどのくらいなのか調べておかないと、次の入居者募集でどの程度の減額が必要か分からずシミュレーションができません。

・ローンの借りすぎ

家賃が下がっても融資額が少なければ収支が少し悪くなってもキャッシュフローがマイナスになることはありません。

新築マンションに投資をする人は節税効果を高めるためにフルローンを使う人が多く、少しでも家賃が下がってしまうと収支がマイナスになってしまいます。

・そもそも節税効果が高いわけではない

新築ワンルームで節税というと不動産所得の赤字分を給与所得と合算して源泉徴収された所得税の還付を受けるというものです。

バブル期は銀行の貸出金利が高かったため節税効果は大きかったと思われます。
しかし、低金利の現代ではあまり節税効果は高くありません。

初年度は経費が多くかかるため所得税の還付は多くなりますが、2年目以降はそれほど多くの還付は受けられません。
経費計上できる借入金の利子部分は減っていくため、節税効果は年々減少していきます。



〇リカバリーするには? 


①売却する 

収支がマイナスで持ち出しが続くようなら売却して利益(損益)を確定してしまうのも選択肢のひとつです。
投資のスタートからトータルでの収支を計算して数字によっては売却も検討しましょう。

②繰り上げ返済 

収支がマイナスにならない程度まで繰り上げ返済をします。
ただし、家賃収入は建物が古くなれば減額していきます。
大きな繰り上げ返済をしない限りは一時的な延命措置に過ぎません。

③サブリース解除 

これはサブリースを利用している人にしかできませんが、サブリースを解除すれば家賃が増えます。
解除には違約金が発生するケースもあるので注意が必要です。

サブリースについてはこちらの記事も参考にしてください。
参照:サブリースのトラブル 原因と対処法


3つの方法を上げましたが、一番良いのは売却して別の投資に資金を移すか貯蓄にまわすことです。


〇中古マンションでも同様の注意が必要 


新築、中古を問わずローンの借りすぎは将来の収支悪化の原因になります。

築年数が古くなれば家賃は下がりますのでシミュレーションの時点で、家賃が下がっても耐えられるような資金計画をすることが大切です。 


時期に差はありますがフルローン投資はほとんどのケースで収支がマイナスになります。 


現金で投資をした人が不動産投資で失敗することはほとんどありません。
特別な理由がない限り利益確定の時期を選択できるからです。
※売却して利益を確定しない限り含み益であり、含み損です。

融資を使う場合には収支がマイナスにならない、もしくはマイナスの期間が短い資金計画をしておかないとその投資に失敗するかもしれません。


2016年9月29日木曜日

アパート管理でトラブルになるのはどんな時?

物件購入後に重要なことは空室を埋めて稼働率を上げること、退去を減らすこと、家賃が期限通りに入金されることです。

物件を持っていても入居者がいなければ家賃収入はゼロです。
入居者がいても家賃を払ってくれなければ家賃収入はゼロです。


物件の管理と入居者の管理はアパート経営において、とても重要なのですがトラブルも多く発生してしまいます。


〇アパート経営のトラブル事例


①入居者とのトラブル

トラブルの多くは原状回復・建物の修繕・家賃の滞納・退去(立ち退き)です。

【原状回復】
国交省が賃貸住宅の原状回復についてガイドラインをだしています。
「原状回復=賃借人が借りた当時の状態に戻すことではない」というのが原則です。
経年劣化は賃料に含まれるものとしています。

これを知らずに長期間入居した入居者が退去する時に原状回復の費用を請求してトラブルになります。

【建物の修繕】
基本的には大家さんは貸している家の不具合を直さなければなりません。
消耗品や入居者の過失で壊れたものは入居者の負担です。
一般的には負担区分は契約書に書いてあります。

【家賃の滞納】
家賃の滞納はできるだけ早く対応することです。
滞納が長くなればなるほど回収は難しくなります。

【退去】
トラブルの多くは原状回復費用の負担と大家都合での退去要請です。
大家都合での退去は基本的にはできません。

トラブルが起きると退去させられるわけではないのでトラブルを未然に防ぐことが大切です。

②管理会社とのトラブル

トラブルの多くは報酬の支払い・不適切な業務・新管理会社への引継ぎです。

【報酬の支払い】
入居者の募集の時に多く起きています。
募集の手数料や広告費の扱いなどです。

管理契約書に記載されていることが多く、事前に打合せができていないことが原因でトラブルになります。

【不適切な業務】
管理会社の能力の問題なので仕方ありませんが、管理契約書に解約の条項がありますので能力的に問題のある会社との契約は契約書に基づいて解約するべきです。

【新管理会社への引継ぎ】
旧管理会社が引継ぎに協力的でないことが多いようです。
預かっている書類を返さないなどのトラブルが起きます。

〇トラブル発生を防ぐための対策は?


【入居者とのトラブル】
入居者トラブルの多くは入居時にきちんと説明をして書面で残していないために起きます。
契約書はもちろんですが、入居時の部屋の状態や原状回復費用の負担区分など事前に説明をして書面化していればトラブルの大半は防ぐことができます。


【管理会社とのトラブル】
管理会社とのトラブルの多くは管理契約書を読んでいない(理解していない)ために起きます。
説明をしない管理会社も悪いのですが、費用の問題や管理業務の内容は契約書に記載されています。
※都合の悪いことでも小さく書いてあることが多いです。

契約書を隅々まで読んで不明な点などは質問し解消されてから契約をしましょう。


〇不動産投資の成否に管理の影響は大きい


アパート経営は家賃が支払われなければ成り立ちません。
そのためのアパート管理はとても大切です。

管理状態が悪い物件は空室も退去も多くなり収益が悪化します。
不動産投資は物件を買えば成功ではありません。

購入後の管理は投資の成否を大きく左右しますので管理会社の選定は慎重に検討してください。



2016年9月26日月曜日

不動産投資をするなら都心と地方どちらがいい?

今日は投資用不動産を探す時に必ず考える

「不動産投資をするなら都心と地方どちらにするか」を説明します。


不動産投資における永遠のテーマかもしれません。


都心の不動産価格は高騰しているため、利回りが低下しています。
そのため、利回りのいい地方都市の不動産を検討する方が多くなっています。


〇地方都市の投資用不動産メリット・デメリット



やはり地方投資の最大のメリットは利回りです。
都心部ではお目にかかれない表面利回り10%以上の物件もあります。


一方で人口減による空室リスクの高さが懸念されます。
有効求人倍率は改善しているとはいえ、日本の仕事の多くは東京圏に集中しています。

仕事のないところには人が集まることはできません。
仕事をできないと生活ができないからです。


競争が激しいとはいえ仕事のある東京圏は賃貸需要が高く安定したアパート経営が見込める地域です。



〇地方特有の売却時価格下落リスク



地方都市で物件を買う人の多くは東京など首都圏に住みながら投資をしています。

これは需給バランスなのですが今は多くの金融機関が地方の投資用不動産へ融資を行っているので、東京など首都圏に住んでいる人が地方の投資用不動産を購入するケースが多いと思います。

しかし、金融機関が融資を引き締める(首都圏居住者の地方不動産への融資を行わない)となると、その地方都市の不動産を買える人が少なくなる(地元の人しか買えなくなる)ため、結果として不動産価格は下がってしまいます。


地方の投資用不動産の場合、購入時は融資が通れば問題ないのですが、売却時には金融機関の融資姿勢による価格変動リスクなど都心の不動産とは違ったリスクが存在します。


現在でも自行の抵当権がついている物件への融資はしないという金融機関があります。
その金融機関の抵当がついている物件は自分が売却をした時に買主が利用できる金融機関が1つ減ってしまうわけです。

しかも、その金融機関はその物件に対して評価をして融資をしてくれた金融機関です。
購入時にその金融機関しか融資がでない物件だったとしたら今持っている物件は融資が通らない物件ということになります。

購入できる人が大きく減るのですから需給の関係で物件の価格は大きく下がります。
これが地方物件の最大のリスクです。



〇家賃の大幅下落の可能性



地方物件は、購入時は利回りが高いためキャッシュフローが回るケースが多いですが、需給バランスが一気に崩れる可能性もあり(会社・工場・学校等の撤退など)、その場合、家賃下落率が都心では考えられないくらい高くなるケースもあります。

空室についても地域によっては需要がそもそもない場合もあり、家賃を少し下げたくらいではどうにもならない場合もあります。
長い目で見れば上記のようなリスクがあります。

不動産は長期間保有して利益をだすものですからリスクが大きいと言わざるを得ません。

利回りの高い物件を持っていれば空室リスクが高くてもカバーできると考える人もいます。数字上はその通りです。

利回り12%で入居率が70%の物件Aと利回り7%で満室の物件Bは融資条件等が同じなら
物件Aの方がキャッシュフローは良くなります。

ただ、購入時の表面利回り5%の差は運営をすると確実に縮まっています。

利回りが高いからリスクを承知で地方に投資をしたのに結果的にそれほど大きな差がない利回りでリスクの高い物件を買ってしまうことになります。


〇地方は修繕費用の回収スピードが遅い



東京と地方都市の比較で同じ面積で家賃が半分というのはよくあることです。
しかし、原状回復の工事費用は面積が同じならほとんど変わりません。

東京の工務店が10万円でやる工事が地方に行けば5万円ということはありません。
駐車場の負担や人件費など多少の違いはあっても家賃ほどの違いはないです。

家賃相場が半分で同じ収入がある物件が東京と地方にあったとすれば地方の物件は部屋数か部屋の面積が倍くらいだと想定できます。

東京で月50万円の家賃のアパートなら6~8部屋くらいのワンルームか4部屋くらいの小さめなファミリータイプでしょう。

家賃相場が半分の地方都市だとしたらワンルームなら14~16部屋、ファミリータイプなら10部屋くらいの可能性があります。

同じような割合で入退去が起きてしまったら。
工事費用の差はほとんどなく、原状回復工事は2倍ということになります。

家賃が半分で同じ工事費用なら回収には倍の期間がかかります。
さらに工事の数が多ければ費用の回収には倍以上の時間がかかります。

原状回復工事だけでなく大規模修繕工事でも同じことです。
建物の面積が大きければそれだけ工事費用は多くかかるという事になります。


〇都心と地方どちらを選ぶべきか?



都心部の物件と地方の物件、投資するならどちらかというと
最終的には投資家自身の志向によるということになります。

リスクを承知で地方に投資をして高い利回りの物件が欲しいという人は地方都市への投資を進めればいいと思います。

私は賃借人がいなければ不動産投資は成り立たないと考えています。
賃貸需要の高い都心部に比べて、地方の物件は上記の通りリスクが高いと考え、首都圏での投資を勧めています。




2016年9月21日水曜日

黒字なのに収支がマイナス「デッドクロス」で破綻しないために

先日、楽待にこんな記事がありました。
『えっ、黒字なのに倒産!? 恐ろしい「デッドクロス」とは?』
http://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20160821-00001690-rakumachi-column

「デッドクロス」というのは株式投資の用語で株価の中期の動きを短期の動きが下回った時をデッドクロスと言います。

不動産投資ではいろいろな定義がされているようですが、減価償却費よりも元金返済が増えて逆転するポイントが「デッドクロス」として使われることが多いようです。

「デッドクロス」を迎えると税金が大きく増え資金繰りが苦しくなります。


今回はデッドクロスの仕組みと破綻をしないための対策を説明します。



〇どうしてデッドクロスが起きるのか


デッドクロスが起きる要因には「減価償却費」と「融資金の返済」が深く関わっています。


①減価償却費がなくなる

不動産を買うときは、通常、土地と建物を買うことになります。
土地は古くなっても価値が下がりませんが、建物は古くなればに価値が下がります。

そこで耐用年数に応じて購入した建物価額の価値が減った分を経費計上が出来るというのが減価償却の考え方となります。

耐用年数が経過すれば価値はゼロになるように減価していくので耐用年数経過後は経費計上はできなくなります。


②融資金の返済の利息割合減

融資金の返済形式は「元利均等返済」とすることが多いです。
元利均等返済とは、月々の返済額が一定になるように元金と利息の割合を調整する方式で、借入当初は利息の返済が大きく、元金が少なくなります。

融資金の返済のうち経費として計上できるのは利息部分のみです。

元利均等返済の場合、年数が経過して返済が進むと、利息の割合は少なくなります。
利息返済額が減り、元金の返済増えると計上できる経費が減ります。

経費の扱いについては過去の記事も参考にしてください。
アパート経営の必要経費と税務上の取扱い 物件取得時
アパート経営の必要経費と税務上の取扱い 物件保有期間


③デッドクロス発生

経費にできない元金返済部分が増加して、経費にできる減価償却費よりも金額が大きくなった時、デットクロスが発生します。

実際に現金は出ていかないのに経費にできる減価償却費よりも、実際に現金が出ていくのに経費にできない返済元金が上回ってしまうのです。

どんな物件でも融資を利用する限りデッドクロスは訪れます。
デッドクロスが発生すると、とても恐ろしいことが起きているように思われがちです。


実際に起きていることは税金の負担が増えているだけです。
デッドクロスが発生すると全員破綻するわけではありません。
税金の負担が増えてもキャッシュフローが赤字にならない収支で物件を購入していれば破綻することはないのです。


〇デッドクロスで破綻しないために


デッドクロスが発生しても破綻しないための対処方法があります。

①頭金を多くいれて融資金を減らす

返済額を減らせば元金返済が減価償却費を上回る時期を遅らせることができます。

②デッドクロスの前に資金を貯めておく

手残りの多い投資初期の時期にお金を貯めておいて、デッドクロスが発生した時に備えておけばマイナスの補てんや繰り上げ返済などの対策がとれます。

③デッドクロスが発生したら売却して資産を入れ替える。

デッドクロスが発生した物件を売却して、新たに物件を購入すれば、デッドクロスを先送りできます。
しかし、デッドクロスが発生した時に不動産市況が悪ければ希望の価格で売却できず残債が返せない可能性があります。

④経費を作る

減価償却のできる物件を購入する、リフォームをする、家族に給料を払う(青色申告専従者給与)など

⑤融資の借り換え

融資の借り換えをすると利息が多く元金が少ない返済1年目の状態に戻れます。

③④⑤はリスクがあります。
③は売却時の価格下落リスクがあります。残債より高く売れるとは限りません。
④はそもそもお金がかかります。
「節税のためにお金を使う」得なのか分かりません。
⑤は元金の減りが遅くなり支払利息が増えてしまいますし、借り換えに諸費用が必要な場合があります。

やはり①②が王道で一番安全な方法です。


デッドクロスが発生して税金の負担が増えても収支が赤字にならなければ破綻することはありません。
購入前にしっかりとシミュレーションをしていれば、デッドクロスが発生する時期は分かります。


多少収支が悪化しても慌てなくて済むような資金計画をたてて安全な投資をして下さい。



2016年9月13日火曜日

不動産投資するなら1棟所有、区分所有?

不動産投資を検討している人からよく聞かれる質問に回答したいと思います。

「不動産投資するなら1棟所有、区分所有どっちが得ですか?」


先に結論を申し上げます。

「どちらも長所短所があり自分の投資方針にあうものを選べばいい」

それでは1棟と区分所有のメリット・デメリットを考えてみましょう。

〇1棟と区分所有の比較


【1棟所有のメリット】

・運営・修繕が自分の裁量で行える。
・資産形成のスピードが早い。
・土地を所有できる。

【区分所有のメリット】

・比較的小さい資金で投資可能。
・共用部分の管理をしなくてもいい。
・分散投資がしやすい。
・流動性が高く売却時に買い手が探しやすい。


【1棟所有のデメリット】

・1カ所への投資金額が高くなりがち。
・区分所有に比べて設備が陳腐になりやすい。
・区分所有に比べて流動性が低い。

【区分所有のデメリット】

・自分の裁量で運営できるのは室内のみ。
・投資規模の拡大に手間がかかる。
・土地も区分所有。

よく、区分所有の空室リスクをデメリットにあげる人がいます。

1棟マンションで20部屋あれば2部屋空室がでても10%の空室。
区分所有のマンションを2部屋持っていて1部屋空いたら50%の空室。
よって区分所有の空室リスクは高い。

これは投資初期の1室、2室しか持っていない時だけの話になります。

空室リスクの比較という話しなら区分所有も同じ部屋数を持っていなければ比較になりません。

上記の場合、前提条件が同じ20室でなければこの比較はあまり意味はないのです。
おそらく同じ部屋数で比べると区分所有のマンションの方が空室率は低いでしょう。



〇1棟所有・区分所有どちらを選べばいい?



資産形成のスピードを求める人、自分の裁量で管理運営を進めたい人には1棟所有の方が合っています。

1棟所有の場合、1件の物件で複数室+土地を購入できるので区分所有と比べて資産形成のスピードが早くなります。

ただ、1棟所有のマンションは管理会社が定期的に大規模修繕を行う区分所有に比べて設備面で劣ることが多く、空室の原因になりえます。

運営面の工夫や修繕工事の検討などが必要になるので、管理に時間を取れない人は管理会社に管理委託するか区分所有の物件をお勧めします。


区分所有のマンションは資産規模の拡大に時間と手間がかかります。
アパートなら1回の売買で10室くらいずつ増えますが、区分所有は1回の売買で1室しか増えません。

1回の取引規模は小さくなりますが、地域の分散や所有する部屋のタイプを変えて所有することができます。

資産形成のスピードよりも分散投資を優先する人には区分所有の方が合っています。

区分所有のマンションでは建物規模の大きさもあり、設備面では1棟所有よりも優れていることが多く空室は埋まりやすいので入居者の管理さえ管理会社に委託してしまえばほぼやることはありません。

一方で、管理費や修繕積立金が決められているので運営費用の節約で収支改善をすることはできません。

建物の管理等についても、自分が所有しているマンションの管理組合員の一人として意見を述べることはできますが、あくまで区分所有者の一人としての意見なので、自分の裁量で運営をしたい人には向きません。


「1棟所有と区分所有のどちらがいいか」答えは投資をする人の方針次第です。
上記のメリット・デメリットを考えて自分の投資方針にあった物件を選んで下さい。




2016年9月8日木曜日

物件を安く買いたい!! 格安物件は流通しているのか? #2

前回は個人投資家と不動産会社の取引条件が違うので売主は条件の良い不動産業者と取引をするということをお伝えしました。

今回は個人投資家が不動産業者のように物件を安く購入する方法を教えます。



〇取引条件で対抗する



①不動産会社と同じ取引条件に合わせる


個人のままでは同条件にできないので法人を作る必要があります。

ローン特約がないのでローンが不調の場合のペナルティ(手付金放棄もしくは違約金支払い)、瑕疵担保免責のため、引き渡し後すぐに建物の修繕が必要になった場合の修繕費用の負担といった大きなリスクを負う必要はあります。

それでも再販売で仲介会社に利益を還元することはできないので不動産会社と同じ金額の場合には不動産会社のほうが優先される可能性があります。



②価格目線をあげる


不動産会社と同じ条件で少し購入価格が高ければ売主は価格の高い方を選ぶでしょう。
仲介会社が意図的に価格の高い申し込みを隠さない限り不動産会社と十分に対抗できることになります。


〇投資用不動産のポータルサイトの有効利用



不動産会社の仕入れと競合するような情報を手に入れるには事業として情報収集をしている仕入れ担当の営業マンと同じように常日頃から何100社という不動産会社と情報交換をしなければなりません。
これはサラリーマン大家さんには不可能なことです。

不動産会社の仕入れ営業マンもやっている方法で自宅に居ながら割安物件を探す方法があります。インターネットの売物件チェックです。

不動産会社の仕入れ営業マンはレインズも使いますが、一般の方はレインズは使えませんので投資用不動産のポータルサイトの観察でいいと思います。

新しい物件情報が掲載されたら自分の探している条件に合う物件をピックアップしておきます。

1か月くらいしてまだ売れていなければ売主の資金需要になるべく合わせる条件で相場よりも10~15%程度安い指値をして申込をします。

申込をするのは月末までに契約ができる毎月20~25日くらいがいいでしょう。

それで価格が下がればラッキーという方法です。
ほとんどの物件で指値は通らないと思いますがごくたまに価格が折り合うことがあります。

その物件を購入すれば相場よりも安く買えます。


〇価格交渉をするための前提条件



この方法で物件を購入するには
①仲介会社にはあらかじめこの方法で物件を探していると説明しておくこと
②断られてもくじけずに続けること
③価格が折り合った物件は速やかに契約できるよう金融機関を開拓しておくこと

この3点が必要です。

①はただの相場の分からない人だと思われないようにするためです。
相場を知らない人は仲介会社から相手にされなくなって情報をもらえなくなってしまいます。

②はほとんど断られるのでいちいち気にしていては続けられないからです。

③は他に高い価格で買う人が現れる前に契約してしまうためです。
③は特に重要です。価格が下がっても融資が通らなければ物件を買えず今までの努力は無駄になりますし、融資が未確定の人は価格交渉の時に相手にされない可能性があります。

融資が未確定だと申込みをしても融資が通るまでペンディングされてしまうことはよくあります。

売主の立場になってみれば当然だと思います。
買えるか分からない人と真剣に交渉をするのは時間の無駄なので「買えるか確認してから正式に申し込んでください。」というのは当たり前です。

融資の目途がついているというのは価格交渉をするうえでの大前提です。

未公開物件=優良物件と勘違いしている投資家が多いため市場にでている物件を敬遠する人がいますが、うまく価格を交渉することによって1カ月以上売れていない物件が優良物件になることがあります。

この方法はプロの仕入れ担当もやっていますので試してみてはいかがでしょうか。


2016年8月31日水曜日

物件を安く買いたい!! 格安物件は流通しているのか? #1

「不動産投資で失敗しないためにはどうすればいいですか」と聞かれることがあります。

不動産投資で失敗しないためには「物件を安く買えばいい」です。

相場よりも安く物件が買えれば運営に行き詰った時に物件を売却すればいいのです。
・・・というのは理想で現実には相場よりも安く物件を買うことはとても難しく、相場よりも安い買付ばかりを出していては仲介会社から相手にされなくなり物件情報をもらうことはできなくなってしまいます。


個人投資家が物件を安く買った話を聞くと
①他の人が買わない(買えない)ような物件を安く買った
②もともと高かった物件を大幅な指値で相場通りで買った
 (安く買ったと思いこんでいる)
③価格を安くせざるを得ないような理由のある物件を安い価格で買っている
この3パターンがほとんどです。

しかし、不動産会社は転売事業のためにどんな市況でも物件を安く仕入れています。

転売を目的として購入をできるような物件は数は非常に少ないですが流通しているのです。

今回は不動産会社が物件を安く仕入れることができる仕組みを説明します。



不動産会社の一般の投資家との違いはたくさんあります。
事業として従業員を雇い毎日仲介会社に営業をしている転売事業の不動産会社とは圧倒的に情報量が違うことも大きな要因です。

それ以上に大きな理由は「取引条件の違い」「再販売による仲介会社への利益還元」です。



①取引条件の違い


不動産会社と一般の個人投資家とは取引条件がそもそも違う場合が多いです。
普通の売主はできるだけ物件を高く売りたいと考えます。

不動産会社に物件を売却する人は価格が安くても他の取引条件が自分に得なので取引をします。

不動産会社は「瑕疵担保免責」「ローン特約なし」を基本条件としています。
売主に売却後の建物の補償とローン解約のリスクをなくす代わりに物件価格を安くしてもらうためです。


「瑕疵担保免責」は個人間売買であれば個人投資家も条件として受け入れることができますが売主が法人の場合には個人は消費者保護法で守られるため「瑕疵担保免責」を条件とすることはできません。
※もし、契約をしても瑕疵担保責任免責特約は消費者保護法で無効とされてしまうため売主が契約をしません。

法人は融資を使って不動産を購入する場合「ローン特約なし」で契約をすることができます。
個人の場合は融資を使う人が「ローン特約なし」で契約することはできません。

個人がローン特約なしで契約をして万一ローンが通らなかった場合、その契約をした不動産会社は仲介責任を問われます。
事前審査が通っていたとしても関係ありません。
普通の不動産会社はそんなリスクのある契約はしません。


「個人投資家」は消費者にあたるため取引上、いろいろな法律で守られています。

不動産会社と同じ取引条件で物件を購入するのなら法人を作り同条件で取引をする必要があります。


②再販売による利益還元


不動産会社と個人投資家との大きな違いは購入目的です。

物件を保有して家賃収入で利益を出す個人投資家と転売することを目的として物件を購入する不動産会社は物件を購入する目的が違います。

転売を目的として購入する場合、不動産会社が購入した物件はもう一度市場にでてきます。

仲介会社は1つの物件で2回の契約ができる可能性があり利益は大きくなります。

転売を目的として物件を購入する場合、多くのケースで再販時に専任媒介で販売をすることを仲介会社に約束して物件を購入します。

有利な条件で物件を購入できるように仲介会社に手数料で利益還元できるようにしているのです。


不動産会社は仕入れのためにリスクを取ったり企業努力で仲介業者に利益を還元して物件を購入しています。

このような理由で個人投資家と不動産会社で同じ物件を取り合ったとしても個人投資家は物件を買うことができません。

個人投資家がなるべく安く物件を買うためにはどうすればいいのか?
次回お話したいと思います。


2016年8月25日木曜日

サブリースのトラブル 原因と対処法

先日、サブリースについての記事がありました。
「家賃保証」アパート経営、減額リスクの説明義務化 8月11日 朝日新聞

今朝のテレビでも空き家問題の中でサブリースや新築アパートについての特集が放送されていました。

「空き家をわざわざ建設して困惑」  テレビ朝日 モーニングショー


今回はサブリースの問題点と、問題が起きた時の対処についてお話しします。



『30年一括借り上げ』テレビCMなどでよく聞く謳い文句ですが、家賃の減額などをめぐってトラブルが多発していました。

これを受けて国交省がサブリースは将来、家賃が減額される可能性があることを説明することを徹底するよう制度改正を行いました。(平成28年9月1日から施行)



〇サブリースの仕組み





通常はオーナーは入居者と直接契約をします。
不動産会社は募集業務や契約業務などを行うだけです。

サブリースはオーナーと不動産会社が一括借上げの賃貸契約(マスターリース)をします。
賃料は相場の80~90%程度の場合が多いです。

不動産会社は一括借上げで契約した物件を入居者に貸し出します。(サブリース)


本来はオーナー・不動産会社双方にメリットがあります。
オーナー側は賃料が相場よりも安くても一括で借り上げてくれることで空室リスクがなくなり経営が安定します。

不動産会社は満室にしてしまえば毎月、借上げ賃料と入居者が払う賃料の差額が利益になります。


○なぜ双方にメリットがあるはずのサブリースでトラブルが多発する?




問題となるのは借上げ賃料の値下げと中途解約です。

・借上げ賃料の値下げ


一般的に借上げ賃料は数年ごと(契約書によって異なるが2年~10年が多い)に見直しがあります。
値下げがあることを説明しない業者とオーナーがトラブルになります。

「建物が古くなれば家賃は下がるので借上げ賃料は○年ごとに見直しがあります」
建物が古くなれば家賃が下がるのは当然です。
きちんと説明していればトラブルになることはありません。

しかし、30年間家賃が保証される(最初の契約賃料で)と誤認させたい業者はこれを説明しません。

国交省はこの点を問題視して制度改正に動いたのです。

・中途解約


物件はずっと満室でサブリースをしているのがもったいないと思うようになる人はたくさんいると思います。
しかし、サブリースの契約は一度締結してしまうと解約は難しくなります。

マスターリース契約では「貸主=不動産オーナー、借主=サブリース会社」です。
借地借家法によって借主の権利は保護されるため貸主は正当事由がない限り契約を解除できません。

サブリース会社は法律上の保護される借主となります。
解約してもらうためには相応の金銭(立退き費用)が必要となります。
解約したくても借主が応じてくれない限り解約はできません。


○サブリースでトラブルになってしまった時はどのように対処すればいい?



・借上げ賃料の値下げ


値下げそのものは建物が古くなれば家賃が下がるので当然のことです。
しかし、値下げに応じられない状況(ローン返済など)であれば値下げを断固拒否するという方法があります。

値下げを断固拒否し続けるとオーナー側の希望額に近づけてくるか「値下げができないなら解約します」という方向に話が進みます。

解約して自分で管理すればいいのです。

借上げ賃料は相場の80~90%の家賃ですから10年間で下がった実際の賃料とそれほど変わりません。

自分で管理して運営すればもとの借上げ賃料程度の収入を得ることができる可能性があります。


・中途解約できない


借主である不動産会社は借家権で守られているためオーナー都合の解約はできません。
解約できるとすれば借上げ賃料の値下げ交渉の時期に値下げを拒否して解約に持ち込むという方法です。


どちらのトラブルも借上げ賃料の値下げ交渉の時が解決のチャンスになります。
(ただし、サブリース契約書の内容によっては該当しない場合もあります)

サブリース契約解除後に自分で管理をすることができない人は管理会社に5%程度の手数料を払って管理を委託して下さい。


管理会社に頼んでも空室が埋まらず収支が改善しないような物件の場合にはサブリースのトラブルというよりは需要のない場所に投資をしてしまった「投資そのものの失敗」です。


不動産のトラブルの大半は契約書や重要事項説明書をしっかりと読まない(説明を求めない)ことによるものです。

契約の時には納得がいくまで話を聞くようにすれば多くのトラブルは起きることはありません。

契約書類はすみずみまでしっかり読むように注意してください。


2016年8月19日金曜日

賃貸住宅市場の現状と管理会社の選び方

賃貸不動産業界の仕組みが分からず、どんな基準で空室を募集する会社を選んだらいいのか分からないという人は多いと思います。

不動産管理会社選びで失敗しないために、良い管理会社を選ぶために賃貸不動産業界の現状と管理会社について説明したいと思います。



○最近の部屋探しの実態は?



部屋探しというと、自分の住みたい駅に行って、不動産会社の店頭にある募集広告を見て、営業マンに部屋を案内してもらう。こんなイメージの人がいるかもしれません。

10年くらい前はそうだったかもしれませんが、今の部屋探しはインターネットから始まります。

2015年の調査ですがリクルート住まいカンパニーの「賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査」によると80%以上の人がPCやスマートフォンを利用して部屋を探したと答えています。

不動産会社への直接訪問は30%弱で訪問した会社の数は平均1.7店舗、見学した物件は平均3.4件なのでインターネットで情報収集をしてある程度物件を絞った段階で不動産会社を訪問しているのだろうと思われます。

部屋探しの現状が変わっているのですから、インターネットに対応できていない管理会社には入居者を探す力がないと言えます。


○賃貸仲介にかかわる不動産会社の分類と取引の現状について


賃貸不動産の場合、取引に関与する不動産会社は3パターンに分かれます。

①入居者を案内し物件を成約する客付仲介会社
②自社の管理物件への客付をする管理会社
③客付をしない物件募集窓口のみを行う管理会社



①の会社は空室情報をポータルサイトに掲載してひたすら入居者を探してくる会社です。
部屋探しのサイトにたくさん物件情報を掲載している会社はこのタイプが多いです。

②はテレビCMができるような賃貸で有名な会社がだいたいこのタイプです。

③は当社のように賃貸仲介の店舗は持たずに①の会社に情報提供をして
入居者を探してもらう会社です。


賃貸不動産の契約は仲介手数料が賃料の1か月分を上限としています。
不動産会社が2社契約にかかわると賃料1か月分の手数料を2社で分け合います。

契約1件あたりの利益率が低くなるので会社が大きくなると②のタイプに会社を目指していきます。
自社で管理している物件に自社で入居者を見つけると上限の手数料をもらうことができるからです。

①の会社はとにかく客付をする必要があるためいろいろなポータルサイトに広告をします。

そのため当社のような③の会社は①の会社に情報を提供して入居者を探してもらいます。
①と③は利害一致するので協力しあって仕事をしています。

②のタイプの会社は①の会社に情報を提供すると契約1件あたりの利益が減るため基本的には情報を提供しません。

最近は②のタイプの会社は①の情報量に押され入居者探しに苦戦していることがあるようです。

おそらく市場には①のタイプの会社が多く、たくさんある①の会社がみんなで広告をたくさん出すので②のタイプの会社が1社でがんばっても圧倒的な①の会社の数に勝てないため顧客の獲得に苦戦しているのだろうと思います。

②のタイプの会社には自社物件の仲介のみでは経営が厳しくなっているため、契約1件あたりの利益を上げるために鍵交換や部屋の消毒、コールセンターの利用料などを入居者からもらってマージンを取っている会社もあります。

不要な初期費用は入居者が負担しなけばならない費用の増加です。入居コストの高い物件は部屋探しをしている人から敬遠されてしまう可能性があります。

管理物件の募集に余計な初期費用の項目が多い会社は部屋探しをしている人から敬遠されてしまう可能性があります。


○入居者が決まらない部屋の分析


最近の入居者の傾向としてインターネットで物件を探すことが当たり前になっているので相場よりも家賃の高い物件、初期費用の高い物件はインターネットの情報収集の段階で候補から外されてしまいます。

空室に悩んでいる人は自分の物件の広告探してを見てみるといいと思います。
(広告の掲載がないなら掲載を依頼してください。)

物件の検索をする時には部屋探しをしている人と同じくエリアや家賃で条件を絞ってみて下さい。

同じエリアの他の物件と比べて家賃が高かったり、条件に劣るようなら募集条件の見直しが必要です。(家賃を下げる、余計な初期費用を削るなどの見直しやフリーレントの検討など)

もし、条件が劣らないのに入居者が決まらないのであれば、情報公開されていなかったり、募集図面の見せ方が悪かったり、管理会社の対応で改善できることが原因かもしれません。

管理会社が対応すれば解決できる問題で入居者が決まらないというのは管理会社の怠慢です。

募集物件の競合物件の条件分析は管理会社の仕事なので、長期間の空室があっても条件変更の提案がない場合には管理会社の力量不足と言えるでしょう。


〇良い管理会社を選ぶためのポイント


①インターネット広告に積極的
②物件情報を自社だけで囲い込まない
③1件の入居契約で過剰に利益を得ようとしない
④募集物件周辺の競合分析を定期的に行って提案をしてくれる

最低限この4点はクリアしている管理会社を選ぶようにして下さい。

2016年8月8日月曜日

 「頭金ゼロでサラリーマン大家」を借金漬けにする地方銀行のウラの顔②

『話題の記事 「頭金ゼロでサラリーマン大家」を借金漬けにする地方銀行のウラの顔』続きを書きたいと思います。


このスキームに関わっている銀行は、融資をした投資家のキャッシュフローが悪化するとそれを改善するために追加の投資をもちかけてきます。

「新しい物件を買って赤字を補てんしましょう、フルローン(オーバーローン)で融資をするので、その収入で赤字が補てんできます。」そんな誘いをしてきます。

このパターンの場合には、本業の年収の○倍までというような融資基準が決まっていて、その融資枠を使い切るまでは融資を受けることができます。

フルローンやオーバーローンの場合は、キャッシュフローのマイナス収支が10年程度で訪れますが、一時的には赤字を補填し収支が改善しますので、投資家は収入アップしたうえに規模を拡大していると勘違いします。


融資枠を使い切った後は、新規購入で赤字を補填することはできないので、収支がマイナスになった物件を運良く売って精算できるか、売れずに赤字を抱えながら本業の給料の一部で補てんを続けることになります。

給料で補てんができず返済が滞れば、物件は競売にかけられ債権回収となります。


今までの話はこんなことが起きる可能性があるという最悪のシナリオですが、キャッシュフローの予測をすれば十分予見できることです。

このような融資をする地銀があり、物件を販売する不動産業者がありますが、投資家側がもっと冷静に考えればこんな投資にはひっかからないだろうと思います。

オーバーローンやフルローン、未公開物件などと言われると冷静さを失う投資家はとても多いと感じます。
さらに自分にとって都合の悪いことを言う業者とは連絡を断つ人も多いです。

リスクがあるものに投資をする以上、自分に都合の悪い話も聞きながら判断をしないと、この記事に書かれているようなスキームで投資をしてしまうことになります。

不動産はやり方を間違えなければ資産形成をスピードアップできる素晴らしい投資先です。

ただし、この記事の最後にある通り「一般の人が投資を行うには、より細心の注意が必須」なのです。




2016年8月4日木曜日

「頭金ゼロでサラリーマン大家」を借金漬けにする地方銀行のウラの顔①

いま話題の記事『「頭金ゼロでサラリーマン大家」を借金漬けにする地方銀行のウラの顔』について書いてみたいと思います。


始めに断っておきますが、この記事のような地銀が100%悪だとは思っていません。


この記事は「プレジデントOnline」に掲載されているもので、4月に掲載された『要注意!「頭金ゼロでサラリーマン大家さん」のカラクリ』の続編です。


〇記事の内容の真偽は?



この記事の内容の真偽はというと、概ね間違いないことだと思います。
当社もある地方銀行から同様の手法での物件販売を持ちかけられたことがあります。
当社は地方への投資は勧めていないことと、かなり危うい手法だったので断りました。


この記事では、多くの地方銀行がマイナス金利の導入で同様のことをしているように書いてありますが、地方銀行には融資をできる場所・人に一定の制限があるため、多くの地銀が関わっていることはないと思います。


マイナス金利の導入前から、住宅ローン金利は0%後半だったので、金融機関は実物の担保がとれて住宅ローンよりも金利が高いアパートローンに力を入れ始めていました。

ちなみに地方銀行にはテリトリーがあります。
例えば、神奈川県の地銀は神奈川県・東京都・静岡県の一部の物件に融資ができて融資を受けられるのは神奈川県に住んでいる人、勤務地がある人などのテリトリーがある場合が多いのです。

地方銀行はどこの物件にも融資ができるわけではありません。
ただ、一部の地銀は全国に支店展開をしているので支店のある地域には融資ができます。

プレジデントの記事は、この一部の地銀が行っていることを書いているのだと思います。


〇某地方銀行が行う問題の不動産投資スキーム



①その地銀から紹介された地方のRC造の物件Aを不動産会社が購入、事業資金の融資をその地銀が行う。
                   ↓
②不動産会社が空室に6か月の満室保証をつけて物件の担保評価を出す
                   ↓
③物件Aは銀行で30年フルローン可能な評価がでる価格設定をして販売
                   ↓
④融資はその銀行で受けることを条件に契約する
                   ↓
⑤銀行は融資を実行・引渡し


このスキームのポイントは収益還元法で担保評価を出すために空室保証をつけることです。

物件Aは不動産会社が購入する段階では多くの空室があり、そのため相場よりもだいぶ安くなっています。

不動産会社への融資は、転売事業のための融資なので、多少空室があっても融資はされます。その後、購入業者が空室保証をつけることで収益還元法の評価額が高くなります。

そのため空室だらけだった物件はフルローンが組めるほどの担保評価の高い物件となります。

空室保証にするか、短期の入居者を入れるかは、買い取る業者の資金力などによるのだと思います。

このスキームそのものは法に抵触することは一切ありません。


〇この不動産投資スキームの問題点



当社が危ういと思って、このスキームの提案を断りました。
空室保証が終わったら・・・おそらく空室は半分くらいしか埋まりません。


どんなに運営努力をしても、もともと空室だらけだった物件を満室にするのは困難です。
そもそも人が少ない地域で賃貸住宅の需要が低いのです。

投資に適していない物件にフルローンを出して、投資家に販売をするのは、投資家の利益になりません。

30年間の融資は近い将来、返済に窮することになります。
しかもフルローンなので事業計画にはそれほど余裕がありません。

家賃が入金されなくても、ローンは支払わなければなりません。
不足分は自分の給料などを補てんして支払うしかないのです。

持ち出しが増えると、投資家は困ってしまいます。
そうすると銀行は、赤字補てんのために「融資をするから、次の物件に投資をしましょう」と持ちかけてきます。

この続きは次回に書きたいと思います。

2016年7月26日火曜日

不動産会社は教えてくれない? 投資をした場合のキャッシュフローシミュレーション

不動産投資ブームで本を読んだりセミナーに参加して不動産投資の勉強をしている人が増えています。

しかし、実際に投資をすると、どのようなキャッシュフローになるのか分からない人は多いようです。



今回は不動産に投資をした場合のキャッシュフローシミュレーションを事例をもとにして解説してみようと思います。


〇キャッシュフローとは?


「キャッシュフロー」とは、お金の流れのことです。
流入するお金をキャッシュ・イン・フロー、流出するお金をキャッシュ・アウト・フローといい、インとアウトの両方で「キャッシュフロー」といいます。

不動産においては「イン」の部分が家賃、「アウト」の部分が実際に支出した経費、ローンの返済金となります。

インからアウトを引いた額がキャッシュフロー(税引前)ということになります。



〇不動産投資をした場合のキャッシュフロー



【事例1】  
○投資する物件
築15年鉄骨造の1棟マンション 価格5,000万円 表面利回り8%
入居率95% 賃料は年1%ずつ減 運営経費は20% 年1%ずつ増
     
○投資する人
会社員40歳 年収700万円 自己資金1,000万円 配偶者と子1人の3人家族

物件購入のための諸経費が約500万円、融資を90%(4,500万円)利用しての物件購入です。
融資期間は25年で金利は2.3%とします。

年収や家族構成が記載してあるのは家賃収入は給与の所得と合算して所得税・住民税を計算されるからです。
同じ物件を購入しても本業の年収が違えば税金の額は異なる可能性があります。



投資をした場合の収支は下記の表のとおりです。






家賃が下がり返済の中で利息の割合が減り始める14年目から収支がマイナスになります。

今まで貯まっているお金があるので25年目までは赤字にはなりません。
融資金の返済が25年で終わるので翌年には黒字に回復します。

仮に15年間保有して売却した場合、表面利回り10%で売れたとすれば売却価格は3,470万円です。

累計のキャッシュフローが380万円、残債が2,110万円なので残りは1,740万円、売却の手数料と購入時の諸経費約500万円・自己資金の500万円を引くと625万円が利益となります。 


【事例2】
事例1と同じ条件で自己資金を諸経費のみとしてフルローンだったとすると下記の通りになります。







9年目から収支がマイナスになります。
融資金が多いこととマイナス収支の期間が長くなるため全体の収支のマイナスが早く訪れ、16年目から全体の収支がマイナスとなり返済が終わって5年後の30年目にプラスに回復します。

マイナス収支となった10年目に売却した場合、利回り9%で売れたとすれば売却価格は4,020万円です。

累計のキャッシュフローが117万円、残債が3,330万円なので残りは807万円、売却の手数料と購入時の諸経費約500万円を引くと171万円が利益となります。




〇正しいシミュレーションが投資の失敗を回避する



不動産投資は上記のシミュレーションのように一定期間保有して売却し利益を確定していくものです。

購入時に自己資金を入れるのはマイナス収支の期間を少なくしてリスクを減らすためです。


もし、この事例2のフルローンのケースで10年目に不動産価格が著しく下がるような経済状態だったら想定した金額で物件は売れず利益は出ないかもしれません。

最悪の場合、売るとマイナスが確定してしまう。
しかし、売らないと収支はマイナスが続く負のスパイラルに陥ることもあります。 

フルローンやオーバーローンを組んでいる人は経済状況によっては大きな負債を抱えるリスクを背負っていることを理解して投資を進めて下さい。

これから投資をする人はフルローンが組めることを物件探しの基準にはされないことをお勧めします。

自己資金を使わない投資を否定するものではありませんが、このような事態に陥る可能性があることを説明されたうえで投資をしている人は少ないのではないでしょうか。

未来のことを予測することはできませんが、リスクを理解するためのシミュレーションをしておくことをお勧めします。


2016年7月19日火曜日

投資をする前にまずはライフプランシミュレーションを

これからの10年、20年の間に自分にはどんなライフイベントがあって、お金はどれくらい必要なのかを具体的に考えたことはありますか?

人生の中では結婚・子どもの教育・住宅購入など、さまざまなイベントが発生し、そのときどきでお金がかかるものです。

お金がかかるのはイベントだけではありません。
病気や災害といった想定外の事態に備えたり、老後の生活や相続について計画をたてておくことも必要です。

今回は投資をする前にライフプランシミュレーションをする必要性について説明します。







〇ライフプランシミュレーションの効果

①投資をする目的を明確にできる



ライフプランシミュレーションでは、家族構成や収入状況・将来の計画などを入力することで未来の収支状況をグラフで確認することができます。

ライフプラン表を作成して将来の家計のシミュレーションをしておくことで投資をする効果を確認できるからです。

ライフプラン表を作ってみると、どうして投資をするか明確になるという効果もあります。

老後の資金が足りなくなるので投資をする、余剰資金の運用のために投資をするなど、具体的なお金が目に見えると投資をする目的が明確になります。

投資にはリスクがあるので何の目的もなく投資をすることは危険です。

会社員として定年まで働きながら投資をして老後を豊かにしたい人の投資と急いで投資規模を拡大して会社を退職して専業大家になりたい人の投資は手法が違いますしリスクの大きさも違います。


急いで大きく稼ごうと思えばリスクが大きくなるのは当然です。
投資目的や必要なお金の具体的な目標が見えれば必要のないリスクを負って過大な投資をしてしまうことを防ぐことができます。


②投資をすることの効果を具体的に確認できる


ライフプランシミュレーションを作って具体的に数字を見るとゴールが見えてきます。
そのゴールのために投資をすると、どのような工程で進むのか確認できます。

あくまで数字だけのシミュレーションではありますが、ゴールが見えているのと見えていないのとでは大きな違いがあります。

未来は変わるのでシミュレーション通りにはいかないかもしれません。
それでも具体的な数字が見えていれば途中で方針を変更する時にもスムーズに進むのではないでしょうか。

〇なぜライフプランシミュレーションを作成して将来に備える必要があるのか?


投資には必ずリスクがあるわけですが、それでも投資をするのはどうしてでしょうか。
それは平均寿命が延びてリタイア後の生活が長くなっているからです。



厚生労働省ホームページより

ひと昔前は定年まで働いて退職金と年金で過ごすことができましたが今はそれだけで生活をするのは難しい。

自分が長生きした時のために準備をしておくことが必要だという事です。

ライフプランシミュレーションを作成して老後の資金がショートすると診断されれば改善しなければ生活ができなくなってしまいます。

株式や投資信託の購入・家計簿をつけて節約した部分を貯蓄するなど不足しているお金を補てんしなければなりません。

その増やす手段のひとつが不動産への投資です。



〇自分のゴールを確認して無理な投資計画は避けましょう



不動産投資の本などは急激に規模拡大して専業大家になった人や不動産会社が広告代わりに出版した本が多いので「不動産投資=規模を拡大する→会社を退職してセミリタイア」となりがちです。

まずは将来必要となるお金を把握して足りない部分を埋めるために投資をする。
これも不動産投資のかたちです。

大きなリスクを取る必要のない人は極端に規模を拡大する必要はありません。

急激な規模拡大は将来の破綻危機を大きく含んでいます。
私が相談を受けたお客様にも赤字の投資を埋めるために新規投資をしている人がいました。

ローンが大きく収支がマイナスになった時、少しずつ破綻が始まります。
資産運用は計画性がとても大切です。
将来を見据えて、長い目で見た計画を立てましょう。


2016年7月15日金曜日

あなたの物件は大丈夫? 不動産業界の広告の問題点②

前回に続いて不動産業界の広告の問題点についてお伝えします。

前回は不動産の広告は売主が掲載の可否を選択できない、売却を依頼した会社だけでしか広告をできないことが問題だと書きました。

今回は不動産のおとり広告についての説明です。



〇おとり広告の大半は成約済み物件の放置



広告は不可と言われても実際にはいろいろな会社で広告されている物件もあります。
残念なことに不動産業界の広告は無許可広告が横行しているからです。

無許可で広告を掲載するような会社なので在庫の確認も適当です。
成約済みでもネットに広告が掲載され続けおとり広告となってしまいます。

公取から処分を受ける会社の大部分は成約物件のおとり広告です。

成約した物件が掲載され続けると消費者はその物件の情報を求めて問い合わせをして個人情報が不動産会社に通知されます。

正当でない広告で取得した個人情報に別の物件を紹介し営業をすることがおとり広告の問題点です。

しかし、この本質と違った影響がでることがあります。
当社はホームページで広告している物件が成約になった際に成約のお知らせを出したことがありました。

先日、ある不動産会社から成約のお知らせを削除してほしいと連絡がありました。

成約のお知らせには物件のおおよその所在地と販売されていた価格が記載されていました。

その不動産会社の担当者は販売価格が金融機関に知れると融資が通らなくなると言います。

契約書には価格が書いてあるはずですから金融機関に広告されていた価格を知られたくないという事は契約書を偽造してローンを申し込んでいるのでしょう。

広告は掲載されていない物件だから大丈夫と契約書を偽造するようなローンを申し込んでその物件が無許可で広告されていたら・・・

その広告を金融機関が見つけたら一切の取引ができなくなるでしょう。
不動産会社の担当者が必死になってネット広告を探して削除依頼をしていると思いますが100%削除できるとも限りません。

物件のおとり広告とは関係ない物件購入者にもこんな影響がでることがあります。
もちろん通常の手続きで融資の審査を受けている人には何の影響もありません。

不動産業界は改善しないといけないことがたくさんあると改めて思います。

2016年7月11日月曜日

あなたの物件は大丈夫? 不動産業界の広告の問題点① 

「ネットおとり広告止まらず5月は7社に措置処分 首都圏公取協」 
これは数日前の住宅新報社の記事のタイトルです。

先週は不動産協会の法定研修に参加しましたが、その研修でも最初に取り上げられたのは広告についての処分を受けた事例の検証でした。


もともと不動産業界の広告掲載には大きな問題があります。



今回は不動産広告の問題点について説明します。


〇不動産会社の都合で広告が掲載されない現実



不動産を売却したり、賃貸で入居者を募集したりする時に広告の掲載について説明を受けることは少ないと思います。

多くの場合、不動産会社の都合で広告掲載は決めてしまうからです。
インターネットで物件を探すことが当たり前の時代になりましたので広告が多く載っていることは物件を売る(貸す)うえで有利になる可能性が高いです。

事情があって未公開で売りたい(貸したい)人もいるかもしれませんが、売却に時間がかかったり入居者が決まりにくいケースが多くなります。

物件の売却先や入居者は一人だけでいいので狭い販売ルートから一人の契約者を探すよりも情報をたくさん提供して販路を広くして多くの人のなかから一人を探す方が成約の可能性が高くなります。

当社は所有者の希望がない限り広告は自社だけでなく他の不動産会社の広告掲載も許可しています。これは業界内では少数派です。

大多数が広告は自社でしかやらず、他社の広告は断ってしまいます。

広告費をたくさん使う大手の会社でも1社でできることは限界があります。
早期の成約を目指すなら他社にも協力してもらうほうが効率はいいはずです。

それでも早期の成約よりも自社で成約することにこだわるのが不動産会社です。
もちろん当社も自社で成約して売主・買主両方から手数料をもらうことを目指して営業をしています。

同時に早期の成約のために他社への情報提供も怠らないようにしています。

物件を売ってほしい、入居者を見つけてほしいと依頼を受けたのですから、自社の利益を考えながらも依頼者の希望を叶えることが優先されるべきだからです。

しかし多くの場合、広告は物件所有者から直接依頼を受けた会社でコントロールされてしまいます。


〇自分が売却中・入居者募集中の物件は広告されているか調べてみよう



物件を売却している人、入居者を探している人は自分の物件がどの程度広告をされているか探してみるといいと思います。

販売や入居者募集を依頼している会社のホームページ、ポータルサイトに物件情報が掲載されているか、依頼をした会社以外から広告がでているかなどをインターネットで調べてみましょう。

広告掲載がほとんどされていないのであれば、あなたの物件は不動産会社の利益のために、貴重な成約の機会を失っているかもしれません。


次回も不動産業界の広告の問題点について書こうと思います。
思わぬところで購入者にも飛び火をすることがあるようです。


2016年7月5日火曜日

路線価と路線価の仕組みを利用した相続税対策

7月1日に国税庁より平成28年度路線価が公表されました。  
全国平均は前年比プラス0.2%で8年ぶりに上昇しました。


上昇した都道府県の数は前年比プラス4の14。
北海道、広島県、福岡県、熊本県がマイナスまたは横ばいからプラスに転じ前年にプラスだった都府県もおおむね上昇幅が拡大しています。

都道府県県庁所在都市で最高路線価が上昇したのは、前年比プラス4の25都市。
このうち上昇率が5%以上だった都市が15に上りました。
横ばいは17都市、下落したのは5都市のみ。
国税庁によると下落したのが5都市のみだったのは1992年以来とのことです。

毎年この時期になると話題になる「路線価」ですが、正式には相続税路線価と言います

今回は相続税路線価について説明します。


〇相続税路線価とは?



相続税や贈与税の財産を評価する場合に基となるものです。
公示地価(一般の土地取引の指標となる数値)の80%と言われています。

相続税路線価を調べることができる財産評価基準書には道路ごとに1㎡あたりの価格を1,000円単位で記載してあります。

路線価が定められていない地域については、その市区町村の「評価倍率表」に基づいて固定資産税評価額に倍率を乗じて計算します。

国が税金を取るために道路ごとに値段をつけている路線価ですが、個別に見てみると「都市部では公示地価の50~70%だったり地方では公示地価の90%くらいで路線価がついているのでは?」と思われるところもあります。


都市部だと元々の土地価格が高いので、相続税が高くなりすぎてしまわないように低く調整して、地方では土地が安いので、相続税が安くなりすぎないように高めに調整しているのかなと考えてしまいます。

実際の売買では価格がつかないような土地(人里離れた住宅として利用するのは難しい土地)からも国は税金を取る必要があるので、そんな調整をしているのかもしれません。



〇相続税路線価の仕組みを利用した相続税対策


路線価と実勢価格の差を利用した相続税対策があります。

相続対策のために不動産を購入するのは、相続財産となる土地の評価が実際に取引される土地の価格よりも安くなるからです。

公示地価が実際の土地価格だとすれば相続財産の評価は‐20%となります。
(路線価が公示地価の80%とした場合)

1億円で土地を買えば相続財産としての評価は8,000万円になり、2,000万円分相続財産を圧縮したことになります。

さらに、その土地に建物を建てて賃貸すると、貸家建付地の評価減を受けることができるので、現金で持っている場合の6割くらいに評価を減らすことができます。

建物の評価は固定資産税評価額です。
建物の固定資産税は新築時の場合、請負工事金額の約50%が目安となります。
5,000万円で建設した建物は約2,500万円が評価額ということになります。

相続税対策としてのアパート建設はこの土地・建物の評価減を利用したものです。

建物の固定資産税評価の仕組みを利用してタワーマンションの購入で節税をするスキームが流行りましたが税務署に否認されるケースが出てきているようです。

今後は相続税対策のためのアパート建設にも規制が入るかもしれません。

2016年6月24日金曜日

イギリスはEU離脱! その影響はリーマンショック級? リーマンショック時の不動産市況を振り返る

今日の午後、イギリスの国民投票の結果が公表されました。
結果はEU離脱となりました。

イギリス国旗


世界経済への影響は大きく今日の日経平均は大幅に値を下げました。
これからどの程度の影響があるのか予想もつきませんが、一部では「リーマンショック級」とも言われています。

今回はリーマンショック時の不動産価格の下落はどのような経済状況で起きたのか振り返ってみようと思います。


〇リーマンショックの日本への影響


サブプライムローン問題が表面化したことにより起き、100年に1度の経済危機言われたリーマンショックですが、リーマン・ブラザーズの前に同じ投資銀行のベアー・スターンズの経営危機が起こりアメリカ政府に救済されます。


その5か月後にリーマン・ブラザーズが破たんします。
そしてその翌日に大手保険会社のAIGが経営危機に陥り、公的管理下におかれます。
さらにその2週間後にアメリカ下院で金融安定化法案が否決されNYダウは大暴落します。


日本では2008年6月から10月までの4か月間で株価が5割下落します。
2008年6月に14,000円だった日経平均は10月28日に7,000円を割る事態になりました。


サブプライムローン問題は対岸の火事と思われていましたが急激な円高や株価の下落で金融機関は融資に慎重になり結果としてお金が回らなくなり経済は悪化しました。


翌年には金融機関による融資回収や金利引き上げなどを回避する目的で金融モラトリアム法が導入されました。

「銀行は晴れた日に傘を貸し、雨の日に取り上げる」とドラマ「半沢直樹」で堺雅人さんが言っていましたがそれができないように法律を作ったわけです。

〇リーマンショックの頃の投資用不動産市況


この頃はアパートローンを扱う金融機関は少なく、一部の高属性の人や資産家でなければ不動産投資ができない時代でした。

それに加えて、リーマンショックで株価が下がり銀行は融資を控えました。

株価と地価の動きはある程度の相関性があるため地価は下落し、金融機関が融資をしないことで不動産を買う力のある人が少ないため投資用不動産の価格は下がり利回りが上昇しました。

都内で築20年くらいのRC造の物件が利回り10%で買えたのはこの時代です。

物件が安くてもそれを買える資金がある人が少ない、そんな時代でした。


〇イギリスのEU離脱は日本の不動産に影響を与えるか?


これからイギリス国民の判断が世界の経済にどれだけの影響を与えるかは分かりませんが
金融機関が不動産に融資をし続ければ不動産価格への影響は少ないと思っています。

現物の不動産が担保にとれるアパートローンは金融機関にとって優良な融資先になります。

いざとなったら本業の給料を差し押さえて不動産は競売にかけてしまえば大きな損失には
ならないからです。

これから日本の金融機関がリーマンショックの時のような大きな影響を受けて不動産投資への融資基準を厳しくした時には投資用不動産は流動性を失い価格が下がる可能性があります。

ただし、価格が下がってから投資をしようと考えている人は「もしかすると融資を受けられなくなるかもしれない」と想定しておく必要はあると思います。



この記事が参考になりましたら、 下の2つのバナーをそれぞれ1クリックお願いします。

ファイナンシャルプランナーをお金のアドバイザーにする時の注意点

金融庁ワーキング・グループの報告書は2,000万円不足、財務大臣の報告書受け取り拒否ばかりが報道されて、本質の部分は見落とされていました。 この報告書には、「米国では証券会社などの金融サービス提供者から独立して、顧客に総合的にアドバイスする者が多数いる」、「日本にも存...