2019年1月18日金曜日

賃貸vs持ち家論争

たびたび経済誌や週刊誌などで、「持ち家と賃貸どちらが得か」ということが論じられてきました。

コストを比較すれば、賃貸の方が割安になるという結論になることが多いようです。

今回は「持ち家と賃貸どちらが得か」、いろいろな視点からくらべてみました。



〇賃貸と持ち家、総支払い額の比較


4000万円の家を自己資金1000万円で購入し、ローンは35年、金利は①1%、②1.5%、③2%の3パターンを想定し、購入時経費250万円、修繕費は10年ごとに150万円、固定資産税を年15万円と想定します。

一方、賃貸はライフスタイルに応じて1〜10年目は12万円、11〜25年目は15万円、子供が独立した26〜35年目は10万円、2年ごとに更新料1カ月、入居時の経費は家賃の3か月を想定します。

購入①
自己資金 10,000,000円
ローン返済 35,567,700円
購入時経費 2,500,000円
修繕費   4,500,000円
固定資産税 5,250,000円
合計 57,817,700円

購入②
自己資金 10,000,000円
ローン返済 38,579,100円
購入時経費 2,500,000円
修繕費   4,500,000円
固定資産税 5,250,000円
合計 60,829,100円

購入③
自己資金 10,000,000円
ローン返済 41,738,760円
購入時経費 2,500,000円
修繕費   4,500,000円
固定資産税 5,250,000円
合計 63,988,760円

賃貸
家賃 53,400,000円
更新料 2,150,000円
入居時経費 1,110,000円 
合計 56,660,000円


ローン返済のある35年間だけを比べると金利1%ならほとんど差はなく、1.5%になれば持ち家よりも賃貸の方が安いということになります。

ただし、それ以降を比べるとずっと家賃を払う賃貸よりもローンの返済がなくなる持ち家の方が総支払額の増え方が小さくなります。

加えてローンの終わった持ち家には一定の資産価値があります。
仮に35年後に購入時の25%の価値が残ったとすれば1,000万円の価値があります。

その家を売れば売ったお金で10万円の家賃の家に約8年住むことができます。

ローン返済のある35年だけで比べても結論はでません。

40才で家を買ったとしても35年後は75才です。
寿命が延びていることを考えるとローン返済後10年以上は生きていても不思議ではないのです。



〇持ち家と賃貸メリットとデメリットの比較



【持ち家のメリット】
・賃貸に比べて広い間取り、設備のグレードが高い。
・資産形成(住宅ローンを完済すれば、建物価値は減っているが土地の資産価値は残る。)
・団信付きのローンの場合、債務者が死亡すれば、ローンの返済がなくなる。
・住宅費用分の生命保険を削減できる。

【持ち家のデメリット】
・ライフスタイルの変化があっても簡単に気軽に引越しできない。
・住宅ローンを借りる。
・購入時の諸費用が必要。
・固定資産税がかかる。
・メンテナンス費用がかかる。
・簡単にダウングレードできない。

【賃貸のメリット】
・ライフスタイルに合わせて気軽に引越しできる。
・住宅ローンを借りる必要がない。
・リフォーム費用は不要。
・税金がかからない。

【賃貸のデメリット】
・賃貸住宅は設備が陳腐なことが多い。
・生きている限り家賃がかかる。
・設備が古くなっても自分の意志でリフォームできない。
・家賃はいくら払っても資産形成にならない。
・更新料や退去時の原状回復工事費用がかかる場合がある。




〇賃貸住宅は持ち家よりも設備が悪い



同じような間取りでも、「家賃」と「家の購入費」はそう変わりません。
しかし、賃貸住宅と分譲住宅では、家の設備等が全然違うのです。

賃貸アパート、賃貸マンションなどの場合、分譲住宅よりもかなり格安な設計になっています。

賃貸住宅は自分が住むためでなく人に貸してお金を稼ぐために作ります。
安くて広いものを作った方が家賃を稼ぐ効率が良いので設備は最低限の競争力を持てる程度のレベルに抑えて作るのが一般的です。

借りる側も賃貸ならこんなもんだろうと設備については妥協しやすいということもあるかもしれません。

分譲住宅は自分が住むために買う人への商品です。
他物件との競合や設備のスペックが価格に反映できるということから設備のグレードが高いものが多くなります。



〇ロバート・キヨサキ氏の言葉、「持ち家は負債」



資産は私のポケットにお金を入れてくれる
負債は私のポケットからお金をとっていく

金持ち父さんの考え方では持ち家は負債です。
①ローンを払い終えるまでの期間、家は自分のものではない。
②固定資産税がかかる。
③修繕費がかかる。
④不動産の価格は下がる可能性がある。
⑤投資に使う資金が減る。

上記の5つの理由から持ち家はお金をとっていくので負債ということです。



〇ローン残高と不動産の時価で変わる持ち家の価値



親の家にただで同居している、親から譲り受けた家がある、などの理由で自宅を持っている人以外は、持ち家にしても、賃貸にしても、住居費は必ずかかります。

持ち家でも賃貸でも住居費はかかるのですから不動産を購入して住宅ローンを支払うことを一律に「負債」と決めつけてしまっては比較の前提を失ってしまいます。

家賃は払ったお金はすべて出ていくのに対し、持ち家の場合は払った住居費は、「家」という資産を形成していくことになります。

持ち家は多額のローンが残っている購入当初は負債としての側面が強いかもしれませんが、ローン残高が時価を上回る時期を過ぎれば負債から含み益のある資産に変わります。

決して効率が良いとは言えませんが、持ち家は自分への不動産賃貸業と考えられます。
家賃を5,000万円払うと35年後に1,000万円相当の流動性が悪い資産をもらえるようなイメージです。


〇資産形成としては持ち家の方がいいけれど



払ったお金はすべて出ていく賃貸よりも、ローン返済後に家を手に入れることができる持ち家の方が資産形成上はいいと思いますが、持ち家にもデメリットはたくさんあります。

最大のデメリットは住み替えの自由度が低いことです。
転職・失職・病気・ご近所トラブルなど長く生きていればいろいろなことが起こります。

持ち家の場合には不動産の時価がローン残高よりも高くなければ気軽に住み替えはできません。

家を買ってしまうと変化に対応できなくなります。
ある程度の覚悟を持って自分の家を選ばなければなりません。

家を選ぶ時には賃貸したり、売却することも考えて、個性的なデザインや間取りの家は避けた方が良いでしょう。

こだわりがあっても賃貸や売却の時にリフォームで一般的なものに戻せるレベルで対応したほうが無難です。

利便性のよさに加えて、環境の良い場所であることも大切です。
子育てをするなら、近隣環境は非常に重要です。
その地域の治安や教育レベル、施設の充実度などを十分に調べておきましょう。


〇結局、賃貸と持ち家どちらがいい?



よくある賃貸持ち家論争の結論と同じことになりますが、最終的には資産形成を取るか?住み替えの自由を取るか?という個人の志向ということになります。


資産形成と優先するなら、利便性が良く、資産価値の高い地域で家を購入することが大切です。

日本の人口は減っていくことが分かっていますから不便な場所は不動産価格の大幅な下落の可能性があります。

最悪の場合、売却しようとしても買い手がつかない可能性もあります。

住み替えの自由を優先するなら老後の生活費を貯めておくようにして下さい。
現状では高齢者の賃貸住宅への入居は受け入れ先が多いとは言えません。

高齢化で高齢者向けの賃貸住宅は増えると思いますが、それでも資産がなかったり、家賃が払えないかもしれない人は入居できないでしょう。

どちらを選ぶにしても計画的にお金を使うことが大切です。

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